マドリード一般情報
マドリード概要
マドリードは、人口約330万人を誇るスペインの首都であり最大の都市です。イベリア半島のほぼ中央に位置し、政治、経済、文化の中心地として国内外で重要な役割を果たしています。歴史的な重厚さと現代的な都市機能を併せ持ち、スペインの心臓とも言える都市で、観光にも居住にも魅力的な場所です。
行政区
マドリード市は、スペインの首都であり最大の都市で、行政的には21の行政区(Distritos)に分かれています。これらの行政区は、市の効果的な管理と住民サービスの提供を目的として設置されており、それぞれがさらに小さな地域(バリオ、Barrios)に細分化されています。行政区ごとに独自の文化や雰囲気、社会構成があり、マドリードの多様性を形作っています。
市の中心部には、観光や商業の中心地であるセントロ(Centro)区があり、プエルタ・デル・ソルやマヨール広場などの歴史的建造物が集まっています。北東部のサラマンカ(Salamanca)区は高級住宅地として知られ、ブランドショップや高級レストランが立ち並ぶエリアです。チャマルティン(Chamartín)区はビジネス街としての顔を持ち、大型駅やオフィスビルが集中しています。
また、ラバピエスやラティーナといったエリアが含まれるアランサスエラ(Arganzuela)やウセラ(Usera)などは、多文化的で活気のある庶民的な地区です。大学や研究機関が集まるモンクロア=アラバカ(Moncloa-Aravaca)区は、学生や教職員に人気の住宅地となっています。
このようにマドリードの行政区は、それぞれに異なる特徴を持ち、生活スタイルや不動産価格、公共サービスの内容にも影響を与えています。住民登録(パドロン)や選挙、学区割りなどもこの行政区の単位で管理されており、市民生活と密接に結びついています。
郵便番号
マドリードの郵便番号(Código Postal)は、スペインの郵便システムにおいて重要な役割を果たす5桁の番号で、市内の地域ごとに細かく設定されています。最初の2桁「28」はマドリード州全体を示し、その後の3桁で市内の特定の行政区や地区を区別します。
マドリード市は広範囲にわたっており、21の行政区(Distrito)それぞれに複数の郵便番号が割り当てられています。たとえば、旧市街を含むセントロ(Centro)区では「28012」「28013」「28014」などが使われ、サラマンカ(Salamanca)区には「28001」から「28006」までが含まれます。一方、空港に近いバラハス(Barajas)区では「28042」、郊外のビジャベルデ(Villaverde)区では「28021」や「28041」などが用いられています。
このように郵便番号は、マドリード市内の地理的・行政的な区分と密接に結びついており、郵便物の正確な配達や各種手続きにおいて不可欠な情報です。オンラインショッピングや住民登録、公的書類の申請など、さまざまな場面で郵便番号の正確な記入が求められるため、自分が住む地域の番号を把握しておくことは非常に重要です。
郵便番号の検索には、スペイン郵便局(Correos)の公式ウェブサイトや市役所の情報が活用できます。特に同じ通り名が複数の行政区にまたがることもあるため、正しい郵便番号の確認が必要です。
マドリードの公共交通機関
公共交通機関
マドリードの公共交通機関は、利便性・網羅性・コストパフォーマンスの3拍子がそろった、ヨーロッパでも優れたシステムです。市内中心部から郊外まで、旅行者にも居住者にも使いやすい交通網が整っています。
主に地下を走るメトロ(Metro)、国営鉄道のCercanías(セルカニアス/近郊列車)、EMT(市営バス)トラムがあります。
乗車券
市内バス(EMT)はクレジットカードなどのコンタクトレスカードに対応していますが、地下鉄と近郊鉄道(Cercanías)においては、現時点(2025年)では対応しておらず、電車利用時は、必ず「Tarjeta Multi」や「Tourist Travel Pass」などの交通カードを使う必要があります ただし、将来的には導入予定と報道されており、試験的に一部駅での運用が始まる可能性あります。
そこで便利なのが、「Tarjeta Multi(タルヘタ・ムルティ)」と呼ばれる再利用可能なICカードです。地下鉄(メトロ)、市バス(EMT)、近郊鉄道(Cercanías RENFE)などの異なる交通機関を、基本的には1枚のICカードで利用できるようになっています。
このカードは2.50ユーロで購入でき、紙の切符の代わりにチャージして使います。地下鉄や市バス、ライトレール、そして一部の近郊鉄道(Cercanías)にも対応しており、複数の種類のチケットや回数券をこの1枚にまとめて保存することができます。カードは、空港を含むほとんどの駅の自動券売機や「Estanco」と呼ばれる街角のタバコ屋(コンビニのような存在)でも購入可能です。
料金は、移動距離やゾーンに応じて異なります。たとえば、マドリード市内中心部をカバーするゾーンAであれば、1回券は1.50〜2.00ユーロ程度、10回券(ボノ・メトロバス)は12.20ユーロで購入できます。10回券は地下鉄と市バスの両方で共通して使えるため、日常的に移動する人にとって非常に経済的です。
一方、旅行者や短期滞在者に便利なのが「Tourist Travel Pass(アボノ・トゥリスティコ)」です。これは1日〜7日間のあいだ、マドリードの公共交通機関が乗り放題になるパスで、利用開始日から連続した日数分有効です。ゾーンAの範囲であれば、市内の地下鉄・バス・トラムなどに自由に乗ることができ、ゾーンTのパスを選べば、空港や郊外の近郊鉄道までカバーされます。
メトロ(地下鉄)
マドリードの地下鉄(Metro de Madrid)は、旅行者・通勤者・居住者すべてにとって使いやすく、スペインの中でも特に発達した都市鉄道です。
地下鉄の運行時間は、通常朝6時から翌1時30分ごろまでとなっており、深夜までの運行があるため、夜の外出にも対応。(ただし、路線によって始発や終電の時間は若干異なります)
利用者は、ゾーン制に基づいた運賃体系のもとで乗車しますが、観光客の多くが利用する「ゾーンA(マドリード市中心部)」内であれば、料金は比較的安価で、1回の乗車につき1.50〜2.00ユーロ程度です。また、空港駅を利用する場合は、通常の運賃に加えて空港アクセス料金(約3ユーロ)が追加される点に注意が必要です。 駅構内や車両内の案内表示はスペイン語が基本ですが、観光地周辺では英語表記もあり、券売機も多言語対応しているため、スペイン語が話せなくても安心して利用できます。
また、バリアフリー対応も年々進んでおり、多くの主要駅にはエレベーターやスロープが設置。 さらに、マドリードの地下鉄には、他の鉄道やバスとの接続が非常に良く、市内バスやCercanías(セルカニアス)と呼ばれる近郊鉄道に乗り換えることができるため、都市内外の移動が非常に効率的です。
近郊鉄道
マドリードの近郊鉄道は Cercanías(セルカニアス)と呼ばれ、都市中心部と郊外、さらには周辺都市を結ぶ高速かつ効率的な通勤鉄道ネットワークです。
料金体系はゾーン制になっており、移動する距離に応じて価格が変動します。市内中心部(ゾーン0〜1)であれば1.70ユーロから、郊外ゾーンへ移動する場合は4ユーロ前後になることもあります。ただし、複数回利用する場合は回数券(Bonotren)や定期券を利用すると大幅に安くなります。
なお、チケットは自動券売機やRenfe公式アプリから購入することもでき、最近ではQRコードやモバイルチケットの利用も普及してきています。ただし、地下鉄と異なり、現時点ではコンタクトレスのクレジットカードによる直接タッチ乗車には対応していません。
バス
マドリードのバスは、市内の移動にとても便利で、地下鉄と並んで主要な交通手段の一つです。運行は「EMT(Empresa Municipal de Transportes)」という市営会社が担当しており、市内を網の目のように走る多くの路線があります。
バスは早朝から深夜まで運行しており、主要路線では5〜10分おきに運行されるため非常に使いやすいです。深夜帯には「ナイトバス(Búhos)」と呼ばれる深夜バスが運行されており、深夜0時頃から朝方まで市内各地を結んでいます。
乗車にはメトロと共通の「交通カード(Tarjeta de Transporte Público)」を使い、1回券や定期券も利用可能です。バス停には路線番号や時刻表が表示され、アプリでもリアルタイムで運行状況を確認できます。
交通渋滞の影響を受けやすい一方で、地下鉄が通っていない地域へのアクセスには欠かせない交通手段です。
タクシー
マドリードのタクシーは、市内や空港への移動手段として便利で比較的利用しやすい公共交通の一つです。市内を走るタクシーは白い車体に赤い斜めのラインが入っており、ドア部分に市のエンブレムが描かれています。すべての車両は登録制で、メーター制運賃を採用しており、観光客でも安心して利用できます。
タクシーは市内のタクシー乗り場(Parada de taxi)から乗る他、流しの車を手を挙げて止めたり、電話・アプリで呼ぶこともできます。車の上部にあるランプが緑色に点灯している場合は空車で、すぐに乗車可能です。
支払いは現金だけでなく、ほとんどの車両でクレジットカードやタッチ決済が利用可能です。最近では「Free Now」や「PideTaxi」などのアプリを使えば、GPSで配車し、料金も事前に確認できるため非常に便利です。
レンタサイクル
マドリードでは、電動自転車シェアリングサービス「BiciMAD(ビシマッド)」が市内全域で利用できます。
専用アプリを使って、約250以上のステーションから電動自転車をレンタルでき、1回利用や定期パスが選べます。坂道の多いマドリードでも快適に移動でき、環境に優しい移動手段として人気です。利用には登録と支払い手段の登録が必要で、アプリ内でリアルタイムの空き状況も確認可能です。
BiciMADの乗り方
1.会員登録
スマホで「BiciMAD」アプリをダウンロードし、メール・電話番号・本人確認(ID/NIE/パスポート)・クレジットカード情報を登録します。2分間の認証用チャージあり。
2.自転車をアンロック
①アプリでQRコードを読み取る
②または、BiciMAD会員カード/MPass交通カードを台座にタップして解除
3.乗車中
電動アシスト付きで、LCD表示に速度やバッテリー残量が表示されます。
4.返却方法
対応ステーションに戻し、緑色ライトと「ビープ音」が鳴るのを確認します。満杯の場合は、端に停めてロックし、アプリで返却手続きを行います。
5.料金体系
・都度利用:最初の30分 €0.50、2回目も €0.50、その後30分毎に€3
・月額会員(€10/月):30分以内無料、以降は都度利用と同じ
電動スクーター
マドリードでは、政府公認の電動スクーター共有サービスが3社(Dott、Lime、Tier)運営され、合計最大6,000台が稼働しています。利用には各社アプリでの登録・支払い情報登録が必要で、スクーターを見つけてQRコードをスキャンするだけで簡単に開始できます 。
料金はおおむね0.15~0.23 €/分で、定額パスやバンドルプランも用意されています。利用時は、歩道やバス専用レーンへの進入禁止、幅6m以上の歩道では平行駐車など、都市交通条例に基づく厳しいルールが適用されます。