フランスの健康情報
医療システム
フランスは、かかりつけ医制度を推奨していますが、眼科、外科、皮膚科などは、紹介状なしで直接予約や受診することが可能です。ただし、かかりつけ医メドサン・トルタン(médecin traitant)を通して受診しないと公的健康保険による保障額が低いため自己負担額が増えます。かかりつけ医では、普段の体調不良や慢性疾患などを把握してくれて、生活習慣病の管理、予防接種、健康診断など総合的に関わってくれます。また、専門医に診てもらう場合は、かかりつけ医に相談し、紹介状を書いてもらいます。
かかりつけ医の登録先は居住地域である必要はなく、知人からのお薦め、勤務先から近い、家族と同じ医師にするなど自由に選択できます。ただし、混んでいるなどの理由で新規患者を受けない所もあります。
医療保険
フランスの基本的な保険の仕組みとして、公的健康保険(Assurance Maladie)と任意医療保険 (Mutuelle / Complémentaire Santé)、そして、プライベート医療保険(Assurance Santé Privée)があります。
公的健康保険は、3ヶ月以上フランスに合法的に滞在することが証明できれば、基本的に誰でも加入でき、診察代や薬代、入院費のおよそ70%を国が負担してくれます。ただし、医療費はその場で一旦自分で全額支払い、後からその一部が戻る仕組みになっています。
また、自己負担分を補うための任意医療保険ミュチュエル(Mutuelle)には、多くのフランス人が加入しています。保険料は、社員の福利厚生の一環として会社が負担する場合もありますが、それ以外では個人が支払うことになります。公的と任意の2つの保険に加入したとしても、ミュチュエルの保障内容によっては、自己負担が発生する場合もあります。ただし、入院や大病の場合は、医療費のほぼ全額がカバーされることが多いようです。
プライベート医療保険なら、かかりつけ医を通さずに自由に診療が受けられ、また、歯科インプラントや高額な矯正歯科治療、海外での治療費カバー、通訳などの手厚いサービスもあるため、任意医療保険の代わりに加入する人もいます。
公的健康保険に加入したら健康保険証カード、カルト・ヴィタル(Carte Vitale)を作りましょう。このカードを提示することで、医療機関(医者、薬局、病院など)利用で発生する費用の払い戻し手続きが自動化されます。これらの医療機関を利用する際には必ず持参しましましょう。
カルト・ヴィタルの入手方法
1.フランスの公的健康保険に登録し、社会保障番号(13桁)を取得する。
2.住んでいる地域の保険窓口Caisse Primaire d’Assurance Maladie(CPAM)に申請登録する。
必要書類例:
・パスポート
・滞在許可証(Titre de séjour)
・住居証明(電気代領収書など)
・出生証明書(フランス語訳付きが求められることも)
・銀行口座情報(RIB)
・雇用証明、在学証明など
3.正式な社会保障番号が発行されたら、フランスの公的医療保険制度のオンラインサービスまたは郵送でカルト・ヴィタルの申請書類を提出します。 就労者の場合は雇用主が登録作業を代行し、学生の場合は大学が登録の手助けをしてくれるでしょう。
救急事態が起きた場合の対処には以下の方法があります。
救急車(Ambulance)
生命に関わる緊急事態や迅速な医療対応が必要な場合は、15に電話して救急車を依頼します。なお、フランス語が話せない場合は、112に電話をすると英語での対応も可能です。この番号は、EU加盟国、スイス、ノルウェーなどヨーロッパ各国の共通緊急番号で事故・病気・火事・犯罪など、あらゆる緊急事態で使えます。どの国でも同じ番号で共通です。SIMがない携帯電話で発信可能です。
緊急外来(Urgences)
大きな病院には 24時間体制の救急外来(Service des urgences)がありまので、そこへ直接行きます。緊急以外は、長時間待たされることもあります。
夜間・休日の救急医(Médecin de garde)
夜間や休日に体調が悪くなった場合、まずは116 117に電話して相談します。医師が症状を聞いて、必要なら往診を手配してくれます。往診が不要な場合は、最寄りの診療所や救急外来への受診を案内されます。訪問診療は通常の診察より料金が高めです。
救急薬局(Pharmacie de garde)
営業時間外(夜間、日曜・祝日など)でも、地域のどこかの薬局が交代で営業しています。
救急薬局は、インターネットで「Pharmacie de garde + 地名」で検索できます。また、各薬局の入り口には「Pharmacie de garde」の情報が掲示されていることが多いので、見ておくといいでしょう。
予防接種
フランスでは 2018年以降、0〜2歳の乳幼児に以下の11種類のワクチン接種が義務化されました。
ジフテリア(Diphtérie)、破傷風(Tétanos)、ポリオ(Poliomyélite)、百日咳(Coqueluche)、B型肝炎(Hépatite B)、インフルエンザ菌b型(Haemophilus influenzae b (Hib))、肺炎球菌(Pneumocoque)、髄膜炎菌C型(Méningocoque C)、はしか(Rougeole)、おたふくかぜ(Oreillons)、風疹(Rubéole)
未接種の場合、保育園や学校への入園が認められないことがあります。赤ちゃんの接種スケジュールは母子手帳(carnet de santé)に記録されます。詳しくは、かかりつけ医に聞きましょう。多くの場合、費用は公的健康保険で全額カバーされます。
歯科医療
歯科医の受診は、基本的に自由に予約ができます。医療費は、公的健康保険が適応されるものの、補填額が少ないので、自己負担分が多くなります。歯科治療費の負担は高額なりやすいので、任意医療保険に加入しておいた方がいいでしょう。
歯科の専門分野には以下があります。
抜歯(親知らずなど)、インプラント埋入、口腔の小手術などを扱う口腔外科(Chirurgie orale)、歯肉や歯槽骨の治療、歯周外科の歯周病学(Parodontologie)、子どもの虫歯治療や予防管理する小児歯科(Pédodontie / Odontologie pédiatrique)、義歯、クラウン、ブリッジ、インプラント補綴などの治療の補綴歯科(Prothèse dentaire)。
フランスでは、見た目はもちろんのこと、「歯並びは健康の一部」という考えが強く、発音・咀嚼・顎の成長を理由に子どものうちから学校健診などで歯並びチェックが行われ、必要なら積極的に治療をさせることも多いようです。また、子ども虫歯の予防も重視され、学校や歯科医では定期検診を実施します。また、12歳以下の子どもには、フッ素塗布(traitement au fluor)が推奨されています。
視力矯正
フランスでメガネやコンタクトレンズを作る際は、直接眼鏡店(Opticien)に行くのではなく、まず眼科で視力検査をし、処方箋(ordonnance)を出してもらい、眼鏡店(Opticien)でメガネ等を作成します。子どものメガネやコンタクトレンズ代の一部は公的健康保険で一部が補助されますが、大人は基本的に自己負担となります。
補完代替療法
フランスでは補完代替療法をメドスィーン・コンプレマンテール・エ・アルテルナティーヴ(médecines complémentaires et alternatives (MCA))やメドスィーンドゥース(médecines douces)と呼んでいます。医学的治療の補完として利用される場合もあり、鍼(acupuncture)やオステオパシー(ostéopathie)の費用は、保険で補填することもあります。オステオパシーやカイロプラクティック(chiropratique)は国家資格が必要です。ホメオパシー(homéopathie)は医師や薬剤師が取り扱えますが、保険対象外です。
妊娠と出産
妊娠が分かったらまずかかりつけ医(médecin généraliste)や婦人科医(gynécologue)に相談します。その後、出産の場所として、公立病院か、私立産科クリニックを選びます。公立病院は、住んでいる地域以外の病院やクリニックでも出産可能です。
希望の病院に「登録(inscription à la maternité)」の申し込みます。大都市や人気のある産科(maternité)はすぐ満床になりますので、早めの予約が必要です。
また、分娩室やベッド数に限りがあるため、登録申請をしようとしても断られることがあるので、妊娠初期(できれば3ヶ月頃)に予約を入れるのがよいでしょう。登録ができたら、そこで出産まで健診を受けることになります。
検診は妊娠3ヶ月から出産まで、合計7回あり、すべて公的医療保険で 100%カバーされます。超音波検査(échographies)は、妊娠中に 3回(12週・22週・32週頃) に行われます。
親になる準備として、母親学級(préparation à la naissance)があります。 助産師による出産準備クラスが8回まで保険適用で、呼吸法や授乳、育児について学びます。
出産には、医学的適応がある場合のみ帝王切開(césarienne)が行われ、一般的には、希望の多い無痛分娩(péridurale)で行われます。自然分娩(accouchement naturel)を希望する場合は、医師や助産師に「麻酔は希望しない」とあらかじめ伝えておけば対応してくれます。 なお、助産師主体の分娩(sage-femme)が行われる施設では、自然分娩を尊重する傾向が強いです。
避妊用ピルは、 一般開業医(médecin généraliste)、婦人科医(gynécologue)、助産師(sage-femme)から処方箋をもらい薬局で購入します。25歳未満は無料、また、一部の低用量ピルは公的医療保険でカバーされます。
水道水・食事
水道水
公園や街角に設置してあるは水飲み場を含め、水道水は煮沸をしなくても、そのまま安全に飲むことができます。 ただし、カルシウムやマグネシウムを多く含む硬水のため、お腹の弱い人や敏感な人は、市販のミネラルウォーターや簡易浄水器を利用しましょう。
食事
フランスの食文化は奥深く、生活の中で重要な位置を占めています。会社や学校のランチでも1〜2時間の休憩を取り、きっちり食べる文化があります。 フランスの食事で気をつけたいこととして、肉が「レア(生に近い)」であることが多いこと。加熱されていない牛肉や魚類を使ったタルタルなどは、冷蔵状態の管理がしっかりしているお店を選びましょう。またチーズも、特に熟成タイプは風味が強くて、日本人の胃腸に合わない場合があります。







