オランダの住まい情報
住まいの探し方から契約まで
オランダで住まいを探すにあたっては、日本と異なる点が多くあります。特に初めてオランダで生活を始める方にとっては、手順や注意点を事前に理解しておくことがとても重要です。
住まいの種類を知る
オランダの賃貸住宅は大きく分けて「社会住宅(ソーシャルハウジング sociale huurwoningen)」と「民間住宅(自由賃貸 particuliere woningen)」の2種類があります。
社会住宅とは政府が家賃を補助する低所得者や長期居住者向け住宅です。ただし、所得制限や長い待機リストがあり、外国人がすぐに利用するのは難しいのが実情です。そのため、外国人や短期滞在者、学生は、一般的に民間の賃貸物件を探すことになります。
住まいの探し方
住まい探しは主にインターネットの不動産サイトを利用します。たとえば、Funda やPararius、 Kamernet などのウェブサイトでは、英語で検索できるうえ、写真や地図付きで物件の情報を調べることができます。
また、不動産仲介業者(makelaar)を利用する方法もあります。仲介手数料がかかる場合がありますが、信頼性が高く、英語でサポートしてくれる業者も多いため、安心して契約を進められます。
物件選びのポイント
物件を選ぶときには、いくつかの点に注意が必要です。まず、家賃に光熱費が「込み(all-in)」なのか、「別(excluding/excl.)」なのかを確認しましょう。
また、家具が備え付けられているかどうかの確認も大切です。オランダの物件には、家具付き(gemeubileerd)、家具なし(gestoffeerd)などの種類があります。さらに、住民登録(inschrijving)が可能な物件かどうかの確認も非常に重要です。住民登録ができなければ、市民番号(BSN)を取得できず、行政サービスや銀行口座開設にも支障が出てしまいます。
契約までの流れ
気に入った物件が見つかったら、内見の予約をします。最近ではオンラインでの内見も増えてきましたが、周辺環境の確認まではできないため、可能であれば実際に足を運ぶのが良いでしょう。
内見後、借りたい意思を示すと、家主や仲介業者から収入証明やパスポートのコピーなどの提出を求められます。人気物件では複数の応募者から選ばれる形になるため、希望通りに借りられないこともあります。
選ばれたら、契約書(Huurovereenkomst)にサインします。契約書はオランダ語で書かれていることが多いため、必要に応じて翻訳してサインをする前に内容をしっかり確認しましょう。契約書には、家賃の支払方法や契約期間、解約のルール、敷金(デポジット)の返金条件などが明記されています。契約締結後、初回の家賃と敷金を支払い、鍵は入居日に受け取ります。入居時には大家と一緒に行うインベントリーチェック(plaatsbeschrijving)で部屋の状態をしっかり確認し、写真を撮って記録しておくことをお勧めします。
住民登録と必要な手続き
入居後は、役所(gemeente)で住民登録を行う必要があります。この登録を行うことで、BSN(市民番号)が発行され、保険、銀行、仕事、学校など、生活に必要な多くの手続きが可能になります。登録の際には予約を入れ、パスポートや賃貸契約書を持参して役所を訪問するのが一般的です。
詐欺への注意
オランダでは、住まいに関わる詐欺も少なくありません。たとえば、「まだオランダにいないので鍵を郵送する」と言って先にお金を要求したり、安い物件があると装って前払いを求めるケースなどがあります。信頼できるウェブサイトや仲介業者を利用し、契約書を交わす前にお金を支払わないようにしましょう。
家賃補助制度
収入や家賃の条件を満たせば、オランダ政府から「家賃補助(huurtoeslag)」を受けることができる場合もあります。外国人も申請する権利はありますが、住民登録と合法的な滞在資格が必要です。詳しくは税務署(Belastingdienst)の公式サイトで確認できます。
家の種類
一戸建て(Vrijstaand huis)
一つの建物が独立して建っている住宅のことで、いわゆる「戸建て住宅」です。庭付きで、プライバシーが確保されており、郊外に多く見られます。広さがあり、家族向けとして人気がありますが、都市部では数が少なく価格も高めです。
連棟住宅(Tussenwoning / Rijtjeshuis)
オランダで最も一般的な住宅の形です。数軒の家が横に並び、壁を共有しています。日本でいう「テラスハウス」や「タウンハウス」のような形です。前庭や裏庭があることが多く、郊外の住宅地に多く見られます。間取りや外観は統一されていることが多く家族向けに人気です。
連棟住宅の中で、両端にある住宅を「ホークウォーニング(角の家)」と呼びます。隣家と接するのが1面だけのため、通常の連棟住宅よりも明るく庭も広めです。そのため、両サイドに挟まれた中央の家より価値が高くなる傾向があります。
二世帯型集合住宅(Maisonnette)
2階建てまたは2層構造の集合住宅で、メゾネットとも呼ばれます。1階が玄関とリビング、2階が寝室などになっているケースが多いようです。アパートよりもプライバシーがあります。郊外の新興住宅地などで見られます。
アパート(Appartement)
都市部でよく見られる住宅形態です。オランダのアパートは、高層であることは比較的少なく、3~5階建てが一般的です。多くはレンガ造りで、築年数の古い建物が多いものの、リノベーションされている物件も増えています。
水上住宅(Woonboot)
オランダならではの住宅スタイルとして、「水上住宅(ハウスボート)」もあります。運河や湖に浮かぶこの家は、特にアムステルダムなどでよく見られ、見た目もユニークです。ボートとはいえ定住型であるため、住所登録もできますが、メンテナンスや許可が必要となる、やや特殊な住宅形態です。
学生寮・シェアハウス(Studentenwoning / Kamer / Hospita)
学生や若者には、部屋貸し(Kamer)やシェアハウス(Huis delen)、学生寮(Studentenwoning)も一般的です。トイレやシャワー、キッチンを共有するスタイルで、家賃が安く、都市部でも比較的見つけやすいですが、プライバシーは少なめです。数に限りはありますが、大学が提供する寮もあります。
Facebookの「オランダの部屋探しグループ」などでもシェア仲間の募集や空き部屋求むなどの投稿ができますが、詐欺被害の報告も多くあるので注意が必要です。
ゴミの収集ルール
ゴミの分別と収集が厳格に管理されており、自治体(gemeente)ごとに収集ルールが異なりますが、基本的な考え方や仕組みは全国共通です。環境保護の意識が高い国であるため、ゴミの分別は日常生活において非常に重要なルールの一つです。
ゴミの酒類
⚫︎一般ゴミ(Restafval)
焼却処理されるゴミ(分別できないゴミや、他のカテゴリーに当てはまらないゴミ)
例:汚れた紙、ティッシュ、壊れたおもちゃ、小さなプラスチック片など。
⚫︎紙類(Papier en karton)
汚れていない紙や段ボール、新聞、雑誌など。
⚫︎プラスチック・金属・飲料用パック(PMD:Plastic, Metal, Drink Cartons)
プラスチック容器、缶、アルミホイル、牛乳パックなどの飲料カートンなど。
⚫︎生ゴミ(GFT:Groente, Fruit en Tuinafval)
野菜くず、果物の皮、コーヒーかす、庭の草や落ち葉など。一部の地域では生ゴミ収集が行われていないこともあります、その場合には一般ゴミとして処理します。
⚫︎ガラス(Glas)
ガラス瓶やガラス容器はガラス用の回収ボックス(glasbak)に捨てます。色ごと(透明、緑、茶)に分かれている場合もあります。
ゴミの出し方と収集方法
⚫︎集積コンテナ方式(多くの都市部)
路上に設置された地下式コンテナ(ondergrondse container)にゴミを捨てると、地中の収納庫に自動的に落下する仕組みです。これは公共のゴミ箱のようなもので、鍵や専用カード(pas)がないと使えない場合があります。
⚫︎個別収集方式(郊外や住宅地)
一軒家や郊外では、ゴミの種類によって色分けされた大型のゴミ箱(kliko)が自宅に配布され、それぞれの収集日に家の前に出すことで回収してもらいます。
特殊なゴミの処分方法
⚫︎粗大ゴミ(Grofvuil)
家具や電化製品などの大型のゴミは、自治体に回収を依頼する(予約制)か、自分でゴミ処理場(milieustraat)へ持ち込む必要があります。一部地域では月1回の無料収集日があります。
⚫︎危険物(Chemicaliën, batterijen, verf, etc.)
化学薬品、電池、塗料などは、スーパーマーケットや自治体の回収ポイントに設置された専用ボックスへ。電池、蛍光灯、小型家電は店頭回収されていることもあります。
リサイクルの意識と課金制度
環境意識の高いオランダでは「ゴミを減らすこと」が非常に重視されています。多くの自治体ではゴミの量に応じた課金制度(Diftar)が導入されており、リサイクルすればするほど費用が減る仕組みになっています。
自治体は「ゴミ収集カレンダー(Afvalkalender)」を発行しており、ウェブサイトやアプリ(例:Afvalwijzerなど)で確認できます。郵便番号を入力すれば、自分の家の回収日が簡単に確認できます。







