マドリード一般情報
マドリード概要
マドリードは、人口約330万人を誇るスペインの首都であり最大の都市です。イベリア半島のほぼ中央に位置し、政治、経済、文化の中心地として国内外で重要な役割を果たしています。歴史的な重厚さと現代的な都市機能を併せ持ち、スペインの心臓とも言える都市で、観光にも居住にも魅力的な場所です。
行政区
マドリード市は21の区に分かれており、各区はさらに小さな行政単位であるバリオ(Barrio:近隣地区・町)に分かれます。
マドリードの公共交通機関
公共交通機関
マドリードの公共交通機関は、利便性・網羅性・コストパフォーマンスの3拍子がそろった、ヨーロッパでも優れたシステムです。市内中心部から郊外まで、旅行者にも居住者にも使いやすい交通網が整っています。
主に地下を走るメトロ(Metro)、国営鉄道のCercanías(セルカニアス/近郊列車)、EMT(市営バス)トラムがあります。
乗車券
市内バス(EMT)はクレジットカードなどのコンタクトレスカードに対応していますが、地下鉄と近郊鉄道(Cercanías)においては、現時点(2025年)では対応しておらず、電車利用時は、必ず「Tarjeta Multi」や「Tourist Travel Pass」などの交通カードを使う必要があります ただし、将来的には導入予定と報道されており、試験的に一部駅での運用が始まる可能性あります。
そこで便利なのが、「Tarjeta Multi(タルヘタ・ムルティ)」と呼ばれる再利用可能なICカードです。地下鉄(メトロ)、市バス(EMT)、近郊鉄道(Cercanías RENFE)などの異なる交通機関を、基本的には1枚のICカードで利用できるようになっています。
このカードは2.50ユーロで購入でき、紙の切符の代わりにチャージして使います。地下鉄や市バス、ライトレール、そして一部の近郊鉄道(Cercanías)にも対応しており、複数の種類のチケットや回数券をこの1枚にまとめて保存することができます。カードは、空港を含むほとんどの駅の自動券売機や「Estanco」と呼ばれる街角のタバコ屋(コンビニのような存在)でも購入可能です。
料金は、移動距離やゾーンに応じて異なります。たとえば、マドリード市内中心部をカバーするゾーンAであれば、1回券は1.50〜2.00ユーロ程度、10回券(ボノ・メトロバス)は12.20ユーロで購入できます。10回券は地下鉄と市バスの両方で共通して使えるため、日常的に移動する人にとって非常に経済的です。
一方、旅行者や短期滞在者に便利なのが「Tourist Travel Pass(アボノ・トゥリスティコ)」です。これは1日〜7日間のあいだ、マドリードの公共交通機関が乗り放題になるパスで、利用開始日から連続した日数分有効です。ゾーンAの範囲であれば、市内の地下鉄・バス・トラムなどに自由に乗ることができ、ゾーンTのパスを選べば、空港や郊外の近郊鉄道までカバーされます。
メトロ(地下鉄)
マドリードの地下鉄(Metro de Madrid)は、旅行者・通勤者・居住者すべてにとって使いやすく、スペインの中でも特に発達した都市鉄道です。
地下鉄の運行時間は、通常朝6時から翌1時30分ごろまでとなっており、深夜までの運行があるため、夜の外出にも対応。(ただし、路線によって始発や終電の時間は若干異なります)
利用者は、ゾーン制に基づいた運賃体系のもとで乗車しますが、観光客の多くが利用する「ゾーンA(マドリード市中心部)」内であれば、料金は比較的安価で、1回の乗車につき1.50〜2.00ユーロ程度です。また、空港駅を利用する場合は、通常の運賃に加えて空港アクセス料金(約3ユーロ)が追加される点に注意が必要です。 駅構内や車両内の案内表示はスペイン語が基本ですが、観光地周辺では英語表記もあり、券売機も多言語対応しているため、スペイン語が話せなくても安心して利用できます。
また、バリアフリー対応も年々進んでおり、多くの主要駅にはエレベーターやスロープが設置。 さらに、マドリードの地下鉄には、他の鉄道やバスとの接続が非常に良く、市内バスやCercanías(セルカニアス)と呼ばれる近郊鉄道に乗り換えることができるため、都市内外の移動が非常に効率的です。
近郊鉄道
マドリードの近郊鉄道は Cercanías(セルカニアス)と呼ばれ、都市中心部と郊外、さらには周辺都市を結ぶ高速かつ効率的な通勤鉄道ネットワークです。
料金体系はゾーン制になっており、移動する距離に応じて価格が変動します。市内中心部(ゾーン0〜1)であれば1.70ユーロから、郊外ゾーンへ移動する場合は4ユーロ前後になることもあります。ただし、複数回利用する場合は回数券(Bonotren)や定期券を利用すると大幅に安くなります。
なお、チケットは自動券売機やRenfe公式アプリから購入することもでき、最近ではQRコードやモバイルチケットの利用も普及してきています。ただし、地下鉄と異なり、現時点ではコンタクトレスのクレジットカードによる直接タッチ乗車には対応していません。
バス
マドリードのバスは、市内の移動にとても便利で、地下鉄と並んで主要な交通手段の一つです。運行は「EMT(Empresa Municipal de Transportes)」という市営会社が担当しており、市内を網の目のように走る多くの路線があります。
バスは早朝から深夜まで運行しており、主要路線では5〜10分おきに運行されるため非常に使いやすいです。深夜帯には「ナイトバス(Búhos)」と呼ばれる深夜バスが運行されており、深夜0時頃から朝方まで市内各地を結んでいます。
乗車にはメトロと共通の「交通カード(Tarjeta de Transporte Público)」を使い、1回券や定期券も利用可能です。バス停には路線番号や時刻表が表示され、アプリでもリアルタイムで運行状況を確認できます。
交通渋滞の影響を受けやすい一方で、地下鉄が通っていない地域へのアクセスには欠かせない交通手段です。