基礎情報 2025年の祝祭日 地理 気候 サマータイム 時差 電圧 金融関連 携帯電話 ブロードバンド

基礎情報

正式国名

日本語 :オーストリア共和国
ドイツ語:Republik Österreich
英 語 :Republic of Austria

首都

日本語 :ウィーン
ドイツ語:Wien
英 語 :Vienna

国土面積

約84,000km²(ほぼ北海道の広さ)

人口

9,180,000人(世界95位)

在留邦人数

長期滞在者: 1,292人
永住者: 1,955人
合計: 3,247人(うち成人数:2,457人)

公用語

ドイツ語(トルコ語2.3%、セルビア語2.2%、クロアチア語1.6%、その他)(2001 est.)

民族構成

民族グループの大部分はオーストリア系80.8%で、以下、ドイツ系2.6%、ボスニア・ヘルツェゴビナ系1.9%、トルコ系1.8%、セルビア系1.6%、ルーマニア系1.3%、その他10%で構成されています。(CIA World Factbookより/2018年推定値)

主な宗教

ローマン・カトリック55.2%、イスラム8.3%、正統派4.9%、福音派3.8%、ユダヤ0.1%、その他 5.4%、無宗教22.4%

2025年の祝祭日

4月21日(月) イースターマンデー
5月1日(木) 国の祝日
5月29日(木) キリスト昇天祭
6月9日(月) 聖霊降臨祭(sub)
6月19日(木) 聖体祭
8月15日(金) 聖母の昇天祭
10月26日(日) 国民の日
11月1日(土) 万聖節
12月8日(月) 聖母の無原罪のお宿り
12月25日(木) クリスマス
12月26日(金) セントスティーブンズデー

地理

ヨーロッパの心臓部に位置するオーストリアは、東西に約580キロメートルにわたって広がり、北はチェコ、北東はスロバキア、東はハンガリー、南はスロベニア、南西はイタリア、西はスイスとリヒテンシュタイン、北西はドイツと、多くの国と国境を接しています。

この国の景観に独特の特徴を与えているのが、オーストリアアルプスと森林。アルプスの景観には複雑な地質学的・地形学的パターンがあり、標高3,798メートルの最高峰グロースグロックナー山(Großglockner)は西に向かって高くそびえ、西部のフォアアールベルク州(Hochdeutsch)、チロル州(Tirol)、ザルツブルク州(Land Salzburg)では、雄大な山々と高山アルプスの壮大な景観が楽しめます。

東アルプスに位置するオーストリアの渓谷には、イン川(Inn)、エンス川(die Enns)、ムール川(Mur)、そしてドラーヴァ川(Drau)といった数多くの川が流れています。スイスのエンガディン地方を源流とするイン川は、チロルの州都インスブルック(Innsbruck)を通りぬけるおよそ510キロの美しい旅路の果てにドナウ川(Donau)と合流し、内陸の水路として重要な役割を果たしています。最大の湖はブルゲンラント州(Burgenland)のノイジードラー湖(Neusiedler See)。この湖の総面積は約315平方キロメートルもあり、その約77%はオーストリアに、残りはハンガリーに属しています。アッター湖(Attersee)の面積は約46平方キロメートル、トラウン湖(Traunsee)の面積は約 24平方キロメートルで、総面積 約536平方キロメートルのボーデン湖(Bodensee)も、そのうちの約24平方キロメートルがオーストリア国内にあります。

気候

アルプス山脈の樹木に覆われた斜面と南東ヨーロッパの平野の一部は、それぞれ異なる気候帯に分かれています。西から卓越風が吹くため、湿度は西部で最も高く、東部に向かうにつれて低くなります。西部の年間降水量は約1,000mmの大西洋性気候。一方、東部は大陸性気候の影響を受けて乾燥しており、降水量は少なめです。

東部の低地と丘陵地帯の平均気温は、およそマイナス1℃(1月)から約20℃(7月)まで変化します。対照的に、標高3,000メートルを超える地域では、1月の気温はおよそマイナス11°Cで、積雪は3メートルほどになり、7月でも気温は2°Cほどで、冬の半分程度の積雪があります。

平均気温(°C)日照時間(H)UV Index
1月-2.3 – 4.02.331
2月-1.5 – 6.33.332
3月1.8 – 11.24.673
4月5.9 – 16.96.334
5月10.4 – 21.37.936
6月13.9 – 25.07.837
7月15.9 – 27.38.777
8月15.6 – 27.28.336
9月11.6 – 21.664
10月6.8 – 15.34.433
11月2.9 – 9.32.21
12月-1.1 – 4.61.731

サマータイム

原則的に、夏時間/サマータイム(British Summer Time / BST)は毎年3月の最終日曜日(2025年は3月30日)の01:00に1時間時計を進め、10月最終日曜日(2025年は10月26日)の02:00に1時間戻します。

時差

日本との時差は、グリニッジ標準時(Greenwich Mean Time / GMT)で8時間、サマータイム期間は7時間遅れ。オーストリアを含むヨーロッパのほとんどの国は、GMTより1時間先行しています。

電圧

220V / 230V(日本は100Vなので日本の電化製品を使う際には変圧器が必要)
コンセントはCタイプが一般的

金融関連

オーストリアに長期滞在する際、日々の生活に欠かせないのが現地の銀行口座。給与や日本からの生活費の振り込み、光熱費・通信費などの引き落とし、また、身分証明の一つとして銀行口座の明細を求められるケースもあります。

主要銀行としては、エルステ銀行(Erste Group Bank AG)、ライファイゼン・インターナショナル銀行(Raiffeisen Bank International AG/RBI)、ウニクレディト銀行(UniCredit Bank Austria AG)、Bバワグ・グループ(AWAG Group)、フォルクス銀行(Volksbank Bank)などの他、郵便局が運営するBank99が挙げられます。

オーストリアの銀行システムは、株式会社銀行、貯蓄銀行(Sparkassen)、協同組合銀行(RaiffeisenbankenおよびVolksbanken)からなる三層構造。これを統括するのがオーストリア国立銀行(OeNB)で、金融政策と銀行部門の規制を監督しています。

口座の種類

一般的にはまず、給与振込や各支払いの引き落とし、買い物などに使われる「普通預金口座(Girokonto)」を開設します。この口座を開くとキャッシュカードが発行され、いつでもお金の出し入れをすることができます。たびたび引き出しをする必要のないまとまったお金があれば、より高い利子が付く「貯蓄口座(Sparkonto)」を開設すると良いでしょう。銀行によっては、普通預金口座と貯蓄口座を同時に開設することが条件となっている場合もあります。

オーストリアでは通常、銀行口座に維持手数料がかかりますが、学生用口座は手数料が無料です。ただし年齢制限を設けている銀行もありますので、各銀行で確認しましょう。

若者向けの銀行サービスも充実しており、子どもたちに早い段階から正しい金銭感覚を身につける助けとなっています。オーストリアの大手銀行の多くは、10歳〜18歳までの子どもに無料口座を提供しています。例えば、エルステ銀行は、子どもが18歳で法的行為能力を獲得するまで、親が管理できる「spark7口座」を提供しています。また、バンク・オーストリア(Bank Austria)が発行する「MegaCard」は10歳〜20歳向けのデビットカードで、当座貸越機能のないキャッシュレス決済に特化した無料口座です。オンラインで簡単に申し込むことができます。

非課税貯金

国民の貯蓄率を上げ資産形成を促進することを目的として他国で導入されている非課税個人貯蓄口座は、残念ながらオーストリアにはありません。税制上の優遇措置のある金融商品としては、退職前までに資産を形成し、生涯にわたる追加年金または一時金を受け取ることができる投資貯蓄「ファンド・ゲブンデネ・ライフ・スワップ(Fondsgebundene Lebensversicherung)があります。これは株式投資(Aktieninvestition)と生命保険(Lebensversicherung)を組み合わせたようなもので、従来型の生命保険よりも潜在的な収益性は高いものの、リスクも伴います。しかし、所得税を支払う必要がなく、ポートフォリオの見直しも可能です。

投資貯蓄の受け取り方法には、「終身年金(Leibrente)」「一時払い(Pauschalzahlung)」または「その組み合わせ」の3種類があります。一時払いの場合、条件を満たせば利益の50%が非課税となり、終身年金の場合は退職年齢に応じて年金の一部のみが所得税の対象となります。

口座を開く

オーストリアで銀行口座を開設するには、まずは銀行に口座を開きたい旨を伝え、面接の予約を入れます。EUやEEA国籍であれば比較的簡単な手続きで銀行口座を開くことができますが、日本国籍者は、面接の予約を入れる際に特別に必要となる書類がないか確認しましょう。銀行により多少違いはありますが、一般的には以下の提示を求められます。
・本人確認書類:パスポート(外国籍の場合は必須)、運転免許証、政府発行の身分証明書など
・住所確認書類:公共料金の請求書、居住地を証明する地方自治体発行の証明書など
・納税者番号(TIN)
・雇用証明書または収入源証明書:雇用証明書、給与明細書、事業登録書類など
・頭金:額は開設する口座の種類による

口座を開くと、1週間ほどでキャッシュカード/バンコマートカルテ(Bankomatkarte)が、そして少し日にちをずらして暗証番号(Persönliche Identifikationsnummer/PIN/PIN-Nummer)が郵送されてきます。知らない人が複数居住しているシェアハウスやマンションに居住し盗難が心配な方は、カードと暗証番号の受け渡し方法を銀行に相談してみるのも良いでしょう。

暗証番号を変更するには、通常「現金自動支払機(ATM)」の「暗証番号変更(Online-Banking-PIN ändern)」機能を使います。銀行によっては、携帯電話のアプリやオンラインバンキングサイトにアクセスすることで、同様の手続きを踏むこともできます。

口座取引明細書/ステートメント

ほとんどの銀行では通帳を発行していません。明細(Bankauszug)が必要なときは銀行に設置されている機械を使って印刷します。近年主流となっているネットバンキングに登録しておけば、ブラウザーやアプリを使うことで残額照会はもちろんのこと、過去に遡って出入金を確認することもできるので便利です。

入金

銀行に入金するには下記の方法があります。
・オンラインバンキングによる振込
・ATM(バンコマート/Bankomat):営業時間外でも、支店内に設置された機械で現金を入金可(入金額に制限あり/一部の銀行のみ)
・モバイル小切手:支店に赴かずとも、スマホで小切手をスキャンして入金(一部の銀行のみ)
・口座振替:雇用主などが、給与を銀行口座への直接振込

現金引き出し

ATMは24時間利用可能。使用言語が選べる機会も少なくありません。オーストリアの銀行の営業時間は通常、月・火・水・金曜日は8:00 – 15:00、木曜日は8:00 – 12:30/13:30 – 17:30で、この時間内は銀行各支店の窓口でも現金が引き出せます。多くの場合、ATMを使った現金引き出しには手数料がかかり、その金額は引き落とし額によります。海外の銀行のキャッシュカードやクレジットカード、旅行用カードの使用や、特定の時間帯の利用には、別途、利用手数料や為替手数料がかかることがあるので、注意が必要です。

ユーロ圏以外の国で作ったカードを使用する際、一部のATMでユーロ換算の「あり(Accept Conversion/With Conversion)」「なし(Decline Conversion/Without Conversion)」を選択するよう求められる場合があります。「あり」つまり「自国通貨での引き落とし(Debit in Your Home Currency)」を選択すると、ATMの設定為替レートで換算し、別途手数料がかかります。「なし」つまり「ユーロでの引き落とし(Debit in EUR)」を選択すると、ATMはキャッシュカード会社(Visa、Mastercardなど)の為替レートで換算します。追加料金を避けるためには、ユーロのままの引き落としとなる「換算なし」を選択すると良いでしょう。

多機能ATM

オーストリアでは多機能ATMは他の国ほどは普及しておらず、ATMは主に現金の引き出しに使われるのが一般的です。

デビットカード

オーストリアの銀行は、「キャッシュカード(Bankomatkarten)」または「デビットカードDebitkarten」と呼ばれるバンクカードに高いセキュリティ基準を適用しているため、支払いや引き出しに広く利用されています(国境近くの小さな町では、一部ATMのセキュリティが懸念されているという報告もあります)。一般的なデビットカードとしては、MaestroやDebit Mastercardなどがあります。

デビットカードの利用率は高いものの、オーストリアでは依然として多くの支払いの場で現金が使用されています。カードだけでなく、ある程度の現金も持ち合わせていると良いでしょう。

コンタクトレス・ペイメント/キャッシュレス決済

コンタクトレス・ペイメント(Kontaktlos Bezahlen/Girocard Kontaktlos)は、暗証番号を入力することなく、専用読み取り機にデビットカードやクレジットカードをかざすだけで支払いが可能なシステム。オーストリアでは、依然として決済に現金も利用されていますすが、取引全体に占める割合は減少傾向にあります。

キャッシュレス決済の最も一般的な方法はデビットカードですが、Apple PayやGoogle Payなどのデジタル決済も利便性とスピードが普及を促進しており、特に若年層の間で人気が高まっています。しかし小売店などでの少額取引では、今も現金が好まれています。

自動引き落とし/口座振替

「自動引き落とし(Dauerauftrag)」は、家賃の支払いやローンの分割払いなど、ある程度長期にわたって一定の金額を決まった日に定期的に送金するときに使います。このサービスを利用することで簡単かつ確実に支払い処理をすることができます。自動引き落としは、口座名義人と銀行との間で書面により契約を締結し、いつでも解約できます。しかし自動引き落としによって一旦口座から支払いが行われると、問題が発生したとしても銀行から返金されることはありません。このようなことが起きてしまった場合には、受取人に直接連絡してください。

「口座振替(Lastschrift)(またはSEPA Direct Debit/SDD)」は、光熱費や電話料金の支払いなど、支払い毎に金額が変動する定期的な支払いに使います。これは、口座名義人が当該会社(例:通信事業者)に対して、口座から金額を徴収することを承認するシステムです。口座名義人は、意図しない引き落としに気づいたあと、直ちに金額の返金を求める権利を有し、この権利を引き落とし期間から数えて最大13カ月まで行使することができます。これは、電話の勧誘などで口座情報が不正に取得された場合などに特に有用な権利です。口座振替の承認は書面で行うため、異議申し立てをした際、引き落としを手配した会社がこの書面による承認を提示できないと、銀行が返金をすることになります。口座残高不足で引き落としができない場合は、相当額の銀行手数料が課されます。

自動引き落とし/自動振替の解約

「自動引き落とし(Dauerauftrag)」を解約するには、オンラインまたはモバイルバンキングプラットフォームから行うのが一般的です。口座にログインし、自動引き落としセクションに移動して、解約したい引き落とし先を見つけ、「削除」を選択します。電話または支店で解約できる銀行もあります。次の支払日前に解約が可能な期限については、銀行に確認しましょう。支払日の数日前までに解約が必要となる場合もありますので、余裕を持って解約手続きをするようにしましょう。

銀行口座からSEPA口座振替を承認したものの、今後の「口座振替(Lastschrift/SEPA)」を停止したい場合は、請求先の企業または個人に連絡して、口座振替の承認を取り消すことができます。契約内容によっては、すぐに解約できない場合もありますが、その際には別の支払い方法を設定する必要があります。

取引支店の変更と口座解約

銀行口座を解約するには、通常、銀行の窓口で手続きを行います。手続きにあたって必要となる書類は、パスポートなどの身分証明証、キャッシュカード、(発行されていれば)通帳などですが、個人の状況や銀行によっても異なりますので、事前に銀行のウェブサイトや電話で確認しましょう。また、解約前にはすべての口座振替や自動引き落としによる支払いが完了していること、給与などの振込先が変更されていることなどを確認しましょう。一部の銀行では、解約手数料が発生する場合があります。

長期間使っていない銀行口座は休眠預金として扱われることがあります。休眠預金になると口座の利用ができなくなる場合がありますので、早めに解約手続きを済ませましょう。

口座の残額は引き出すか他の口座に移して空にしておき、あとは銀行の担当者の指示通りに進めます。解約手続きが終了したら、「解約証明書(Bestätigung der Kontoschließung)」を発行してもらいます。税務申告の際に必要になることがありますので、内容に不備がないかしっかり確認しましょう。

一部の銀行では、オンラインバンキングポータルで解約手続きが可能な場合があります。銀行のウェブサイトで確認してみましょう。

預金保証および投資家補償制度

オーストリアの預金金融機関が破綻した場合には、法定預金保険制度(Einlagensicherung)により、預金者1人当たり最大10万ユーロ(銀行1行当たり)までの預金が補償されます。特別なケースでは、最大500,000ユーロまで補償されることもあります。これを実現させるために、オーストリアに登録事務所を持ち、顧客から預金を受け入れるすべての信用機関は、オーストリア預金保証制度(ESA)の会員になる必要があります。

住宅金融組合

住宅金融組合(Bausparkassen)は、住宅金融組合法(BSpG; Bausparkassengesetz)に基づく限定認可を受けた特別な信用機関で、住宅関連目的の融資を行っています。

貯蓄者は、住宅金融組合と契約し、貯蓄預金を預け入れる(積立段階)と、住宅貯蓄ローンを受ける(融資段階)ことができます。住宅貯蓄ローンの上限額(貯蓄者が受け取れる最高額)は、法律で定められています。住宅金融組合法に関する連邦住宅金融局(FMA)規則(BSpkV; Bausparkassengesetzverordnung)が、その法的根拠となっています。2025年7月現在、住宅金融組合の貯蓄者1人あたりの上限額は30万ユーロとなっていますが、この額はオーストリア統計局が作成する合意最低賃金指数の動向に基づき、定期的に増額(価値調整)されます。

住宅金融組合の認可を受けた組合には下記の4つがあります。:
・「ライファイゼン・バウシュパーカッセ(Raiffeisen Bausparkasse)」ライファイゼンバンクグループの住宅部門
・「ヴーステンロート・バウシュパーカッセ(Wüstenrot Bausparkasse)」金融グループであるに属する組合
・「バウシュパーカッセ・デア・ウスターライヒシェン・シュパーカッセン(Bausparkasse der Österreichischen Sparkassen/S-Bausparkasse」エアステ・グループ・バンクに属する住宅、教育、介護等に融資する与信機関
・「シュタルト・バウシュパーカッセ(Start Bausparkasse)」主に住宅ローンが専門

ネットバンク

オーストリアでは依然として伝統的な銀行業務が一般的ではあるものの、デジタルバンキングの導入も進んでいます。金利の良さなどを考慮するなら、実店舗を持たないことで経費を節減し、高い利子を実現しているネットバンクも考慮してみると良いでしょう。

特に、日本を離れたばかりでまだドイツ語が不得手な人でも英語で対応できる「N26」は人気が高いようです。他にも、国際的なライフスタイルに合わせて設計されたマルチカレンシー口座を持つ「ワイズ(WISE)」や「レボリュート(Revolut)」、専用のマネーポットで資産管理のできる「バンク(Bunq)」、日々のお金の出し入れから長期的な投資まで1つのアプリで管理し、サステナビリティを重視した「トゥモロー(Tomorrow)」、ネットバンクの中でも預金に高金利が付くとされ、フリーランスやスモールビジネスに人気の「ヴィヴィッドマネー(Vivid Money)」などがあります。いずれもスマホアプリを使ったさまざまな手続きが可能で、国内外への送金や両替が簡単に行えることから、渡墺直後の金融手段としても重宝されています。

日本とオーストリア間の送金

日本とオーストリア間の送金方法には、銀行振込、デジタル銀行のマルチカレンシー口座利用、PayPalなどがあります。銀行を通さず現金で受け取る場合には「ウエスタン・ユニオン(Western Union)」や「マネーグラム(MoneyGram)」といった海外送金専門店を利用するのも良いでしょう。

それぞれの送金方法のメリット、デメリットは一概にはいえませんが、一般的に、銀行送金は信頼性が高く高額送金ができる反面、手数料が高くなることが多いようです。先出のワイズ(WISE)やPayPalは、送金者と受信者の両方がアカウントを持っていれば、メールアドレスだけで手続きができ大変手軽な上、多くの通貨に対応していますが、現金での受け取りはできません。詳細はウェブサイトでご確認ください。

家庭用通信プロバイダー(固定電話、携帯電話、インターネット、有料テレビ)

オーストリアでは、家庭用通信サービスの選択肢が増加しています。国内市場には多くの企業が参入してビジネス獲得を競い合っており、さまざまなプロバイダーの幅広いプランから選択することができます。現在多くの通信会社では、固定電話、携帯電話、インターネット接続から、サブスクリプションまで幅広いサービスを提供しています。

家族全員の移住であれ、単身の留学であれ、オーストリアに到着したらまず自宅のインターネット環境を整えないことには何も始まりません。賃貸住宅の場合、すでにこれらのサービスに接続されていることもあり、その費用は毎月の家賃に含まれている可能性があります。賃貸契約の書類に署名をする前に、必ず大家に確認しましょう。また、登録者名が自分の名前になっていたら、別のプロバイダーに変更することができるかも確認すると良いでしょう。

サービスアパートメントや短期滞在用アパートでは、通常、通信に必要なすべての費用が賃料に含まれています。希望に応じてプロバイダーを変更できる場合もありますが、契約を結ぶ前に、最低契約期間とオーストリアでの滞在期間を考慮する必要があります。

現代社会ではスマートフォンが生活と密着していますが、オーストリアでは現在でも自宅に固定電話回線(Festnetz)を確保することを重要だと捉えている人も少なくありません。幸いなことに、オーストリアで固定電話を設定するのは比較的簡単。かつて国営通信事業者であった「A1(旧称:テレコム・ウスターライヒ(Telekom Österreich))」は、オーストリアの通信市場が自由化されたあとも依然として国内の固定電話ネットワークの大部分を運営しています。固定電話サービスを提供する他の事業者の多くはデジタル電話接続を採用しています。

多くのプロバイダーは固定電話を、インターネット、テレビ、携帯電話などのサービスとセットで提供しています。こういったセットプランの価格は、個々で契約するよりも大幅に割引になることがほとんど。しかし、通信契約の期間は24カ月であることが多いため、オーストリアでの滞在が24カ月未満となる予定の方は、契約期間の縛りがない「ノー・コミットメント/オーネビンダン(Ohne Bindung)」契約を探すと良いでしょう。

オーストリアのインターネット通信は高速で広範囲に及び、接続は一般的に固定のDSLケーブルで提供されます。また、ダウンロード速度を大幅に向上させる光ファイバー接続を提供するプロバイダーもあります。とはいえ接続速度は地域によって差がありますので、スピードテストを行った上でお住まいの地域で満足のいく速度を提供しているプロバイダーを確認してから契約しましょう。

インターネットの料金は、一般的にダウンロード速度とケーブルの種類によって決まります。また、一部のプロバイダーではテレビパッケージや音楽サブスクリプションなどのオプションを追加することもできます。さまざまなプロバイダーやパッケージがあり熾烈な競争を繰り広げているので、ニーズに合った適切なパッケージを見つけることができるでしょう。例えば、ゲームに多くの時間を費やす家庭ではより高速なダウンロード速度が必要になり、ソーシャルメディアや有料テレビサービスにのみインターネットを利用する場合は、普通のダウンロード速度でも問題ないでしょう。

オーストリアでのインターネット接続の設定は比較的簡単。手順はインターネットの種類によって大きく異なります。携帯電話インターネットを契約した場合は、プロバイダーから設置パッケージが届き次第すぐに接続ができます。固定回線接続の場合は、設置に技​​術的なサポートが必要であれば少し時間がかかってしまうかもしれません。何もないところからの接続には数週間かかる可能性もあります。

オーストリア内で引越しをするときは、新しい住所がわかり次第すぐにプロバイダーに連絡しましょう。引っ越し手続きのストレスを軽減し、できるだけ早くにインターネットに接続できるよう、プロバイダーがサポートしてくれるでしょう。