ベルギーの健康情報
医療システム・医療保険
ベルギーは高品質な医療で知られており、公的な健康保険制度と民間の保険が組み合わさった混合型の医療制度を採用しています。
かかりつけ医(Médecin généraliste / Huisarts)
日常的な健康相談、治療を行う最初に相談する医師で、風邪や腰痛など一般的な病気から、慢性疾患の管理(糖尿病など)まで対応します。必要に応じて、専門医や病院に紹介してくれ、直接予約するより、かかりつけ医を通じて紹介されたほうが、医療費の自己負担が少なくなる場合があります。
登録は義務ではありませんが、かかりつけ医を登録すると、医療情報が一元管理されたり、医療費の払い戻しが多くなる(割引を受けられる)などのメリットがあります。
かかりつけ医は、以下の方法で探すことができます。
・Mutuelle(健康保険組合)
加入している健康保険基金(mutualité / ziekenfonds)に連絡すると、近隣のかかりつけ医のリストや国語対応の医師(英語・日本語など)の情報を教えてくれます。
・ウェブサイト(Googleや地元サイト)
検索キーワードの例:「médecin généraliste Bruxelles」「huisarts Leuven」」「English-speaking GP Antwerp」
・医療予約サイト
Doctena.be :オンラインで家庭医や専門医の予約ができる。英語検索も可
MediQuality :医師情報・記事なども豊富(プロ向け要素もあり)
また、近くの信頼できるかかりつけ医を知っていることが多い、地域の薬局(pharmacie / apotheek)で聞いてみるのもよいでしょう。
医療保健サービス
ベルギーでは、国民全員が医療を受けられるように、公的な医療保険制度(健康保険)が整備されており、病院や診療所での治療費、薬代などの大部分が保険でカバーされます。
※ベルギーに住んでいる人(長期滞在者)は、原則として全員加入が義務です。
※外国人(留学生や駐在員など)も、一定の滞在期間がある場合は加入する必要があります。
・保険でカバーされる項目
医師の診察: 一部自己負担、残りを保険がカバー
病院での治療・入院 :多くの部分がカバーされる
薬:指定薬局での処方薬の一部または全額が補助される
専門医の診療: 一定額まで保険が負担(紹介状があるとより安くなる)
出産・産後ケア:カバーあり、助産師訪問も一部無料になる
理学療法・心理療法など:条件付きで補助あり
医療費はその場で支払い、あとで健康保険基金から一部が払い戻される仕組みです。最近では、「サードパーティーペイメント制度(tiers payant)」により、最初から自己負担分だけ支払えばよいケースも増えています(特に高齢者や低所得者)。
緊急時の対応
救急車が必要な場合は100番、携帯電話からは112番へ。救急車利用には料金がかかるため緊急でない場合は自家用車、タクシーの利用を。105番で赤十字緊急自動車を呼ぶと、患者の希望する病院に搬送してもらえますが100番より到着までに時間がかかります。
かかりやすい病気
ベルギーは先進国であり、公衆衛生や医療制度が整っているため、衛生状態は良好です。しかし、それでも以下のような病気や感染症には注意が必要です。これらの情報を把握し、予防対策を講じることが望ましいです。
季節性インフルエンザ:冬季(11月~3月)に流行。高齢者や基礎疾患を持つ人は特に重症化リスクが高いので、ワクチン接種や手洗い・マスク着用、人混みを避けるなどしましょう。
ダニ媒介性脳炎(TBE)・ライム病:森林や草地に生息するマダニを介して感染し、発熱・倦怠感・発疹などの症状が出ます。ハイキングやキャンプに行く時は肌の露出を避け、虫除けスプレーなどを使用すると良いでしょう。
風疹・麻疹・おたふく風邪:ワクチン未接種者が感染する可能性があります。
腸管感染症(ノロウイルス・サルモネラなど):飲食物を介して感染する食中毒。冬場はノロウイルスに注意が必要です。衛生的な調理や手洗いの徹底を心がけましょう。
RSウイルス(小児呼吸器感染症):乳幼児や高齢者で重症化する恐れあり。毎年冬季に流行します。乳幼児との接触には衛生管理を徹底しましょう。
予防接種
ポリオのみ、義務予防接種となっています。新生児の3回の接種が終了すると証明書が発行され、これをコミューンに提出する仕組み。公立乳幼児保険組織(Office de la Naissance et de l’Enfance/O.N.E.)とKind&Gezin ではワクチン代は6歳まで無料。一般医や小児科医で接種する場合は診察代がかかりますが、ワクチンが政府指定のものであれば、特殊ケースでない限り無料。
歯科治療
ベルギーの歯科治療は非常に質が高く、一般的な虫歯治療からクリーニング、審美歯科まで幅広い診療を受けることができます。ほとんどの歯科医院は予約制で、大都市では英語の通じる歯科医も多く、外国人でも安心して利用できます。
ベルギーに在住していて国の健康保険(mutuelle)に加入している場合、治療費の一部が払い戻されますが、すべての治療がカバーされるわけではなく、高額になることもあります。一方、旅行者や短期滞在者は健康保険の適用外となるため、歯科治療費は全額自己負担になります。治療費は日本よりやや高めの傾向があるため、事前に海外旅行保険に歯科補償が含まれているか確認しておくと安心です。緊急時には休日や夜間でも診療可能な当番医(dentiste de garde)制度も整っており、急なトラブルにも対応できます。
視力矯正
視力に問題を感じた場合、まず眼科医(ophtalmologue)に診てもらうのが一般的です。眼科では視力検査のほか、目の健康状態全体もチェックしてくれるため、コンタクトレンズを使用する場合や症状がある場合は、必ず眼科での診察が必要です。
メガネやコンタクトレンズを作る際には、眼科医の処方箋(ordonnance)を持って眼鏡店に行き、処方箋に基づいてレンズを調整します。ベルギーの眼鏡やコンタクトはやや高めの価格帯ですが、質は高く、デザインも豊富です。
公的健康保険(mutuelle)は、基本的に視力矯正器具(メガネやコンタクト)に対しての補助は限定的です。子どもや特定の条件を満たす場合には一部費用が返金されることがありますが、大人の場合は原則として自己負担となります。民間の補足保険(assurance complémentaire)に加入していると、補助が受けられることもあります。
レーシックなどの視力矯正手術も一部の専門クリニックで受けることができ、安全性も高いですが、こちらも通常は健康保険の対象外で、全額自己負担となります。
専門医
耳鼻咽喉科(ORL / ENT):耳・鼻・喉の病気を専門とする診療科です。慢性的な副鼻腔炎、難聴、耳鳴り、アレルギー性鼻炎、のどの異常などに対応します。予約は必要で、通常は一般医の紹介状が求められます。
皮膚科(Dermatologie):湿疹、にきび、アトピー、皮膚がんの検査などを行う科です。皮膚科医に直接予約を取ることも可能ですが、紹介を通すと保険の返金率が良くなることがあります。
婦人科(Gynécologie):定期検診(子宮頸がん検査、乳がん検診)、妊娠・出産、月経トラブル、更年期障害など女性の健康に関する全般を扱います。出産は病院が中心で、多くの施設で助産師との連携も整っています。
泌尿器科(Urologie):膀胱炎、尿路結石、前立腺の問題など、泌尿器系の病気に対応します。男性の健康問題(前立腺肥大、不妊など)にも対応します。
整形外科(Orthopédie):骨折、関節の痛み、スポーツ障害、関節炎など運動器系疾患を扱います。MRIやリハビリとの連携も多く見られます。
心療内科・精神科(Psychiatrie / Psychologie):ストレス、不安、不眠、うつ病などメンタルヘルスの問題に対応します。ベルギーでは**臨床心理士(psychologue)や精神科医(psychiatre)**によるサポートが受けられ、保険で一部カバーされるケースもあります。言語の壁が心配な場合は、英語対応のカウンセラーも探すことが可能です。
リハビリテーション科・理学療法(Kinésithérapie):けがや手術後の回復、姿勢の改善、慢性的な腰痛などに対する運動療法が受けられます。医師の処方に基づいて通うのが一般的で、費用の一部は保険で返金されます。
小児科(Pédiatrie):子ども向けの総合的な診療科です。予防接種、成長発達のチェック、病気の診断治療などが行われます。学校生活や発達に関するアドバイスも受けられます。
その他の医療機関
ベルギーでは、通常の病院や薬による治療(西洋医学)に加えて、ホメオパシーや鍼治療、オステオパシー、アロマセラピーなどの補完代替医療を利用する人もいます。これらは、自然治癒力を高めたり、ストレスや慢性的な不調をやわらげることを目的としています。
ホメオパシーは、植物や鉱物などをごく微量使って体のバランスを整える療法で、鍼治療やオステオパシー(骨格矯正)もよく使われています。
ベルギーにはこれらの療法に関する法律がありますが、国家資格や免許制度はまだ完全に整っておらず、施術者の質にばらつきがあるので、利用する場合は信頼できる人かどうかを自分で確認する必要があります。
また、公的な健康保険では基本的にカバーされず、すべて自費になることが多いですが、一部の保険組合や民間の追加保険では、補助が出る場合もあります。
補完代替医療は、自然志向の人や、通常の医療で十分に改善しなかった人にとって、選択肢のひとつになっています。ただし、科学的根拠がはっきりしない療法もあるため、過信せず、必要に応じて通常の医療とも併用することが大切です。
妊娠と出産
妊娠がわかったら
まず、かかりつけ医または婦人科医に相談します。必要に応じて血液検査や超音波検査が行われ、妊娠週数を確認します。
【必要な手続き】
・妊娠初期にはmutuelleへの届け出が必要です。
・出産後、出生届(déclaration de naissance)は5営業日以内に市役所で行います。
・小児科医の登録や予防接種のスケジュールもこの時期にスタートします。
妊婦健診と検査
婦人科医や助産師によって行われ、医師と助産師が協力しながら出産までサポートします。超音波検査は通常3回(初期・中期・後期)行われ、必要に応じて追加されます。出生前診断(NIPTなど)も希望すれば受けられます。
出産の場所と方法
出産はほとんどの場合、病院(Clinique / Hôpital)で行われます。個室やファミリールームがある病院も多く、出産方法も自然分娩・無痛分娩・帝王切開など、妊婦の希望や状況に合わせて柔軟に対応してくれます。助産師が立ち会う自然な出産スタイルも普及しています。
費用と保険
ベルギーに在住し、公的健康保険(mutuelle)に加入していれば、妊婦健診や出産にかかる費用の多くがカバーされます。私立病院や個室を希望する場合は、追加費用がかかりますが、補足保険(assurance complémentaire)に加入していればカバーされることもあります。
出産後のサポート
出産後は、助産師が自宅訪問(sage-femme à domicile)して母体と赤ちゃんの健康チェックや授乳サポートをしてくれます。さらに、子ども手当(allocations familiales)も自動的に受け取れるようになり、育児にかかる費用の助けになります。
産休について
合計15週間の出産休暇が取得できます(※多胎児の場合は延長あり)
出産前休暇:出産予定日の 6週間前までに開始(うち1週間は義務、5週間は任意)
出産後休暇:出産後 最低9週間は義務
父親や共同親にも10日間の有給育児休暇が認められています(出産日から4か月以内に取得)。
最初の3日間は全額有給(雇用主が支払う)で、残りの7日間は健康保険から給与の82%が支給されます。
出産手当・育児手当(母親への支給)
産休中は通常の給料の代わりに、公的健康保険(mutuelle)から出産手当が支給されます。最初の30日間は、給与の82%相当が支払われ、その後は、給与の75%相当が支給されます(上限あり)。
※雇用保険に一定期間加入している必要があります(通常、過去12カ月間に一定日数働いていること)。
※健康保険組合(mutualité)に登録していることが必要です。
出産祝い金(出生手当)
ベルギーでは、赤ちゃんが生まれると「出産祝い金(Prime de naissance / Kraamgeld)」がもらえます。地域によって異なりますが、約1,200ユーロ前後(子ども1人あたり)
お住まいの地域(フランデレン地域 / ワロン地域 / ブリュッセル首都圏)の子ども手当機関に申請します。出産前でも申請可能(妊娠6カ月以降)
水道水・食事
水道水
厳格な品質基準に従って処理されており、飲用に適しています。場所によって水質が異なると感じることもありますが、衛生面では問題ありません。
硬度は地域によって異なり、一般的には中程度からやや硬質で、カルシウムやマグネシウムのミネラルが多く含まれるため、水道水の味に影響を与えることがあります。
食物
狭い国土をうまく利用した酪農、養豚、養鶏、多種多様な野菜の栽培によって豊かな食生活が支えられ、美食の国としても知られます。
野菜類ではベルギーチコリ、アスパラ、ジャガイモ、エシャロット、芽キャベツなどが有名。北海近くのエリアでは、ムール貝やカキ、小エビ、舌平目、ニシンなどの新鮮な魚介類に恵まれ、アルデンヌの高地をひかえた南部は淡水魚、キジや野ウサギ、イノシシ、シカなどの宝庫です。
ワインの原料となるブドウの栽培には適さない土壌なので、名産品のホップを使ったビール造りが盛んです。







