基礎情報 2026年の祝祭日 地理 気候 サマータイム 時差 電圧 金融関連 紛失や盗難 防犯対策 携帯電話 ブロードバンド 税制

基礎情報

正式国名
日本語   :スイス連邦
ドイツ語  :Schweizerische Eidgenossenschaft
フランス語 :Confédération Suisse
イタリア語 :Confederazione Svizzera
ロマンシュ語:Confederaziun Svizra
英語    :Swiss Confederation(通称Switzerland)

首都
日本語     :ベルン
スイスドイツ語 :Bärn
スイスフランス語:Berne
スイスイタリア語:Berna
ロマンシュ語  :Berna
英語      :Bern

国土面積
41,285km²(九州よりやや小さく、スコットランドの約半分の広さ)

人口
約8,970,000人(世界101位)

在留邦人数
長期滞在者: 4,168人
永住者  : 7,772人
合計   : 11,940人(うち成人数8,429人)

公用語
ドイツ語(約62.6%)、フランス語(約22.9%)、イタリア語(約8.2%)、ロマンシュ語(約0.5%)、その他(約5.8%)(「myswitzerland.com」調べ)

※ドイツ語圏で一般的に話される「スイスドイツ語(Schweizerdeutsch/Schwyzerdütsch)」は、標準ドイツ語とはボキャブラリーや発音に大きな違いがあり、方言というよりは別の言語のようにも聞こえます。また、国内でも地域特有の方言があり、標準ドイツ語の知識があってもスイスドイツ語が理解できない場合もあります。スイスフランス語もフランス本国とは多少異なります。

民族構成
スイス国籍者は人口の3分の1以上(女性の割合は約41%、男性は約37%)を占めています。
移民背景を持つ人口で一番多いのは、男性はイタリア国籍、女性はドイツ国籍。3位は男性がドイツ国籍、女性がイタリア国籍。男女ともに4位はポルトガル国籍、次いでフランス国籍です。

第一世代の移民背景を持つ人口のうち、半数弱がEU27加盟国およびEFTA加盟国の国籍を持ち、約30%がスイス国籍、12%がスイス以外のヨーロッパ諸国の国籍を持ち、12%がその他の国の国籍です。第二世代では、70%がスイス国籍を持ち、21%がEU27加盟国またはEFTA加盟国の国籍を持っています。

主な宗教
キリスト教徒が多数を占める国であり、国民の大半はローマ・カトリック教会(約32%)またはプロテスタント教会(21%)に属しています。どの宗教にも属さない人口の割合も33%を超えるなど、近年スイスの宗教環境は大きな変化を遂げてきましたが、信仰の自由は連邦憲法に定められた基本的権利の一つとなっています。

2026年の祝祭日

1月1 日(木)元旦/New Year’s Day
1月2 日(金)聖ベルヒトルトの日/Berchtold’s Day アールガウ州、ベルン州、フリブール州、グラールス州、ジュラ州、オプヴァルデン州、シャフハウゼン州、トゥールガウ州、ヴォー州、ルツェルン州
1月6日(火)公現祭/Epiphany グラウビュンデン州の一部、シュヴィーツ州、ティチーノ州、ウーリ州
3月1日(日)共和国記念日/Republic Day ヌーシャテル州
3月19日(木)聖ヨセフの日/St Joseph’s Day グラウビュンデン州の一部、ルツェルン州、ニートワルデン州、シュヴィーツ州、ティチーノ州、ウーリ州、ヴァレー州、ゾロトゥルン州
4月2日(木)ネーフェルザー・ファルト/Näfelser Fahrt グラールス州
4月3日(金)聖金曜日/Good Friday ティチーノ州、ヴァレー(ヴァリス)州以外の全州
4月6日(月)復活祭月曜日/Easter Monday ルツェルン州、ヌーシャテル州、ソロトゥルン州、ヴァレー州、ツーク州以外の全州
5月1日(金)メーデー/Labour Day バーゼル=ラント準州、バーゼル=シュタット準州、ジュラ州、ヌーシャテル州、シャフハウゼン州、ソロトゥルン州*、ティチーノ州*、トゥールガウ州*、チューリッヒ州 *半日のみ
5月14日(木)キリスト昇天祭/Ascension Day
5月25日(月)聖霊降臨祭月曜日/Whit Monday ヌーシャテル州以外の全州
6月4日(木) 聖体祭/Corpus Christi アッペンツェル・インナーローデン州、フリブール州、ジュラ州、ルツェルン州、ニートワルデン州、オプヴァルデン州、シュヴィーツ州、ティチーノ州、ウーリ州、ヴァレー州、ツーク州
6月23日(火)ジュラ独立記念日/Independence of Jura ジュラ州
6月29日(月) 聖ペテロとパウロの日/St Peter and St Paul グラウビュンデン州、ティチーノ州
8月1日(土)建国記念日/National Day
8月15日(土)聖母被昇天祭/Assumption Day
アールガウ州、アッペンツェル・インナーローデン州、フリブール州、ジュラ州、ルツェルン州、ニートワルデン州、オプヴァルデン州、シュヴィーツ州、ティチーノ州、ウーリ州、ヴァレー州、ツーク州
9月10日(木)ジュネーブ断食祭/Jeûne Genevois ジュネーブ州
9月21日(月)連邦感謝・信仰・悔悛の日/Federal Fast Monday ヌーシャテル州とベルン州の一部、ヴォー州
9月22日(火)聖モーリス/St Mauritius Day アッペンツェル・インナーローデン州
9月25日(金)ブラザー・クラウス祭/Brother Klaus Festival オプヴァルデン州
11月1日(日)万聖節/All Saint’s Day アッペンツェル・インナーローデン州、フリブール州、ジュラ州、ルツェルン州、ニートワルデン州、オプヴァルデン州、シュヴィーツ州、ティチーノ州、ウーリ州、ヴァレー州、ツーク州
12月8日(火)無原罪の御宿り/Immaculate Conception アールガウ州、アッペンツェル・インナーローデン州、フリブール州、ルツェルン州、ニートワルデン州、オプワルデン州、シュヴィーツ州、ティチーノ州、ウーリ州、ヴァレー州、ツーク州、グラウビュンデン州の一部地域
12月24日(木)クリスマスイブ/Christmas Eve グラールス州
12月25日(金)クリスマス/Christmas Day
12月26日(金)聖シュテファンの日/St Stephen’s Day ジュネーブ州、ジュラ州、ヌーシャテル州、ソロトゥルン州、ヴォー州、ツーク州、フリブール州以外の全州
12月31日(木)復興の日/Restoration Day ジュネーブ州
12月31日(木)大晦日/New Year’s Eve グラールス州

地理

約1,858キロにわたって複数の隣国と接する内陸国、スイス。国境の長さの内訳は、ドイツが約346 キロ、フランスが約572キロ、イタリアが約734キロ、オーストリアが165キロ、リヒテンシュタインが約41キロとなっています。ヨーロッパの中央に位置するスイスでは多様な文化が交わり、ヨーロッパ南部と北部を結ぶ交通の要ともなってきました。

主要な地理的地域は3つに分かれ、アルプス山脈が約60%、中部地方(ミッテルラント)が約30%、ジュラ山脈が約10%となっています。

アルプス山脈の平均標高は約1,700メートルですが、4,000メートルを超える山が48もあります。アルプスはまた、西ヨーロッパにおける重要な水源となっています。アルプスを覆う氷河は約1,200平方キロメートルにものぼり、中央ヨーロッパにある氷河の大部分を占めています。ヨーロッパの淡水の6%がスイスアルプスに貯水されていることから、「ヨーロッパの貯水池」とも呼ばれるスイスには、1,484の湖と1,400氷河があり、水資源には大変恵まれた国です。

レマン湖(Lac Léman)からライン川(Rhein)にかけて広がるジュラ山脈(Massif du Jura/Massif du Jura)は、スイスとフランスの国境にある石灰岩でできた山脈で、地質時代のジュラ紀の由来となった「ジュラ」からは、恐竜の化石や足跡が多数発見され考古学上もっとも重要な地域と位置付けられています。

気候

アルプス山脈と大西洋に大きく影響を受けるスイスの気候は一般的に穏やかで、極端に暑くなったり寒くなったり湿度が高くなることはあまりありません。四季がはっきりしており、春(3月〜5月)には木々が花を咲かせ、草原は緑に染まります。しかし、ときには4月に入ってから不意に冬が戻ってきたり、5月に早くも夏が訪れたりする年もあります。秋(9月〜11月)になると果物が熟し、落葉樹の葉が色づきます。かつてはかなり寒くなり雪が降ることもあった冬ですが、最近では、気温が氷点下まで下がったり雪が降ったりすることは稀になりました(特に低地)。スキー場は人工雪に頼ることも多くなっています。

標高にもよりますが、気温は通常、7月・8月の日中は18~28度、1月・2月は−2~7度、春と秋の日中は8~15度程度となります。とはいえ、山間部の天気は変わりやすいので、山登りやハイキングに出かける場合には、セーター、歩きやすい靴、日焼け止め、サングラス、たためる傘か軽いレインコートを持っていくことをお勧めします。当日の天気予報もしっかり確認しておきましょう。

平均気温(°C)日照時間(H)UV Index
1月-2.3 – 52.21
2月-2.2 – 6.53.12
3月1.1 – 11.55.13
4月4.2 – 14.95.95
5月8.4 – 18.96.57
6月11.8 – 22.37.378
7月13.7 – 24.58.138
8月13.5 – 24.17.577
9月9.8 – 19.75.875
10月6 – 14.84.033
11月1.5 – 8.92.171
12月-1.4 – 5.51.81

サマータイム

原則的に、夏時間/サマータイムは毎年3月の最終日曜日(2025年は3月30日)の午前1時に1時間時計を進め、10月最終日曜日(2025年は10月26日)の午前2時に1時間戻します。

時差

日本との時差は、グリニッジ標準時(Greenwich Mean Time / GMT)で8時間、サマータイム期間は7時間遅れ。スイスを含むヨーロッパのほとんどの国は、GMTより1時間先行しています。

電圧

220V / 230V(日本は100Vなので日本の電化製品を使う際には変圧器が必要)
コンセントはCタイプが一般的

金融機関

目的が駐在であれ、留学であれ、スイスに長期滞在するとなれば日々の生活に欠かせないのが現地の銀行口座。給与振り込みや家賃の支払い、スイス・日本間での送金、スイス国内でのデビットカードやクレジットカードの利用など、滞在国に銀行口座を持つメリットは数々あります。また、金融サービスと銀行業の代名詞ともいえるスイスは、その安定性と機密性で知られています。国土の小ささにもかかわらず比較的多くの金融機関を有しており、約240の銀行が存在、そのうちの100余りが個人向け口座を提供しています。金融商品の内容も幅広く、400近くのフィンテック企業が金融、投資、暗号通貨サービスを提供しています。

スイスの銀行は政府機関である「金融市場サービス機構(Swiss Financial Market Supervisory Authority/FINMA)」によって規制されており、ほとんどの銀行はスイス銀行協会に加盟しています。

スイスには数多くの有名銀行があり、世界中に支店を展開しています。スイスの主要国営銀行および銀行グループには以下のものがあります:

UBSスイス(UBS Switzerland AG)

スイス最大の銀行。世界中で事業を展開し、口座、住宅ローン、法人向け銀行業務、投資など、幅広いサービスを提供。

ライファイゼン・スイス(Raiffeisen Schweiz)

約300の地方銀行からなる協同組合で、個人向け、法人向け、および事業向け銀行業務を提供。

ユリウス・ベア(Julius Baer)

資産運用と投資に特化した銀行。

スイスにはまた、政府が所有する州立銀行もあり個人向け口座を提供しています。所在地の州内で業務を行い、地域経済を支えています。主な州立銀行には、以下のものがあります:

チューリッヒ州立銀行(Zürcher Kantonalbank)

スイスで第4位の規模を誇り、州立銀行としては最大。個人顧客に対し、2024年からビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の2つの暗号資産(仮想通貨)の売買・保有サービスを始めています。

ヴォー州立銀行(Banque Cantonale Vaudoise)

創業1845年の老舗州立銀行。スタンダード&プアーズからAA格付けを取得している世界でも数少ない銀行の一つです。

ルツェルン州立銀行(Luzerne Kantonalbank)

日常の銀行取引を簡単に処理する実用的なデジタルバンキングに力を入れており、従来の投資と同様の簡易さで暗号通貨取引も実現しています。個々のニーズに合わせた年金基金(fluks 3a)にもデジタルで投資することができます。

グラウビュンダー州立銀行(Graubündner Kantonalbank)

グラウビュンデン州の価値観と真の顧客密着性を組み合わせ、安定性と信頼に基づき、個々の顧客にあった金融ソリューションときめ細やかなアドバイスを提供しています。

ザンクト・ガラー州立銀行(St. Galler Kantonalbank)

1868年の設立以来、ザンクトガレン州の地元住民と中小企業に銀行サービスを提供し、地域の経済を支えてきました。資産形成や堅実で信頼性の高い投資を提供する卓越した専門機関としても知られています。

上記の国立銀行や州立銀行に加え、多くの国際金融機関がスイスに支店を置いています。これらの銀行は、駐在員向けや、富裕層(HNWI)向けプライベートバンキング、投資、資産運用、法人向けバンキングに重点を置いていることが多いようです。このような国際銀行には、以下のものがあります。:

HSBCプライベートバンク(HSBC Private Bank)

ドイツ銀行(Deutsche Bank (Schweiz) AG)

JPモルガン(J.P. Morgan)

シティバンク(Citibank)

バークレイズ(Barclays)

どの銀行を選ぶかは、在住地域と必要とするサービスによります。日常的な口座であれば、スイスの国立銀行または州立銀行が最適な選択肢です。資産運用には、スイスに数多く存在するプライベートバンクを検討するのも良いでしょう。

頻繁に旅行したり、海外に送金したりする場合は、デジタルバンクが便利。ヨーロッパで広く展開し、海外でもカードを簡単に利用できるネオバンク(銀行がその機能を外部事業者に対してクラウドサービスとして提供するシステムを採用している銀行)もあります。

口座の種類

利用する銀行によってサービス内容は異なりますが、多くの大手銀行は以下の口座やサービスを提供しています。

当座預金口座
クレジットカードやデビットカードを含む、日常の資金管理用口座です。

貯蓄と投資
貯蓄口座、投資用株式オプション、年金などのオプションを提供しています。

デジタルバンキングとオンラインバンキング
特に大手銀行では、顧客が簡単に資金管理を行うことができるようインターネットバンキングを提供しています。

モバイルバンキング
銀行アプリを提供する銀行も多く、スマートフォンやPC、タブレットから資金管理ができます。

これらの口座とは別に、「ローンと当座貸越(住宅のリフォームなど、大きな出費のために資金を借りる必要がある場合に利用)、「住宅ローン(持ち家購入を検討の際に利用)、「保険(自動車保険、住宅保険、生命保険、健康保険など)」などのサービスも提供しています。

非課税貯金
貯蓄口座から得られる利息には通常35%の源泉徴収税が課されます(年間200フラン未満の場合や、利息が年払いでない場合を除く)。源泉徴収税の還付を受けるには、スイスの確定申告で貯蓄口座を申告する必要があります。

しかし、個人が保有する証券(株式、債券、ETF(上場投資信託))のキャピタルゲインは、プロトレーダー*でない限りは原則として非課税です。
*プロトレーダー:金融市場で取引を行い、生計を立てている人。頻繁に投機的な取引を行うか、大幅なレバレッジをかけるとプロトレーダーとみなされることが多いようです。

配当には35%の源泉徴収税が課せられますが、スイス居住者は確定申告をすることで源泉徴収税の還付を受けることができます。海外投資については、還付されない源泉徴収税が課される場合もあります(例えば、米国の配当は15%)。一部の国とは異なり、スイスでは積立と分配のどちらにも税制上の優遇措置はなく、いずれも課税されます。

税制上の優遇措置がある金融商品としては他に「個人年金/ピラー3a(Pillar 3a)」というものがあります。拠出額(最大7,258スイスフラン/2025年現在)は税控除の対象となり、投資額は課税繰り延べされ、退職時の引き出しには減税が適用されます。

スイスで税効率の高い投資を行うには、源泉徴収税の煩雑さを最小限に抑えるためにも、配当利回りの高い投資ではなく、成長性の高い投資に重点を置くことを検討すると良いでしょう。非プロトレーダーとしてのステータスを維持するためにも、投資は長期にわたって保有しましょう。

このように、個人投資家にはキャピタルゲイン税が課されないため、長期投資家にとって有利な状況にあります。しかし、配当課税については注意が必要です。長期的に保有される世界的に分散された ETFポートフォリオ*は、通常、ほとんどのスイス居住者にとって最も税効率の高いアプローチといえるでしょう。詳しくは専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

*複数の上場投資信託(Exchange-Traded Funds)を組み合わせた投資戦略。リスクを分散させることが可能

口座を開く

スイスでの銀行口座開設の方法は一般的な銀行口座の開設と大差ありません。ただし、プライバシーに関わる特別な事情から、身元を証明する公式書類の提出に関する審査は厳格です。また、マネーロンダリング防止法により、スイスの銀行口座開設希望者はいくつかの書類の提出が求められます。これには、パスポートの認証コピー、職業を証明する書類(納税申告書、会社書類、専門資格、資金源の証明など)、その他の一般的な個人情報が含まれます。

外国人も口座を開設できます。そのためにはまず18歳以上であること、そして合法的にスイスに居住していることを証明する必要があります。一部の銀行では、国際送金や複数通貨口座の取引など、駐在員コミュニティを対象としたサービスや商品も提供しています。これには、従来型口座とデジタル口座があり、UBS、ライファイゼン、ミグロス銀行(Migros Bank)、ポストファイナンス(PostFinance)などが人気のようです。
N26、Revolut、Yuhといったネオバンクも、複数通貨の口座や国際送金が必要な方にとっては便利で費用対効果の高い選択肢とされています。

口座開設にあたっては、最低残高の決まりはありませんが、一旦口座を開いて入金すると最低残高要件が課せられるのが一般的です(その額は銀行によって異なります)。

ほとんどの口座はスイスフラン、ユーロ、米ドル、または英国ポンドで資金を保有しており、口座開設者は取引通貨を選択することができます。街の商店の多くはユーロでの支払いを受け付けてくれますが、ユーロはスイスの公式通貨ではなく受け入れが義務付けられているわけではありません。為替レートがそれほど有利ではない場合もあり、現金払いの際にお釣りがスイスフランで返ってくることもあります。

口座取引明細書/ステートメント

スイスでは、すべての資産を納税申告書の証券申告書に記載する必要があります。スイスの銀行はそのための特別な明細書を発行しています。確定申告の有価証券申告書に記入する必要がある案件は、銀行の明細書に明確に記載されています。

入金

入金方法には、ATM(Bancomat/Geldautomat/Distributeur Automatique)または銀行支店での現金入金、銀行振込(QRコードを含む)、TWINTなどのモバイル決済アプリを使うなど、いくつかの方法があります。

現金入金:スイスの多くの銀行には、現金入金に対応したATMがあります。スイスフランの場合は紙幣と硬貨の両方、ユーロの場合は紙幣のみの入金が可能です。銀行窓口で現金または小切手を直接入金することもできです。

銀行振込:請求書の支払いや別の口座への送金には、通常QR請求書(旧入金伝票)を使います。あるいは、銀行のオンラインプラットフォームを利用して、受取人のIBANなどの情報を入力し口座振替する方法も一般的です。

現金引き出し

現金は、ATMを使って引き出すのが一般的です。ほとんどのATMは1日24時間365日使えます。国内にある銀行のATMでデビットカードを使って現金を引き出すと、多くの場合、手数料はかかりません。一部の銀行では、特定の銀行パッケージまたはオプションに加入している顧客にのみ、自行ATMでの現金引き出しを無料にしていますが、これらのパッケージやオプションには通常月額手数料がかかります。

自行のATMに加えて、特定の他行が運営するATMでも現金引き出しを無料で利用できる場合もあります。例えば、州立銀行が発行したデビットカードは、通常、他の州立銀行のATMも無料で利用できます。

一般的に、自行またはその提携先が運営していないATMを使うと手数料がかかります。手数料は銀行によって異なりますが、中には一定回数の引き出しまでは無料としている銀行や、毎月の基本口座手数料またはカード手数料を課している銀行の中だと、無制限で手数料を無料にしているものもあります。口座開設時に確認しましょう。

多くのスーパーマーケットのレジでも、デビットカードを使って現金を引き出すことができます。この方法による現金引き出しには、手数料が無料になる場合と、1回につき2フランかかる場合があります(ヴォー州立銀行BCVは3フラン)(2025年現在)。また一部の小売店のレジでは、TWINTで現金を引き出すこともできます。手数料は、金額に応じて1.50フランから2フランほどです。

ポストファイナンス(PostFinance)の顧客は、手数料なしで郵便局の窓口で現金を引き出すことができます。多くの銀行支店でも、自社の顧客のみ窓口での現金引き出しを可能にしています。しかし、一部銀行では支店によってこのサービスを停止するところが増えてきています。また、自行の窓口であっても、1回につき2フランの手数料や、一定額以下の引き出しに対する手数料を課している銀行もあります。

クレジットカードでの現金引き出し手数料は、引き出し額の約4%とはるかに高額。多くの場合、1回当たりの最低手数料は5〜10フランに設定されています。

海外で作ったカードを使用する際、一部のATMでは「スイスフラン(CHF)での引き落とし」の画面で「換算あり(With Conversion)」または「換算なし(Without Conversion/Decline Conversion/Dynamic Currency Conversion/DCC)」のいずれかを選択するよう求められることがあります。「換算あり」を選択すると自国通貨での引き落としとなり、ATMの設定為替レートで換算される上、別途手数料(%)もかかります。「換算なし」を選択した場合はスイスフランで引き落とされ、銀行/カード会社(Visa、Mastercardなど)の為替レートで換算します。
不要な手数料を避けるには、「換算なし」を選択しましょう。

多機能ATM

多機能付きATMでは、現金引き出し、残高照会、取引履歴照会、送金などの基本操作の他、下記のような高度な機能も付いています。

QR請求書スキャンと支払い:請求書のQRコードをスキャンして、ATMから直接支払い
外貨注文:旅行などで必要な外貨の注文
自動送金:定期的な支払いや送金の設定
銀行へのメッセージ:予約のリクエストやその他の問い合わせなど、銀行に直接メッセージを送信
保管口座の確認:投資口座または証券口座の詳細の確認
通貨と金利情報:為替レートと現在の金利に関する情報にアクセス
暗証番号の変更:カードを挿入したら「PIN変更(Change PIN)」を選択し、画面の指示に従って新しい番号を入力します。セキュリティ上の理由から、1234や5555などの過度に単純なPINは入力できません。スイス国外からの変更もできません

個人識別番号/暗証番号

新しいデビットカードまたはクレジットカードを取得すると、暗証番号は別途銀行から郵送されます。暗証番号は国内のATMで変更することもできます。

クレジットカード/プリペイドカードの暗証番号を忘れたり、3回間違えて入力してしまったら、銀行のオンラインバンキングまたはモバイルバンキングアプリから新しい暗証番号を申請することができます。

①Eバンキングにログイン
②「口座とカード(Accounts & Cards) > カード設定 (Settings for Cards)> 新しい暗証番号の注文(Order PIN)」
③カードが複数ある場合は、新しい暗証番号が必要なカードを選択し、確定(confirm)
④数日以内に新しい暗証番号が郵送されてきます。

デビットカード

デビットカード(スイスでは「ECカード」とも呼ばれる)は最も一般的な決済手段となっています。ほとんどの銀行はデビットカードを発行しており、実店舗とオンラインでの支払いに利用できます。決済時に口座から直接引き落とされるため、銀行口座に十分な残高があることが必要です。

スイスではMaestro(Mastercard)が最も一般的なデビットカードでしたが、段階的にMaestroを廃止し、MastercardとVisaのデビットシステムに移行し始めています。今後の新規口座開設時には、VisaまたはMastercardのデビットカードが発行される可能性が高いでしょう。

※スイスで最も普及している決済方法はデビットカードですが、現金は依然として2番目に多い決済方法。ほとんどの店舗では現金が利用可能です。

コンタクトレス・ペイメント/キャッシュレス決済

伝統的に現金に頼ることの多かったスイスですが、スイス国立銀行(SNB)がSIXと提携し、2024年8月、10秒以内の口座振替を可能にする「インスタント決済」を導入。現在ではこれがスイスの小売決済取引の95%をカバーしています。インスタント決済はヨーロッパ全域で拡大していますが、スイスのこの分野への参入は、2026年までにキャッシュレス社会への移行を目指す広範な取り組みの一環となっています。

モバイル決済もますます普及が進んでいます。対面でもオンラインでも、アプリやデジタルウォレットを使えば支払いが素早く行われ、大変便利な決済方法です。特に人気の高い選択肢として下記のものがあります:

モバイル決済アプリ「TWINT」
他のユーザーへの支払い、オンラインショッピング、対面でのショッピングに利用できます。プリペイドで残高分だけ使用することも、銀行口座とリンクさせて引き落としすることもできます。スキャンできるQRコードが付いた請求書は、アプリを使って即座に支払いができます(ただし、TWINTは主にスイス国内での支払いに使用され、スイスフランに限定されています)。

デジタルウォレット
日本でも浸透している「Apple Pay」や「Google Pay(https://pay.google.com/intl/ja_jp/about/learn/)」の他、Garmin Payといったデジタルウォレットを使えば、スマートフォンやスマートウォッチなどのデバイスを使って決済ができます。主にオンライン取引で利用されている「PayPal」も世界中で人気の高いデジタルウォレットの一つです。

自動引き落とし/自動振替

スイスには、「スイス自動振替(Swiss COR1 Direct Debit/CH-DD)」と「自動引き落とし(Last Schrift Verfahren/LSV+)」の2種類の口座振替方法があります。基本的に、前者は第三者が光熱費や電話代など定期的に変動する支払いを顧客の銀行に直接請求することに同意するもので、後者は顧客が家賃などの定額の支払いを第三者に対して行うよう銀行に指示するものです。現在、スイスの郵便局が運営する銀行であるPostFinanceはCH-DDのみを採用しています。

自動振替には法人顧客向けの「ビジネスダイレクトデビット(Business Direct Debit/BDD)」というシステムもありますが、LSV+とBDDは、2028年9月30日をもって廃止されることが決定しています。それまでに、別の支払い方法に移行していくことになりますが、移行先として、デジタル請求(eBills)、QR請求(QR-bills)、自動振替(CH-DD)、個別支払請求など、既に確立された代替手段が考えられます。特にeBillやQR-billsなどのデジタルソリューションは、支払い承認の成否に関する透明性を高め、支払う側にも請求する側にも高い付加価値があると期待されています。

自動引き落とし/自動振替の解約

LSV+を解約する
①特定の受取人への口座振替依頼を解約したい旨を銀行に伝える
②オンラインバンキングのプラットフォームから口座振替依頼を解約する
※受取人にも解約の旨を伝えておきましょう。

CH-DDを解約する
①銀行のオンラインポータルにログインし、キャンセルしたい口座振替を見つけ、「口座振替管理(Direct Debit Management)」や「支払い管理(Manage Payments)」などのオプションから解約(オプションの名称は銀行によって異なります)
②銀行のモバイルアプリを開き、該当する口座からキャンセルしたい口座振替を見つけ、「口座振替管理(Direct Debit Management)」や「定期支払い(Regular Payments)」などのオプションから解約(オプションの名称は銀行によって異なります)
※口座振替をキャンセルしたら、支払先にその旨必ず伝えましょう。そうすることで、今後口座から引き落とされたり、キャンセルされた支払いについてリマインダーやその他の措置が取られたりすることを防止できます。

取引支店の変更と口座解約

口座を解約するときは、処理を迅速にするために、手続きを開始する前に以下の情報を用意しておきましょう:
①解約したい口座番号
②残高の振込先となる受取人の氏名と住所
③②の銀行情報(IBAN、取引通貨、受取人の銀行名)
④口座または銀行取引の解約を希望する日にち
⑤手続き後に連絡が必要になった場合の電話番号

支店の変更も口座解約も、まずはスマートフォンのアプリか、パソコンからオンラインバンキングポータルを通して手続きができるか確認します。これらの方法ではできない場合、書面による申請をするか、直接支店に赴きます。その際事前に予約を入れておくと、必要書類や情報が確認でき、スムーズに手続きを進めることができます。

※銀行口座を解約する前には、すべての口座振替や自動引き落としによる支払いが完了していることを確認しましょう。

預金補償および投資家補償制度

スイスの預金金融機関が破綻しても、スイスの現行法規定に基づき、顧客の口座残高/預金を最大10万スイスフランまでが補償されます。同じ銀行に複数の口座を持つ場合には、合計した金額に適用されます。共同名義口座(Joint Account)の預金は、個別口座保有者の残高とは別に、最大合計10万スイスフランまで補償されます。

住宅金融組合(Building Society)

スイスには、「住宅金融組合」のような銀行システムはありませんが、顧客/メンバーと地域社会を中心にサービスを提供し、住宅ローンや地域融資に重点を置く協同組合的な構造を持つ銀行は存在します。ライファイゼン・スイス(Raiffeisen Schweiz)はその一つで、伝統的な住宅金融組合の理念を持ち、地域密着型の特徴があります。主要な事業は住宅ローンの提供で、住宅金融組合の社会的側面に倣って地域社会への関与と支援を重視しています。
UBS銀行などの他の主要な銀行も住宅ローンサービスを提供していますが、上記に比べると、協同組合的組織構造や地域密着性は薄いようです。

モバイルバンク

金利の良さなどを考慮するなら、実店舗を持たないことで経費を節減し高い利子を実現しているネットバンクも検討してみるとよいでしょう。スイスでは、複数の銀行が完全デジタル化され、支店を持たないモバイルバンキングを提供しています。これらはしばしば「ネオバンク(Neobanks)」あるいは「デジタルバンク(Digital Banks)」と呼ばれ、物理的な支店を必要とせず、モバイルアプリのみでサービスを提供しています。デジタルで資産管理を行うことを好む顧客にとっては、手数料が抑えられ、利便性が向上すると好評です。

多くの銀行では、ビデオ認証によるオンライン口座開設が可能です。顧客はモバイルアプリから、支払い、送金、カード管理、その他の銀行サービスにアクセスでき、二段階認証や暗号化などのセキュリティ対策を徹底しているのも特徴です。またネット接続さえあれば、どこからでも1日24時間365日アクセスできるため、柔軟性と利便性が向上します。

スイスで展開しているモバイルバンクには下記のようなものがあります:

ネオン(neon Switzerland AG)
基本手数料なし・超低価格運用・高速がウリの、スイスで設立した会社が運営するモバイルバンク。従来の銀行が持つ問題(過剰な手数料、柔軟性のない営業時間、過剰な官僚主義、複雑で遅いアプリなど)を解決すべく開発されました。

ザック(Zak by Bank Cler AG)
スイス初の完全デジタル銀行口座として2018年よりバンク・クレル(Bank Cler)が提供する無料の銀行口座。最大の特徴は、スイス国内でのあらゆる取引に対して手数料が一切かからないことです。

N26
無料の普通銀行口座と有料のスマート口座を提供。どちらもモバイルアプリからアクセスできます。デビットカード(マスターカード)、最大6枚のバーチャルカード、毎月3回の国内ATM無料引き出しが付属する銀行口座「N26 Smart」を開くと、個別の IBAN を持つ最大10個の 「Spaces サブアカウント」が取得でき、目標ごとに貯金や請求書の管理をすることができます。

上記のモバイルバンクだけでなく、従来の銀行も強力なオンラインおよびモバイルバンキングサービス提供しているものがあり、口座の管理や請求書の支払い、取引などをデジタルで行うことができます。

日本とスイス間の送金

スイスと日本間の送金には、銀行、専門の送金サービス、電子ウォレット、または実店舗を利用するなどの方法があります。それぞれの方法には長所と短所があるため、最適な方法は、送金内容や個人のニーズによって異なります。送金する最も簡単な方法は、家に居ながらにして送金手続きがきるデジタルサービスでしょう。しかし、他の方法にもそれぞれ特徴があるため、いくつかを比較して自分に最適なものを選ぶ必要があります。考慮すべき要素として主に下記のことが挙げられます。

送金時間
プロバイダーによって大きく異なる送金時間。一部の専門送金サービスでは、即時または数分で完了しますが、Swiftネットワークを利用すると、銀行によっては3~5日かかることも普通です。

送金手数料
海外送金には、初期送金手数料、為替レートのマークアップ、第三者機関による手数料など、さまざまな手数料が発生する場合があります。中にはすべての手数料を透明に区分しているプロバイダーもありますが、必ずしもそうとは限りません。記載されている送金手数料と為替レートの両方を慎重に比較し、総合的に見て最も適したサービスを見つける必要があります。

必要書類
セキュリティ上の理由と国際法の遵守のため、海外送金には身分証明書と住所の証明が必要となります。パスポートや運転免許証などの政府発行の身分証明書、および氏名と住所が明記されている銀行取引明細書や公共料金の請求書で証明できますが、高額送金となると、資金源の証明など、追加の書類が必要になる場合もあります。

為替レート
銀行含むすべての送金サービスは独自の為替レートを設定しており、それにはすでに手数料が含まれている場合もあります。為替換算ツールを使用してミッドレートの為替レートを確認し、複数の送金サービスが提供するレートを比較し、最適なレートを選びましょう。

主な送金方法とその特徴は以下の通りです。

銀行振込
世の中が現在のようにデジタル化される以前より使われている銀行振込は、安全で信頼できる方法です。従来の支店窓口で振込手続きを行う方法の他、最近では、オンラインや銀行アプリを使った送金も可能になっています。銀行を介した国際送金は、送金手数料や送金レートへのマークアップ、さらにはコルレス銀行(Correspondent Account/国際送金の仲介銀行)による第三者手数料などが加算され、他の方法に比べると高額になることが多いようです。

オンライン送金サービスプロバイダー
スマートフォンやノートパソコンで登録・送金手続きのできるオンライン送金プロバイダーによるサービス。プロバイダーによって機能や手数料が異なり、多様な送金方法や、迅速な送金、場合によっては即時送金なども可能です。よく知られるプロバイダーには「ワイズ(WISE)」や「torfx」などがあります。

暗号通貨送金
受取人が暗号通貨ウォレットを持っている場合には、暗号通貨送金での送金も検討オプションの一つになるでしょう。手数料は、通貨と選択した送金サービスによって異なります。

現金受取サービス
「ウエスタン・ユニオン(Western Union)」や「マネーグラム(MoneyGram)」などのいくつかのプロバイダーは、受取人が現地の代理店から現金で受け取ることができる現金受取サービスを提供しています。

紛失や盗難

スイスの治安は一般的に良好です。しかし、他のヨーロッパ諸国同様、主要都市や観光地、空港、駅などではスリや置き引きなどの軽犯罪が発生しています。日本外務省では「油断をせず、荷物から目を離さない、貴重品を隠すなどの基本的な防犯対策が必須」とアドバイスしています。

スリや置き引きはしばしばチームを組み、一人が被害者の注意をそらしている間に、もう一人が貴重品を盗むという手口を使います。

車上荒らしは、主にガソリンスタンドや高速道路のサービスエリア、駐車場などで発生していることを念頭に置き、これらの場所に駐車をする際には十分に気をつけましょう。

パスポートやその他の旅に必要な書類を含む所持品は、常に安全な場所に保管しておきましょう。現金、航空券、クレジットカード、パスポートなどが入ったバッグを駐車中の車のトランクに放置したり、座席に物を置いたりしないよう気をつけてください。

列車などの公共交通機関では、頭上の荷物棚のバッグに貴重品や身分証明書を入れないようにしましょう。特に夜行列車では、十分注意が必要です。

窃盗

窃盗はスイスでもっとも多い犯罪の一つ。家人が不在のときにこっそりと犯行に及ぶ泥棒は、住宅の地下室、ロッカー室、自転車置き場などから侵入して、ノートパソコン、現金、宝石、建築資材、ワイン、自転車、タバコなどあらゆるものを盗みます。

専門家は窃盗を、ドアをこじ開けたり、窓を割ったりして侵入する「強盗」と、施錠されていないドアや窓を見つけ、力を使わずに物を盗む「侵入窃盗」の2つの形態に分類しています。

窃盗の手口
多くの場合、住人が外出している日中に住まいを狙います。逆に、商業施設やオフィス、倉庫などは、人けのない夜間に狙われます。彼らは姿を隠し、人目を避けて行動するため、誰かの存在に気づくと、すぐに逃げ出す傾向にあります。

犯人は必ずしも「黒っぽい服を着た男性」とは限らず、老若男女、誰もが窃盗犯になり得ます。地味で目立たない格好をしていることが特徴です。

警察の仕事
警察は窃盗事件の解明と未然に防ぐ対策が仕事。証拠を収集し、目撃者への聞き取りを行い、必要に応じて捜索を行います。しかし、犯人が残した痕跡を解明したり、犯人を特定したりすることが困難なケースが多いため、検挙率は比較的低いのが現状。さらに、窃盗事件の大部分は事後的に発覚するため、報告書を入手できることは、残念ながら稀です。

スリ

多くの人が持ち歩いているスマートフォンやタブレット型コンピュータ。スリにとっては、電車の中、スポーツクラブのロッカー、ポケット、あるいはカフェのテーブルの上など、ありとあらゆる場所が盗みを働く場所であることを意味します。

公共空間におけるスリの手口
スリは、駅や空港、公共交通機関、エスカレーター、ショッピングモール、市場、コンサートやスポーツイベントなどの大規模イベント会場など、多くの人が集まり、ある程度の匿名性が保たれる場所で多く発生します。犯人は、被害者を欺いたり、注意をそらせたり、驚かせたりするためにさまざまな手口を用いるため、被害者は盗まれたことにしばらく気づかないのが特徴です。例えば、エレベーターやエスカレーター、レジの列などでは、貴重品に手を伸ばせるよう被害者のすぐ後ろに立ちます。リュックサックを背負っていたり、ハンドバッグやショルダーバッグを体の前に持っていなかったりすると、特に狙われやすくなります。

スリが単独で行動することは稀で、通常はグループで行動しています。1人が被害者を混乱させたり、気をそらしたり、ぶつかったり、驚かせたりしている間に、2人目が財布やスマートフォン、時計などを盗み、それをさらに3人目の共犯者に渡して、その人物が人混みに紛れて逃走するという手口を使います。

多くの人が集うパーティーを狙うスリもいます。参加者の多くはアルコールを摂取することによって反応能力が低下してしまうため、現金やスマートフォンを持ち歩いていてもあまり警戒しなくなってしまうからです。また、ポケットの中の貴重品に手を伸ばしてもあまり気付かれない、ダンスフロアなどの暗い人混みを好みます。

自宅付近でも被害に遭うことがあります。「車が故障したので電話を貸してほしい」「気分が悪いので水を一杯ください」などと、緊急事態を装って被害者の親切心につけ込みます。中には、一人暮らしの高齢者に対して、知人や親戚を装うこともあります。また、被害者が公共機関や警察を信頼していることを利用し、当局の代表者として調査を行うふりや、不動産管理会社から依頼を受けた職人のふりをして家に上がり込む者もいます。

詐欺

詐欺師が多種多様な策略を駆使することは周知の事実。論理的な嘘で人を騙すことは、被害者の「魅力的な申し出を信じたい」という根本的な気持ちが強いほど、容易になってしまいます。詐欺師や悪徳業者の典型的な行動パターンは、被害者を動揺させ、説得し、しばしば孤立させ、急かしたりします。誰にでも弱点はあるものですが、詐欺師はこのような人間の弱点を巧みに利用します。

一口に詐欺といっても、いろいろなパターンがありますが、その代表的なものが「ショックコール(Telephone Fraud/Schockanruf)」「ぼったくり(Ripp-off/Abzocke)」「スキミング(Skimming)」です。

ショックコール
スイスでも蔓延しているのが悪質な電話詐欺の一種であるショックコール。日本でもいまだに発生しているオレオレ詐欺のように、電話ででっち上げ話をしながらも信憑性のあるメッセージを言ってくるのが手口。「あなたの子どもが深刻な危機に瀕している」「あなたの親が大きな危険にさらされている」などと言って被害者を慌てさせ、即刻使者を送るので、その者に貴重品を渡せば緊急事態の緩和/危険の回避ができると主張します。驚いて冷静に考えることができない精神状態と、一刻も早く家族を助けないといけないとうプレッシャーから、まんまと要求に応じてしまい、後になって初めて騙されたことに気づくというパターンです。

ぼったくり
無料または一見安価なサービスに対して、予期せぬ料金が発生したり、突然元の金額の何倍もの金額を支払ったりしなければならなくなるケース。被害者は「犯罪的な意味での詐欺」に遭ったと感じるかもしれませんが、こういったサービスの提供者は、たとえギリギリであっても法的な枠組みの中で活動しているため、合法と違法の境界線が曖昧になることがあります。しかし多くの利用者は、小さい文字で書かれた注意事項や利用規約を注意深く(ときにはまったく)確認しないのが実情です。

賢い消費者になって、魅力的な売り言葉に対して「本当に無料、あるいは破格の安さなのか」「なぜすぐに購入しなければならないのか」と疑問を持ち、類似のオファーを詳しく調べ比較する心の余裕を持ちましょう。

スキミング
スイスのMaestroカードとPostfinanceカードには、改ざん不可能な電子チップ(チップは現金引き出しに必須)が搭載されています。このような決済処理インフラの改善と、ATMやカード端末の不正操作(スキミング攻撃)によるデータ窃盗を防止するための対策を講じたことで、スイス国内での銀行カード、デビットカード、クレジットカードの不正利用件数は劇的に減少しました。しかし、中にはPINコードと磁気テープに記録されたデータのみで認証を行う端末を持つ非ヨーロッパ諸国もあるため、こうした攻撃の被害に遭うリスクが完全に排除されるわけではありません。

また、スキミング攻撃犯の中には、盗んだ情報を売買することだけを目的としている人もいます。彼らは磁気テープに記録されたデータやPINコードをインターネット上で他の詐欺師に転売し、その詐欺師がカード所有者の口座から不正に現金を引き出します。こうした犯罪者は組織的な集団で行動することが多く、盗んだ情報はあっという間に海外へ流出してしまいます。

防犯対策…被害に遭わないために

窃盗

家のドアには鍵を
ドアは、たとえ短時間の外出であっても鍵を使ってしっかり閉めましょう。

すべての窓を施錠
すべての部屋、バルコニー、地下室、パティオなどにある、あらゆる窓を閉めましょう。ガラスを傾けて2ウェイ開閉のできる窓「ドレーキップ窓(Dreh-Kipp-Fenster)」は、換気のために内倒しにできますが、泥棒にとっては窓ガラスが傾いていたら開いていることと同じこと。たいした労力を使わずとも簡単に開けてしまいます。

良好な近隣関係の維持
もっとも効果的な窃盗対策の一つは、近隣との良好な関係。休暇で家を留守にするときには信頼できる近隣住民にその旨を伝えましょう。留守中の住まいから物音が聞こえたり、明かりが漏れていたりすれば、彼らはすぐに泥棒の侵入を疑って対処してくれるはず。外出が長期間にわたる場合は、近所の誰かに郵便物の管理を依頼しましょう。郵便受けがいっぱいになっているのは留守の証となってしまうからです。

在宅を装う
侵入窃盗の多くが日中に発生するとはいえ、夜間の照明の役割は決して軽視できません。早い時間に日が暮れる冬場は特に、タイマーを使って自動的に室内灯スイッチの入切をしましょう。複数の部屋を自動的かつ不規則に点灯するようにプログラムすることもできるので、夜間に活動する泥棒にとっては、家に人がいるかどうかの判別が難しくなります。

警察の役割
窃盗事件の発生を防ぐため、警察は定期的に危険区域をパトロールして不審な車両や人物をチェックしています。多くの州では、警察が防犯コンサルティングサービス*も提供しており、警察の専門家が相談者の物件を評価した上で、防犯対策を強化する方法や、家の中で対策が必要な箇所などについて助言します。また、スイスのすべての警察署では、防犯対策キャンペーンを定期的に実施し、一般市民に防犯対策の最善の方法を伝えています。
*スイス犯罪防止協会(Swiss Crime Prevention)からパンフレットを入手したり、警察の安全対策に関するアドバイスが必要だったりする場合は、こちらでお住まいの州を選択してサービスの検索をしてください。ドイツ語、フランス語、イタリア語で対応しています。

スリとひったくり

多くの人が持ち歩いている財布やスマートフォン、タブレットをスリから守るにはどうすればよいのでしょうか。

ひったくりの犯人は、被害者の手や肩からハンドバッグ、スマートフォン、ブリーフケースなどを力ずくで奪い取り、走り去ったり、バイクで逃走し、その被害者はあらゆる年齢層に広がっています。スイス犯罪防止協会が出している下記のアドバイスを参考にしましょう:

  • 持ち物、特に貴重品には常に注意を払い、目を離さない
  • 財布、スマートフォン、家の鍵は、服の内側、できればファスナーなどが付いた内ポケットに入れる
  • 人混みでは、ノートパソコンやリュックサックなどは体の前、あるいは道路とは反対側にしっかりと抱える
  • いかなる電子機器にもパスワードやPINを設定して保護を。外側のポケットには決して入れないこと
  • 電子機器は、盗難に備えて定期的にデータのバックアップをとっておく
  • 万が一電子機器が盗難された場合に位置の特定ができるアプリをインストールしておく
  • 車内の目のつくところには貴重品を置かない
  • 現金や貴重品はできるだけ持ち歩かないようにする。どうしても高価なものを持って外出しないといけない場合は、決して一人で行動しない
  • 貴重品は必要なときだけ取り出して、決して人から見られないようにする
  • 照明が暗く、人通りの少ない道は避ける

※ひったくりに出くわしてしまったら、抵抗しないようにしましょう。争って怪我をすることがあります。

スリの被害に遭ってしまったら
すぐに警察に盗難届を出してください。盗難届がすぐに出されなかったり、不正確な情報しか記載されていなかったりしたために、のちに警察が機器を押収しても返還できないケースが頻繁に発生しています。電子機器のシリアル番号と保証書は安全な場所に保管してください。スマートフォンのIMEI番号はパッケージに記載されているほか、端末で「*#06#」とダイヤルすることでも確認できます。スマートフォンの背面に記載されていることもあります。

ひったくりの被害に遭ってしまったら
すぐに警察に盗難届を出してください。窃盗事件は各警察のデータベースに記録されます。警察は盗品を押収した場合、データベースの記録に基づいて所有者を特定し、返還を試みます。しかし、被害者が貴重品を取り戻せる可能性は一般的に低いのが現状。そうであっても、窃盗被害は警察に届け出ることが重要です。そうすることで、警察は窃盗犯が特に多く発生している地域はどこか、また被害はどのような手口に遭っているのかを把握することができます。この情報を基に、州警察や市警察は、特に被害に遭いやすい人々への予防活動や警告を効果的に実施し、特定の地域での警備を強化します。

詐欺

クレジットカードとATMの詐欺とスキミング

  • 暗証番号:
    暗証番号は絶対に他人に知られないように。カード端末で暗証番号を入力する際は、もう片方の手などでキーパッドを隠し、周囲で誰かが覗き込んでいないか確認を。暗証番号をカードと一緒に保管したり、カードに番号を書き留めたりすることも厳禁です
  • 支払い時:
    ATMの係員やサービス担当者であってもカードを渡してはいけません。現金の引き出しや支払い、チケットの換金などをする際は、神経を集中させ、近づいてくる人がいたら距離を保つよう移動します。他人が会話に加わったり、助けを申し出たりしたら要注意
  • トラブル:
    ATM機に何か不審なことがあったり、端末の前で不安を感じたりした場合は、即利用を中止し、違う場所にある端末を探しましょう。不正操作された端末を発見したら、銀行などのオペレーターに通報してください。営業時間外の場合は、緊急電話番号117を使って警察に連絡を
  • カードの利用停止:
    カードを不正使用された疑いがある場合には、直ちに利用を停止します。銀行の明細は定期的に確認し、身に覚えのない取引があった場合は直ちに金融機関に連絡を

※警察は、スイス銀行協会とスイス犯罪防止協会の支援を受けた「スキミング撲滅キャンペーン(VORSICHT SKIMMING!)」を通じて、スキミングに関する啓発活動と意識向上を図っています。

ぼったくり
スイス消費者フォーラム(Schweizerisches Konsumentenforum kf)の電子商取引オンブズマン事務所では、オンラインショッピングを行う際には、以下のことに気をつけるようアドバイスしています:

  • オンラインショップに出ている文章のスペルミスに注意を払いましょう。スペルはウェブサイトの信頼性を判断する最初の指標。スペルミスが多すぎる場合は、真剣に設計されていない、つまり正当なプロバイダではない可能性が高いといえます
  • オンラインショップに表示されている業界団体やTrusted Shopsの認証マークにも注目を。念には念を入れ、認証マークを正しく取得しているか、認証マークが誤って表示されていないかをTrusted Shopsのサイトで確認しましょう
  • あまりにも廉価なオファーには慎重に。インターネット上には魅力的なオファーが少なくありませんが、商品が完全に無料で提供されることはありません。関税やVATなどの追加費用があるかの確認も大切です。また、掲載されている商品は本物でしょうか?偽造品の疑いがあれば、模倣品・海賊版対策プラットフォームであるStop Piracyに報告してください
  • 信頼できる業者は、常に複数の支払い方法(口座振替、代金引換、クレジットカード、PayPalなど)を提供しています。前払いを要求してくる身元が不確かな業者からの購入には慎重になりましょう
  • ウェブサイトに業者の連絡先住所は記載されていますか。スイスの電子商取引業者は、身元に関する明確かつ完全な情報と連絡先住所を明記する義務があります。これらが記載されていなかったり、無料のメールアドレスを使用していたりする場合は、詐欺である可能性が高まります
  • 所在地が海外にあったら、とりあえず警戒を。スイスは、海外に拠点を置く企業に融資を行うことを認めていません
  • 中央企業索引(Zentraler Firmenindex/ZEFIX)で、商業登記簿に登録されている業者かどうかの確認を。未登録の場合は、疑ってかかるべき企業といえます
  • 融資を受ける際は、国内の金融機関を利用してください。スイスでは、融資を行う前に必ず詳細な手数料計算と過剰債務の有無の確認が行われ、高利貸しや不正融資から顧客を守ります(スイス連邦不正競争防止法)。また、手数料が発生する可能性がある点にも注意を。スイスでは、手数料を別途請求することは禁止されています。「即日融資」や「即時融資」をうたう業者には注意が必要です。現行法では、顧客は少なくとも14日間のうちは少額融資の取り消しが認められています

詐欺被害から自分を守るヒント

  • スイス犯罪防止局、警察、または連邦サイバーセキュリティ庁(Bundesamt für Cybersicherheit/BACS)が発信する、現在発生中の詐欺の手口や新たな詐欺の形態について事前に調べておきましょう
  • 日常的に届く詐欺メール対策として開発されたFlairも大変有益です
  • 接触している人物が詐欺師かもしれないと感じたら警察に通報してアドバイスを受けてください
  • アクセスしている、あるいはしようとしているウェブサイトが不審なものかどうかを確認しましょう
  • ドメインのプロバイダのスイス商業登記簿を確認しましょう
  • オンラインプラットフォームや仮想通貨アドレスに関する詐欺の警告が出てないかを確認しましょう
  • 不安なことがあれば、利用銀行の顧客アドバイザーか、信頼できる専門家に相談を
  • インターネット上の高利回りや非現実的な利益の約束には、極めて懐疑的になるべきです。真面目な金融サービスプロバイダは、短期間の高利回りなどの約束をしないことを覚えておきましょう

サイバー犯罪やロマンス詐欺

サイバー犯罪はスイスでも発生しています。公共のWi-Fiネットワークを悪用した犯人が、クレジットカード情報や個人情報を盗み出す可能性があります。公共のWi-Fiネットワークの利用は避けるのが無難です。

オンラインショッピングは、セキュリティ対策が十分であることを確認してからにしましょう。

ソーシャルメディアに投稿する際も慎重に。オンラインで知り合った相手と実際に会う場合は、特に注意が必要です。誰とどこで会うのかなど、家族や友人に伝えておきましょう。

クレジットカード情報の入力を求めるメールやテキストメッセージに記載されているリンクは、絶対にクリックしてはいけません。

オンラインで知り合った相手は詐欺師である可能性があります。インターネット上で友情や恋愛感情を装う人物による詐欺行為には十分注意し、いかなる理由を突きつけられても決して送金はしないように。

詐欺被害に遭ってしまったら

  • 直ちに居住地の州警察に刑事告発をしてください
  • 送金をしてしまったら契約銀行にもすぐに連絡を。場合によっては送金を停止できる可能性があります
  • 電話やメールで連絡してくる探偵、弁護士、その他の人物からの申し出には決して応じないように。彼らも詐欺の一味である可能性があります

警察に被害状況を説明するだけでなく、周囲の人にも自身の経験を伝えて注意喚起をすれば、詐欺の予防に貢献できます。

暴力行為

一口に暴力といっても身体的なことに限らず、その中身はさまざまです。

家庭内暴力(Domestic Violence/Häusliche Gewalt)
家庭内における人間関係は、本来、安心と安らぎをもたらすもの。本来なら親密な関係にあるはずの人々の間で暴力による対立や力の差が蔓延すると、いわゆる「家庭内暴力」と呼ばれる事態に陥ります。特に子どもが関わる場合、紛争解決はもはや私的な問題という枠を超えてしまいます。

ストーキング(Stalking)
ストーカー行為(Nachstellung/Harcèlement/Atti Persecutori)は、社会的孤立を招くなど、被害者の生活に深刻な影響を与える可能性があります。被害者はしばしば、精神的苦痛から身体的暴行に至るまで真の恐怖に苦しみます。しかし、ストーカー行為は非常に多様な形態と側面を持つ複雑な現象であるため、加害者の無数の行為を個別に検討しても、残念ながら違法行為の基準を満たさないケースが少なくありません。予防の観点から、ストーカー行為をできるだけ早期に認識し、対策を講じることが重要です。

若者の暴力(Youth Violence/Jugendgewalt)
若者たちは、目撃者として、被害者として、加害者としてなど、さまざまな形で暴力的な出来事に関わることがあります。若者の荒っぽさは、多くの場合、自分の限界を探り、社会における自分の居場所を見つけようとする行為の表れでもありますが、ごく稀ではあるものの、それがときとして境界線を越え、犯罪の始まりとなることも。反社会的行動が慢性化する可能性のある兆候を早期に認識し、それを防ぐための適切な対策を講じることが重要です。

脅迫(Threats/Drohungen)
スイス刑法における脅迫とは、「自由に対する犯罪および軽犯罪」と定義されます。多くの人が想像するような「生命や身体に影響を及ぼす行為」ではなく、「脅威・脅迫を受けた人が恐怖を感じた場合に成立する行為」という位置付けです。つまり、相手の自由を制限する行為すべてが脅迫なのであって、暴力、死、あるいは脅迫的なメッセージなど、脅迫の内容を特定するものではありません。

ヘイト(Hate Speech & Hate Crime)
ヘイトは、特定の個人を傷つけるだけでなく、集団全体への憎悪のメッセージも含みます。何らかの集団に属している誰もが皆、こうしたヘイト攻撃の標的になり得ます。

偏見に基づくヘイトスピーチやヘイトクライム/憎悪犯罪。少数派や社会的に疎外された集団は、特に憎悪の被害を受けやすい傾向があり、研究によれば、攻撃対象となる一般的な理由には、出身地、言語、国籍、性別、性的指向、政治的・宗教的信条、その他の信念、さらに外見といったものが挙げられます。偏見の心は生まれつき持っているものではなく、幼少期や青年期に学習するものであり、認識上の不平等や報道のあり方なども影響を与えているといえるでしょう。

昨今深刻さを増しているヘイトクライムに「ネットいじめ」があります。複数の加害者がインターネットや携帯電話を通じ、意図的に個人を侮辱、脅迫、暴露、または嫌がらせをする、長期間にわたった行為です。被害にあった人々の多くは、警察に訴えても真剣に取り合ってもらえなかったり、さらなる差別を受けたりする恐怖に怯え、結局泣き寝入りをしてしまいます。こうした恐怖心を払拭するため、スイス警察は継続的に訓練と意識向上に努めています。

食品・飲料への薬物混入

バーやカフェ、レストランなどで、自分の食べ物や飲み物から目を離したり、見知らぬ人に預けたりするのは大変危険な行為。知り合ったばかりの人から飲み物、ガム、タバコなどを受け取るのも避けてましょう。薬物が含まれている可能性があり、特にバーやナイトクラブでは、性的暴行や強盗の危険にさらされます。

テロ行為

スイスに限らず、ヨーロッパではテロの脅威が確実に存在しています。テロ行為はヨーロッパの複数の都市で実際に起きており、いつ発生してもおかしくありません。

スイス警察が提唱する「テロから身を守るアドバイス」は、「走って逃げる」「隠れる」「通報する」が3本柱となっています。

①とりあえず逃げる。可能であれば他人の脱出の手助けもできるのが理想ですが、何よりもまず自分の身の安全が最優先であることを忘れないように
②可能な限り目立たないように身を隠しながら逃げましょう。知らずに危険区域に入りそうな人がいたら警告してください
③屋内であればドアに鍵をかけ、バリケードを築きます。電気は付けず、携帯電話の着信音とバイブレーションをオフに設定し外に音が漏れないようにしてください
④警察117に通報を
⑤逃げる先に警察がいても、警察に向かって走ったり、慌てた動きをしたりしてはいけません。警察の注意を引いたら、開いた両手を上げ、何も持っていないことをはっきりと示してください

公共の場所では常に周囲に注意を払いましょう。下記のような場所が標的となる可能性がありますが、上の3つは特に危険とされています:

  • スポーツイベント
  • 宗教的な祝祭日
  • 公共の祝典
  • 政府機関(学校を含む)
  • 礼拝所
  • 空港およびその他の交通拠点・ネットワーク
  • 外国人観光客が多く訪れる公共の場所(観光名所、レストラン、バー、カフェ、ショッピングセンター、市場、ホテルなど)

デモ行為

ベルン、ジュネーブ、チューリッヒといった大都市では、時折デモ活動が行われます。平和的に始まるデモであっても、何かをきっかけにあっという間に暴力的な事態に発展する可能性がないとはいえません。また、交通や公共交通機関の運行に支障をきたすこともありますので、デモや大規模な集会が行われている地域に出かけることは避け、地方自治体が指示やアドバイスを出していたらそれに従ってください。デモの状況については、地元のメディアで最新情報が確認できます。

道路の安全

スイス全域の道路状況と安全性は非常に良好といえますが、特に主要都市やラッシュアワー時には交通渋滞が頻繁に発生し、多くの道路は曲がりくねっています。冬期は、大雪で一部の村やスキー場へのアクセスが困難になったり、道路が通行不能になったりすることもあります。

スイスでは「右側優先」の交通ルールが採用されています。交差点では、たとえ幹線道路以外の道路であっても、右側から接近してくる車両に道を譲らなければなりません。ただし、ロータリー交差点では左側優先。この交通ルールに不慣れなために発生する外国人ドライバーによる事故が多いことを頭に入れておきましょう。

スイスで車の運転ができるのは、18歳以上です。

山岳活動

スイスでのハイキングは、旅行者、在住者にかかわらず人気のレジャーですが、このような山岳活動は、十分な準備が整っていない場合には危険を伴うことがあります。

山の天候は夏でも急変することがあることを覚えておきましょう。冬は、大雪により一部の村やスキー場へのアクセスが困難になったり、道路が通行不能になったりすることがあります。また、雪崩の危険性もあり、たとえ少量の積雪でも、命に関わるケースもあります。

ハイキング、登山、スキーに出かける予定がある方は、以下の点に注意しましょう:

  • 決して1人にならず、仲間と共に行動を
  • 旅行保険は、ヘリコプターによる救助と医療搬送を含むものに加入を
  • アクティビティの難易度にあった十分な体力があることを確認し、決して無理はしない
  • 指定の登山道から外れない
  • ハイキングや登山をするのに適切な装備を怠らない
  • 雪崩ビーコンを携帯する
  • 天候やその他の危険要因に関する情報を常に把握できる体制を整えておく
  • 家族や友人に旅行日程を伝えておく
  • 高山病の症状を事前に頭に入れておくことも重要。知らないと命に関わることも
  • 出発前に、アクティビティの内容に関する詳細な情報を入手

下記の連絡先を携帯しておくのもよいでしょう:

携帯電話

スイスはヨーロッパで最も普及している5Gネットワークの一つを開発しています。充実したモバイルネットワークがあるため、ほとんど場所では4Gや5Gでの通信も良好です。ただし、大部分が山岳地帯という地理的な理由から接続状況は地域によって大きく異なります。アルプス地方に長期間滞在される方は、事前に電波の接続状況を確認するとよいでしょう。

無料ホットスポットも、チューリッヒ、ルツェルン、多くのスキーリゾートなど、観光客の多い地域を中心に、全国にたくさん存在しています。また、無料Wi-Fiが利用できる図書館、美術館、交通機関の拠点もあります(公共ネットワークの利用には、簡単な登録手続きを行う必要があります)。

スイスには携帯電話会社も多く、外国人や観光客向けにもさまざまなSIMカードや契約プランを提供しています。主要なブランドとしては「Swisscom」、「Salt Mobile」、「Sunrise」の3つがあり、それぞれ多数の子会社やセカンダリブランドも運営しています。セカンダリブランドは独自のサービスを提供し、主要ブランド名で直接提供する製品よりもはるかに魅力的なオファーを出しています。

主要ブランドのセカンダリブランド例:
Swisscom
Coop Mobile, M-Budget Mobile, Wingo

Salt
Gomo, Lidl Connect, Post Mobile

Sunrise
Aldi Suisse Mobile, Lebara, Yallo

上記の他、ビットネットワーク事業者に所有されず、通信ネットワークの使用料を支払っているだけの独立系通信会社も存在します。

Digital Republic、Galaxus Mobile、Mucho Mobile、Spusu、Talktalk などがその例です。

すべての会社は3つのネットワーク事業者のいずれかのインフラを利用しているので、ユーザーにとってモバイルサービスのプロバイダーがネットワーク事業者なのか、子会社なのか、独立系企業なのかはさして重要ではないといえるでしょう。スイスのモバイル通信ネットワークは世界でも最高レベルの一つで、中でもSunriseとSwisscomのネットワークは、独立したテストで最高のパフォーマンスを発揮しました。

とはいえ、刻一刻と変わる多数のプランの中からモバイルサービスプロバイダーを選ぶ際に、料金、契約条件、そして契約に含まれるサービス内容などを比較検討するのは至難の業。そんなときは、比較サイトで必要事項を記入し、個々の状況にマッチしたプランを選ぶこともできます。

・https://www.moneyland.ch/en/mobile/index
・https://en.comparis.ch/telecom/mobile/angebote/alle-handyabos
・https://www.internet-offer.ch/en/mobile
・https://www.alao.ch/en/compare/mobile/

ブロードバンド

スイスの通信市場は自由化されているため、インターネット接続の選択肢が増加傾向にあります。ストリーミングやショッピング、単にオンラインチャットをするなど、どのような場面でも、スイスのインターネットの優れたネットワークは安心です。インターネット接続は通常、高速DSLまたはケーブル接続ですが、人気が高いのはダウンロード速度を大幅に向上させる光ファイバーケーブル。一部のプロバイダーは、4Gまたは5Gを使用するセルラー接続(携帯電話回線を利用した接続方式)やハイブリッド接続も提供しています。

顧客獲得を競うインターネットおよびテレビプロバイダーが多数存在するため、選択肢は豊富にあります。かつて国営だった「Swisscom」は、現在もスイスの家庭向けインターネット市場を独占していますが、他にも多くのプロバイダーが存在し、熾烈な競争を繰り広げています。料金は通常、ダウンロード速度、ケーブルの種類、その他のオプション(テレビパッケージ、音楽サブスクリプションなど)に応じて決まります。比較検討し、個々のニーズに合った最適なプランを見つけましょう。テレビや音楽のサブスク、携帯電話の契約を検討している場合には、パッケージプランとしてまとめて契約すると割安になるでしょう。

スイスで不動産を購入すると、一般的にはインターネットやテレビの接続は自分で行う必要があります。既存の電話回線がある場合も同様です。接続設定に時間がかかる可能性もあるので、手続きはできるだけ早く開始しましょう。

賃貸住宅の場合は、すでにこれらのサービスが接続されていてその費用が家賃に含まれている可能性もあります。そうでない場合には、賃貸契約に署名する前に家主に必ず確認してください。例えば、サービスアパートメントや短期滞在用アパートメントではすべての通信費用が家賃に含まれていることが普通です。プロバイダーの変更が可能であったとしても、最低契約期間とスイスでの滞在期間を考慮する必要があります。

ブロードバンドを契約する際は、家族全員のニーズに合った適切なプランを選ぶことが重要です。ゲームに多くの時間を費やす家族がいる場合には、より高速なダウンロード速度が必要になるでしょうし、Netflixなどの有料テレビ番組視聴やソーシャルメディアにのみインターネットを使う場合は、最速でなくても問題はないでしょう。

ブロードバンドの大手プロバイダーには、以下のものがあります。

・Swisscom
・Sunrise
・Green
・SAK Digital
・Salt
・Wingo
・Yallo

税制

スイスの税制は、連邦制の特徴の一つ。26の州/カントン(Cantons)はそれぞれ独自の税法を持ち、所得、資産、相続、その他の課税項目について、州ごとに大きく異なる税率を課しています。連邦憲法第3条では以下のように規定しています:

「連邦憲法によって主権が制限される場合を除き、州が主権を有する。州は、連邦政府に帰属しないすべての権利を行使する」

州は、連邦憲法が特定の税金の課税を明示的に禁止している場合、または連邦政府にその権利を留保している場合を除き、原則として独自の税制を選択することができます。

連邦と州は本来の課税権を有してはいるものの、自治体は州から認可を受けた場合にしか課税を行うことができません。ほとんどの州と自治体は、同じ税金(所得税、富裕税、利益税、資本税)を課しており、多くの場合、自治体は州の税収の一部を受け取るか、州の税金に上乗せ課税を行っています。

連邦直接税(Direct Federal Tax/Dft)

連邦直接税(Dft)は、個人の所得と企業の純利益に対して課税されます(個人の資産と企業の資本はこの対象外)。州は連邦政府の監督の下、Dftを査定・徴収し、徴収した税金、罰金、利息の総額の約8割を連邦政府に納付し、残りの約2割を取り分としています。所得税は、各課税期間に実際に得られた所得に基づいて、その期間ごとに決定され、徴収されます。

連邦直接税には以下のものがあります。

①個人の所得に対する税(Direct Federal Tax on the Income of Individuals)
スイスに永住または一定期間滞在する個人は、無制限の納税義務を負います。以下のいずれかに該当する場合、納税上の居住地が存在するとみなされます(一時的な中断を含む)。

      • スイスに30日以上滞在し、かつ有給雇用されている
      • スイスに90日以上滞在し、かつ有給雇用されていない

スイスに納税上の住所または居住地を持たない個人は、スイスに所在する特定の課税対象(事業活動、恒久的施設、不動産など)と経済的関係がある場合、経済的関係に基づく限定的な納税義務を負います。

家族課税および配偶者課税(Family Taxation and Taxation of Spouses)の原則に基づき、夫婦は共同体を形成し、したがって税務上も経済単位とみなされます。そのため、法的にも実質的にも婚姻関係にある夫婦の所得は、夫婦財産制度にかかわらず、課税目的で合算されます。同様の制度は、登録パートナーシップにも類推適用されます。離婚、裁判所による別居判決、または実際の別居の場合、夫婦は当該課税期間全体にわたって個別に課税されます。

未成年者の所得は、親権者の所得に合算されます。ただし、勤労所得については、未成年者自身に個別に課税されます。

②法人に対する利益税(Direct Federal Tax on the Profit of Legal Entities)
法人は利益と資本に対して課税されます。法人形態は、A. 株式会社(株式会社、合名会社、有限責任会社)、および株式会社と同様の課税を受ける協同組合、B. 協会、財団、その他の法人形態(公的機関、宗教団体、および不動産を直接所有する集合投資スキーム)の、2つのカテゴリーに分類されます。

③連邦カジノ税(Federal Casino Tax)
連邦政府はカジノの収益に対する特別税を徴収する権限を持っていますが、その税額は総ゲーミング収益の80%を超えてはならず、また、AHV/IV基金(老齢・遺族年金と障害年金)に納められます。カジノから得られる高額な税収は、高齢化が進むスイスで、年金制度の持続可能性を支える重要な役割を果たしています。

④兵役免除税(Military Service Exemption Tax)
スイスのすべての男性は兵役義務を負っていますが、何らかの理由で、兵役または民間奉仕によってこの義務を(全部または一部)履行できなかった者は、スイス社会雇用税法(MSETA)に従って兵役免除税を納付しなければなりません。名称に税と付いてはいるものの、厳密には税金ではなく補償金という位置付けです。各州は連邦政府の監督の下、兵役免除税を徴収し、徴収手数料として20%を受け取ります。

連邦消費税およびその他の間接税(Federal Consumption and Other Indirect Taxes)

①付加価値税(Value Added Tax/VAT)
全EU加盟国においてVATが導入されたことにより、スイスでも売上税からVATへ制度が変更となりました。この一般消費税は、国内における物品およびサービスの消費を対象としています。生産、貿易、サービス業のあらゆる段階(国内税)、海外に拠点を置く企業からのサービス取得(取得税)、および物品の輸入(輸入税)に対して課税されます。

通常税率は8.1%、宿泊施設には3.8%が課される他、特定の物品およびサービスには2.6%の軽減税率が適用されます。軽減税率が課されるものには、アルコール飲料や外食を除く食料品、種子、生きた植物、切り花、飼料および肥料、医薬品、ラジオ・テレビ放送会社のサービス、生理用品などがある他、連邦評議会が定める種類の広告性のない新聞、雑誌、書籍その他の印刷物、同じく広告性のない電子新聞、雑誌、書籍などが含まれます。

また、年間納税額が一定額より低い納税者は、簡易申告の選択ができます。

②連邦源泉徴収税(Federal Withholding Tax)
課税対象となる利益の納税義務者(課税対象者)から連邦政府が源泉徴収する税金。動産資本資産からの収益(特に利子および配当)、ギャンブル、宝くじ、販売促進のためのスキルゲームによる国内での賞金、および特定の保険給付に対して課税されます。課税対象となる利益の納税義務者が国内居住者であることが課税条件となっています。この税金の主な目的は、課税対象となる利益の受領者が、源泉徴収税の対象となる所得および投資所得、ならびに課税対象となる利益を生み出した資産を、管轄の税務当局に申告するよう促すことで、源泉徴収税は主に脱税対策の手段といえるでしょう。

③連邦印紙税(Federal Stamp Duties)
連邦政府が特定の法的取引および資本取引に対して課す税金。有価証券取引(売買あるいは仲介業者として関与)による譲渡税、国内で発行される初発行の特定有価証券の発行税、国内の保険会社が受け取る特定の保険料税の3種類があります。

④たばこ税(Tobacco Tax)
スイス国内において、商業目的で製造された既製たばこ製品および代替たばこ製品、ならびに輸入されたたばこ製品および代替たばこ製品に課されます。税率は、たばこの種類によります。詳しくはこちらでご確認ください。

⑤ビール税(Beer Tax)
関税地域内で製造されたビールについては、製造業者(醸造所)が課税対象となり、輸入ビールについては、関税債務者が課税対象となります。税額は、1ヘクトリットルあたり、麦汁の比重(プラトー度)に基づいて計算されます。また、アルコール度数が0.5%以下のビール(ノンアルコールビール)には税金が課されません。

⑥鉱物油税(Mineral Oil Tax)
鉱物油税は特別な消費税であり、以下のものが含まれます。

      • 原油、その他の鉱物油、天然ガス、それらの加工製品、および自動車燃料に対する鉱物油税
      • 自動車燃料に対する鉱物油付加税

⑦自動車税(Automobile Tax)
連邦税関・国境警備局(FOCBS)は、輸入車または国内生産車の価格に対して4%の税金を課しています。(自動車とは、車両重量1,600kg以下の小型商用車および乗用車を指します。)国内生産がごくわずかであるため、税収(2024年には約4億6,000万スイスフラン)はほぼすべて輸入車から得られています。大型車両税の対象となる車両や障害者用車両などは免税対象です。

⑧蒸留酒税(Tax on Spirits)
蒸留酒には、スイス国内産か輸入品かを問わず、飲料税庁(FOCBS)によってスピリッツ税が課されます。国内産のスピリッツは自己申告制ですが、輸入品は税関規則の対象となります。国内生産か輸かにかかわらず、すべてのスピリッツには一律の税率が適用されます。税額は純アルコール1リットルあたり29スイスフランですが、アルコール度数が低いものは50%減税されます。減税される酒類には以下のものがあります。

      • アルコール度数15%~22%の果物、ベリー類、その他の原料から作られたワイン、およびアルコール度数18%~22%の生ブドウから作られたワイン
      • アルコール度数22%以下のワイン、甘口ワイン、ミステル
      • ブドウから作られ、植物や芳香物質で風味付けされた生ベルモットその他のワイン

⑨関税(Customs Duties)
物品が税関国境を越える時点で課税対象となります。物品が使用されないまま再輸出された場合などでも、関税債務が発生します。税法上、関税は経済取引税に分類されます。税率はほぼ例外なく重量に基づいており、関税収入は連邦政府の財源となります。

⑩高速道路税(Motorway Tax)
この税金は、登録の国内外にかかわらず、課税対象となる第一級および第二級高速道路を使用する自動車およびトレーラーに課せられるもの。「高速道路通行許可証/ヴィネット(Vignette)」が車に貼られていることが納税済みであることの証明になります。最近では、最新の電子ステッカー(e-sticker)または従来の粘着式ステッカーのいずれかを選択できるようになっています。通行許可証なしで運転した場合、罰金(200スイスフラン)が科せられます。

現在、高速道路通行許可証(ヴィネット)は1枚40スイスフラン。2026年版のステッカーは2025年12月1日から2027年1月31日まで有効です。(日額、週額、月額の許可証はありません。)

一度通行許可証を貼付したら、有効期限が過ぎる前であっても剥がして別の車両に貼付することはできません。たとえ自分の車両だったりナンバープレートが交換可能なものだったりしても、認められません。

連邦政府は高速道路税による純収入を、道路輸送に関連する業務および費用、特に高速道路の建設、維持管理、運営の財源として活用しています。

州税および自治体税の直接税/Cantonal and Communal Direct Taxes

①所得税および富裕税(Income and Wealth Taxes)
すべての州は、1年間の現行課税方式による後払い方式/ポストヌメランド方式(Postnumerando System)で課税を行っており、その年に実際に得た所得に基づいて税額を計算、翌年に課税・納税する仕組みです。ほとんどの州で適用される税率は、法律で定められた基本税率と定期的に設定される税率係数の2つの要素から構成されます。

一般的に、資産税は総資産に対して課されます。総資産には、納税者が所有または用益権を有するすべての財産および権利が含まれ、通常、時価で評価されます。課税対象となる資産には、特に動産(例:有価証券、銀行預金、自動車)、不動産(例:不動産)、償還可能な生命保険および年金保険、事業または農業への投資資産が含まれます。

②人頭税または世帯税(Poll or Household Tax)
チューリッヒ州(Zurich)、ルツェルン州(Lucerne)、ウーリ州(Uri)、ニトヴァルデン州(Nidwalden)、ゾロトゥルン州(Solothurn)、シャフハウゼン州(Schaffhausen)、ティチーノ州(Ticino)、ヴォー州(Vaud)、ヴァレー州(Valais)、ジュネーブ州(Geneva)では、すべての成人またはすべての就労者が州税および市町村税を支払う義務があります。所得税とは別に課税され、税率は低額です。ヴォー州とヴァレー州では、市町村のみがこの税金(任意市町村税)を課税する権限を有しています。

③法人税および資本税(Profit and Capital Taxes)
ほぼすべての州および市町村は、法人および協同組合に対して、純利益税、払込済株式資本および準備金に対する税金を課しています。

④相続税および贈与税(Inheritance and Gift Taxes)
相続税の対象となるのは、法定相続人および指定相続人、ならびに受遺者へ移転される財産です。生前贈与も贈与税の対象となり、民法上の「贈与」の定義が適用されます。相続税および贈与税は、連邦政府ではなく州のみが課税します。一部の州では、自治体も相続税および贈与税を課税する権限を有していますが、ほとんどの自治体は自ら課税するのではなく、州の税収の一部を受け取るにとどまっています。

⑤賭博の賞金税(Gambling Winnings Tax)
ギャンブル、宝くじ、販売促進のためのスキルゲームによる賞金は、すべての州で賞金が一定額を超える場合にのみ課税対象となります。シュヴィーツ州(Schwyz)、ティチーノ州(Ticino)、ヴァレー州(Valais)、ジュラ州(Jura)では、これらの賞金は他のすべての所得とは別に、特別な税率または税額で課税されます。ベルン州(Bern)とヌーシャテル州(Neuchâtel)では、宝くじの賞金は他のすべての所得と合わせて評価されますが、個別の税額で課税されます。一方、その他のすべての州では、これらの賞金は他の所得とともに通常の所得税の対象となります。

⑥不動産譲渡税(Property Gains Tax)
連邦レベルでは、個人資産としての不動産売却益は非課税です(事業資産としての不動産売却益、あるいは不動産の商業取引から生じるキャピタルゲインのみが課税対象)。

一方、州レベルでは、納税者が不動産売却によって得た不動産譲渡益に課税されます。チューリッヒ州(Zurich)、ベルン州(Bern)、ウーリ州(Uri)、シュヴィーツ州(Schwyz)、ニトヴァルデン州(Nidwalden)、バーゼル・シュタット州(Basel Stadt)、バーゼル・ラントシャフト州(Basel Landschaft)、ティチーノ州(Ticino)、ジュラ州(Jura)の一部では、これらの不動産譲渡益すべてに「不動産譲渡益税(Property Gains Tax)」と呼ばれる特別税が課せられます。

⑦不動産税(Real Estate Tax)
不動産税は主に州レベルと市町村レベルで課税されるため、地域によって大きな差があります。住宅所有者は、不動産の価値に対して年間資産税、賃貸していない場合はみなし賃貸価値に対して所得税、場合によっては不動産税を支払います。

⑧不動産移転税(Real Estate Transfer Tax)
不動産譲渡税は、不動産(およびそれに付随する権利)の所有権移転すべてに課される法定取引税、つまり、所有権の移転そのものに対する税金です。税率は原則として固定(比例税)で、購入価格の1%から3.3%の範囲です。

⑨州立カジノ税(Cantonal Casino Tax)
カジノライセンスは、提供するゲームの種類や規模によってタイプA(グランドカジノ/Grand Casino)とタイプB(小規模カジノ)に分類されており、それぞれのカジノ収益税(粗利益に対する税金)の仕組みや使途が異なります。タイプBの税金の6割が年金や障害者年金に、残りの4割はカジノが所在する州に納められます(ただし、この税金はオンラインゲームには適用されません)。カジノ事業は、地域振興と社会福祉(特に年金制度)への貢献を目的として、ライセンス区分と高い税率が設定されています。

州税および自治体税の固定資産税と支出税/
Cantonal and Communal Property and Expenditure Taxes

①自動車税(Motor Vehicle Tax)
国内の道路を走行するには、すべての自動車およびトレーラーは正式に登録されている必要があります。登録された自動車およびトレーラーには、すべての州で毎年自動車税が課されます。ただし、連邦政府、州、自治体およびその下部組織、ならびに外国の外交代表機関の名義で登録された車両には、この税金は適用されません。納付義務は、車両登録書類とナンバープレートが発行された車両の所有者が負います。

税額は車両の種類によります。課税基準は、馬力、キロワット数、排気量、積載量、総重量または空車重量、環境影響評価など、技術的な特徴によって決まり、同じ車両であっても、税額は州によって大きく異なります。一部の州では、特定の車両カテゴリーや推進方式が一部免除されたり、税額控除の対象となったりします。

②犬税(Dog Tax)
州や自治体は、ペットの犬に対して年間税を課しています。税額は犬の大きさや体重によって異なります。また同じ州内であっても、自治体によって税額が異なる場合もあります。盲導犬や救助犬など、特定のケースでは税額の減免措置が適用されます。

③娯楽税(Entertainment Tax)
娯楽税は、入場料を伴う公共イベントに課される税金で、チケット税(通常は入場料か総収入の10%)または定額料金のいずれかの形で徴収されます。娯楽税は、基本的に任意で課される地方税です。

④州印紙税(Cantonal Stamp Duty)
2026年現在、スイスには伝統的な意味での州別印紙税は存在しません。印紙税は、主に証券取引と100万スイスフラン超の株式発行に課される連邦税です。

⑤宝くじ税(Lottery Tax)
ほとんどの州では、一般市民が主催する非営利の宝くじや抽選などに税金を課しています。まれに市町村によって課される場合もありますが、市町村は州が課した税金の一部を受け取るシステムであることが多いようです。宝くじ税は通常、「認可料(Authorisation Fee)」の名目で徴収され、税金のような性質を持つのはごく一部の州に限られます。

その他の税/Other Taxes

①市税/観光税(City Tax/Visitor’s Tax)
チューリッヒ州(Zurich)とトゥールガウ州(Thurgau)以外の州では、市税または観光税、あるいはその両方が課されます。これらの税金は通常、地元の観光案内所が徴収しますが、場合によっては自治体が徴収することもあります。また、法律により税金を課すことは認められていても義務付けられていない州もあります。

②観光振興税(Tourism Promotion Tax)
アッペンツェル・インナーローデン州(Appenzell Innerrhoden)とジュネーブ州(Geneva)は、観光による直接的または間接的な恩恵を受ける事業活動を行う企業に対し、「観光振興税」を課しています。この税は、納税者が観光から得る利益と付加価値に基づいて算出され、税収は、観光の発展と振興を目的としています。他のいくつかの州も同様の税または類似の税を課す選択肢を有しています。

③消防隊免除税(Fire Brigade Exemption Tax)
消防隊勤務義務を負っているにもかかわらず実際に消防活動に従事していない個人に対して課される税金。ほとんどの州または自治体では原則として有効ですが、チューリッヒ州(Zurich)、バーゼル・シュタット州(Basel Stadt)、ティチーノ州(Ticino)、ヴォー州(Vaud)、ジュネーブ州(Geneva)にはこの税は存在しません。

④水道税(Water Tax)
一定の総発電量を超えて水力発電を行った水力発電所に課せられる税金ですが、すべての州で課税されるわけではありません。また、水の使用に対して課される水道料金とは区別する必要があります。