フランスの教育制度

フランスの義務教育は3歳から16歳まで。その後に進む高等教育にはいくつかの選択肢があります。

36歳:日本の幼稚園にあたる就学前教育(École maternelle)。

611歳:日本の小学校にあたる初等教育(École élémentaire)。

1115歳:日本の中学にあたる中等教育前期(Collège)。修了時に前期中等教育修了国家試験/ブルヴェ(Diplôme national du brevetDNB)」という全国統一試験を受験します。これは、中学校で学んだ基礎知識が身についているかを評価するもので、その成績は高校進学の指導や将来の進路決定の参考になる評価基準となります。不合格だと義務教育修了証は取得できませんが、学校教育は継続できます。

1518: 日本の高校にあたる中等教育後期リセ(Lycée)。リセには、大学進学を目指す生徒が多い普通科、実務・職業訓練に重点を置いた職業系、普通科と職業科の中間となる技術科の3タイプがあります。高校卒業の証として、それぞれのコースのバカロレア*BaccalauréatBac)という修了試験(下記参照)を受けます。大学進学には必須となる試験です。

18歳~: 短期・中期職業教育(BTSBUT)、大学(Université)、グランゼコール(Grandes écoles)の3つがあります。

短期職業教育(Brevet de Technicien Supérieur/BTS)教育は、幅広い専門分野をカバーする国家資格。実践的なスキルを身につけ、就職市場への直接参入を可能にすることを目的とした2年間の高等教育課程です。入学にはバカロレアか同等の資格が必要です。専門科目が多く、理論よりも実務スキルを重視。経営、会計、観光、デザイン、情報処理、工業、農業、サービス業など多岐にわたり、卒業後は就職する人が多いようです。

中期職業教育(Bachelor Universitaire de Technologie/BUT)は、3年制の職業学位で、大学レベルの高等教育。職業リセの卒業者やバカロレア保持者が対象で、工学、科学、商業、管理などの分野で高度な専門知識と技術を習得することが目的です。卒業すると学士号が授与されますが、その後、修士や博士課程に進む人もいます。入学は容易ですが、進級や卒業は厳しく、中退率が比較的高いといわれています。

グランゼコールは高等教育機関の総称で、将来の政治家・官僚・大企業幹部の多くを輩出するフランスのエリート養成校です。高校卒業後、まずグランゼコール準備級(classes préparatoires aux grandes écolesCPGE) という2年間の超難関予備校に進学します。その後、極めて競争率の高い選抜試験を通らなければなりません。教育機関は通常、準備級も含め合計5年間となります。

*バカロレア
フランスの教育制度の中で最も重要な国家試験で、日本でいえば「高校卒業試験」と「大学入学資格試験」を兼ね、リセの最終学年の6月に全国一斉に行われます。合格率は80%超えといわれます。試験科目は、国語(フランス語)と哲学の他、専門分野から2科目を選択する合計4科目となり、筆記と口頭試験で構成されます。大部分は、筆記試験ですが、口頭試験もあります。最終的な評価の中に学校での日常成績も加味されます。
バカロレアの合格することは、高校卒業を証明に加え、大学入学資格となり、社会的にもこれを持っていることは大変重要になります。そのため、バカロレアはフランス人にとって人生最初の大試験とも言われています。

学校の選択

日系の学校 
パリに全日制の日本人学校があります。小学部・中学部があり、文化科学省の認定校として、日本国内と同等の教育を行っています。日仏文化学院パリ日本人学校(Institut Culturel Franco Japonais)

公立校(Écoles publiques
教育省(Ministère de l’Éducation nationale)の管轄となり、教材費や給食費など一部自己負担がありますが、授業料は無料です。

私立校(Écoles privées
フランス語で学ぶ私立には2つのタイプがあります。一つは、国と協定がある契約校(sous contrat)、もう一つは完全独立型の非契約校(hors contrat)です。
契約校の大多数はカトリック系で、経済的余裕のない家庭には奨学金などの支援制度も用意されています。教師の給料も国の教育省から支払われるため、私立でも授業料は低めです。
一方、非契約校は、独自のカリキュラムや教育方針を持つ、国と契約していない完全独立型の学校です。
非契約校には、英語などの外国語で学ぶインターナショナルスクールや、モンテッソーリ教育校、シュタイナー教育校などが含まれます。

日本語補習校
補習校は、日本政府が認定する補習授業校で、フランスの現地校に通う子どものための教育施設です。日本語力を伸ばし、再び日本国内の学校に編入した際にもスムーズに適応できるように週に1回(学校によっては2回)日本語を学びます。

日本政府が認定するフランスの補習授業校

パリ日本語補習校

レンヌ日本語補習校

ボルドー日本語補習校

トゥレーヌ日本語補習校

ディジョン日本語補習校

その他の日本語補習学校

ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ補習授業校
公立校として、中学校、高等学校の授業の選択に日本語セクションが設置されている。

エベイユ学園日本語補習授業校
日本語の幼稚園として毎日クラス(月・火·木・金)と水曜クラスを開校している。土曜日には、幼稚部年長児と小学生の補習校として開校しています。

サンジェルマン・アン・レイ日本語補習授業校
幼稚部年中(4月時点で満4歳)から高校までの一環教育の中で、バカロレアに加え、日本語と日本文学および歴史・地理の国際フランスバカロレアBFI取得を目指す学校です。

ノール=パ・ド・カレー日本語補習校
日本の学校への復帰を目指すまたは、日本国籍を持つ永住家庭の子ども向けた補習授業に加え、日本語を学びたいフランス語話者へのクラスも開講しています。

帰国にあたって

詳細はこちらから