オランダの健康情報
医療システム・医療保険
・家庭医システム
オランダでは、まず家庭医が医療に関するすべてのコンタクト先となるため、居住者は地域の家庭医に登録します。家庭医を決めるには、Gemeentegids(地方自治体が毎年発行している市民の為の案内書)の健康欄などを参考にし、同僚や隣人、家主などにアドバイスをもらうとよいでしょう。
専門医の受診や入院する場合にも、原則として家庭医の紹介が必要です。
・国民皆保険制度
必要な医療サービスを受けられない人がいないよう、居住者は基本保険(Basisverzekering)に加入することが法律で義務付けられています。任意で加入できる補完的な追加保険(Aanvullende verzekering)もあります。
日蘭社会保障協定により、日本での適用証明を入手している日本人は適用期間、オランダの法定医療保険に加入する必要はありません。しかしオランダ政府管轄医療保険管理会社(Centraal Administratie Kantoor/CAK)より、医療保険に加入要求や罰金請求などの警告が個人宅に届くこともあるため、保険加入義務がないことを証明できることが大切です。
・公私混合システム
オランダの医療システムは、公的規制と民間保険会社の競争を組み合わせた独特のモデルを採用しています。政府は医療の質とアクセス性、民間保険会社はサービスの効率化や質の向上を競います。
緊急時の電話番号
生命の危険がある状況や犯罪を目撃した場合には、緊急援助のために112に電話をしてください。なお、この番号はヨーロッパ各国共通です。
かかりやすい病気、感染症、その他
下記の病気が報告されています。
ダニ脳炎(Tekenencefalitis)
マダニによって媒介され、髄膜炎を引き起こす可能性がある病気。オランダではまだまれですが、病原菌を媒介するマダニはヨーロッパ大陸全土の森林、草地、広野といった温帯湿潤環境で繁殖し、活動のピークは春から秋にかけてです。詳しくはこちらをご覧ください。
リーシュマニア症(Leishmaniasis)
サンチョウバエにより媒介される寄生虫疾患。皮膚リーシュマニア症、内臓リーシュマニア症、粘膜皮膚リーシュマニア症の3つがあります。オランダでの発症はまれです。
狂犬病(Rabies)
犬や猫を含め、動物には触ったり餌を与えたりしないようにしましょう。健康に見えるペットでも狂犬病やその他の病気を持っている可能性があります。狂犬病に罹っている動物は挑発されなくても攻撃することがあります。動物の咬傷は、重篤な創傷や狂犬病を引き起こすこともあるので注意が必要です。破傷風の追加接種をして免疫をつけておくとよいでしょう。
食中毒(Voedselvergiftiging)
オランダでは毎年4万人以上がサルモネラ菌による突発性胃腸感染症を発症しています。生卵や生乳には、サルモネラ、大腸菌、キャンピロバクター、リステリアなど、さまざまな病原性微生物が含まれている可能性がありますので乳製品は(低温)殺菌されていることを確認し、殺菌されていない乳製品は避けましょう。
予防接種
スイス入国にあたって、ワクチン接種証明が必要な特定の感染症はありませんが、下記の予防接種が推奨されています。
・MMR(麻疹・風疹・おたふく風邪)、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)、ポリオ
・A型肝炎ウイルス
・B型肝炎HBVウイルス
・狂犬病
歯科治療
オランダでは、人工知能(AI)やデジタル技術を活用した先進的な歯科治療が急速に普及しています。例えば、AIを使ったX線画像の診断が非常に高精度になっており、短時間で虫歯や歯周病の発見が可能です。また、3DプリンターやCAD/CAM技術により、クラウンやブリッジなどをその場で設計・製作できるため治療のスピードと精度が向上しています。さらに、ロボット支援によるインプラント手術や、患者一人ひとりに合わせたマウスピースの3D作成技術も進んでいます。
予約や相談にはAIチャットボットを使った対応が増えてきており、オンライン診療にも対応しています。
視力矯正
特に子どもの近視対策が進んでおり、近視と遠視の傾向が判断できる、角膜の頂点から網膜までの眼球の長さ(眼軸長)を測定し、必要に応じて点眼薬を使用して近視の進行を抑えます。副作用が出た場合には専用の眼鏡で対応します。
また、夜間装用レンズや多焦点コンタクトレンズ(MiSightなど)も活用され、視力矯正と近視進行抑制の両方を目指しています。
加えて、屋外活動の推奨やスクリーン時間の制限など、生活習慣の改善も重視されています。国をあげた啓発活動も行われており、早期発見・予防的ケアが社会全体に広がっています。
その他の医療機関
家庭医/かかりつけ医(Huisarts)
オランダの医療制度では、まず「家庭医」が医療の窓口となります。病院や専門医に行くには、原則として家庭医からの紹介が必要で、軽い風邪から慢性疾患、メンタルヘルスの相談まで幅広く対応します。診察は平日の日中に行われ、夜間や休日は地域ごとの「夜間救急センター(Huisartsenpost)」が対応します。英語での診察に慣れている医師が多いので、外国人でも利用しやすい。
往診(huisbezoek)が必要になることも考慮し、通常は自宅に近い家庭医を選びます。緊急時でも家庭医を介すのが基本のルールですが、予約に時間がかかることもあるため、病態の悪化が懸念される場合には、「救急外来/エーハーベーオー(Eerste Hulp Bij Ongelukken/EHBO)」を利用しましょう。
病院(Ziekenhuis)
専門治療や手術、入院が必要な場合に利用され、一般病院と大学附属病院(Universitair Medisch Centrum/UMC)があり、高度な医療が提供されます。
主な大学病院には以下のものがあります。
Leiden University Medical Center (LUMC)(ライデン)
Erasmus MC(ロッテルダム)
Amsterdam UMC(アムステルダム)
UMC Utrecht(ユトレヒト)
Radboudumc(ナイメーヘン)
整骨・理学療法(Fysiotherapie)
骨や筋肉のリハビリ、運動療法などは一般医の紹介があると、保険で部分カバーされる場合もありますが、原則自己負担になるケースが多いようです。
心理・精神科(Geestelijke Gezondheidszorg/GGZ)
軽度なカウンセリングから、うつ病・不安障害・統合失調症などの治療を行います。公的機関や私立クリニックなどがあります。受診には、一般医の紹介が必要です。
妊娠と出産
・妊娠確認後は中〜低リスクの妊娠は助産師(verloskundige)が主な窓口となり、家庭医や産婦人科医への紹介が必要な場合のみ移行します。
・受診スケジュールは、妊娠初期は月1回、後期になると2週間ごと。超音波検査は10〜12週と約20週頃に2回行われ、必要に応じて追加検査もあります。
・分娩場所や方法(自宅・病院・産科センター)に関する希望は、初回相談時に話し合います。
出産の選択肢について
自宅出産(Thuisbevalling)
低リスク妊娠では自宅での分娩が推奨され、助産師がサポートします。必要な時には病院への搬送体制も整っています。
産科センター(Geboortecentrum)
自宅と病院の中間的施設で、助産師主導・家庭的ながら医療設備完備の環境を提供します。
病院出産(Ziekenhuisbevalling)
医療的に必要な場合や希望による場合、病院で助産師または産婦人科医が対応。痛み止めなどは必ずしも常備していないため、必要になると思われる妊婦は早めに伝えておくことが重要です。
出産後サポート(Postnatale Ondersteuning)
産後ケア/クラームゾルフ(Kraamzorg)
出産後8〜10日間、専任の産後へルパー/クラームベルゾルヘンデ(Kraamverzorgende)が毎日家庭訪問し、母子の健康チェック、新生児のケア、授乳支援などを行います。基本的に健康保険でカバーされますが小額の自己負担があります。この制度は高く評価されてきましたが、人手不足・労働環境の問題によりサービス提供が圧迫され、今後さらにケアが受けられない家庭が増えると懸念されています。
助産師の訪問
出産後1週間以内に助産師が2〜3回ほど家庭訪問し、母子の健康状態確認と相談対応を行います 。
育児相談所(Consultatiebureau)
クラームゾルフ終了後は4歳まで、地域の保健機関が子どもの成長・発達チェックや予防接種・育児指導を実施します。
産後休暇(Zwangerschapsverlof)
出産前後合わせて約16週間の有給休暇が保障されます。
育児休暇(Vaderschaps-/partnerverlof)
パートナーにも最大6週間の有給休暇が付与されます(うち1週間は出生直後が義務)。
出生登録(Geboorteaangifte)
出生後3日以内に市役所(gemeentehuis)で登録が必要。国際出生証明書も申請可能です。
オランダの妊娠・出産ケアは、自然な流れを重視しつつ医療制度と地域サポートが融合した仕組みで知られています。
水道水・食事
水道
飲料に適し、ミネラルを多く含む石灰岩の山などがないためか、硬度はヨーロッパの中では低めです。それでも日本と比べれば高いので、ミネラルウォーターを買うなどの対策が必要になる人も。
食物
酪農が盛んなため乳製品が豊富。さらに、野菜や果物も温室栽培の普及や、アメリカ、南ヨーロッパ、北アフリカからの輸入が多く、1年中新鮮なものが入手できます。日本の野菜も栽培されており、大根やカボチャ、シイタケ、貝割れ菜、ショウガなどが出回っています。
肉類は、特にハムやソーセージなどの加工品は日本に比べるとかなり安価で、種類も豊富。魚介類は種類こそ少ないものの、新鮮なものが手に入ります。ただ、肉類に比べると価格は少し高めです。







