基礎情報 2025年の祝祭日 地理 気候 サマータイム 時差 電圧 金融関連 携帯電話 ブロードバンド

基礎情報

正式国名

日本語   :スイス連邦
ドイツ語  :Schweizerische Eidgenossenschaft
フランス語 :Confédération Suisse
イタリア語 :Confederazione Svizzera
ロマンシュ語:Confederaziun Svizra
英語    :Swiss Confederation(通称Switzerland)

首都

日本語     :ベルン
スイスドイツ語 :Bärn
スイスフランス語:Berne
スイスイタリア語:Berna
ロマンシュ語  :Berna
英語      :Bern

国土面積

41,285km²(九州よりやや小さく、スコットランドの約半分の広さ)

人口

約8,970,000人(世界101位)

在留邦人数

長期滞在者: 4,168人
永住者  : 7,772人
合計   : 11,940人(うち成人数8,429人)

公用語

ドイツ語(約62.6%)、フランス語(約22.9%)、イタリア語(約8.2%)、ロマンシュ語(約0.5%)、その他(約5.8%)(「myswitzerland.com」調べ)

※ドイツ語圏で一般的に話される「スイスドイツ語(Schweizerdeutsch/Schwyzerdütsch)」は、標準ドイツ語とはボキャブラリーや発音に大きな違いがあり、方言というよりは別の言語のようにも聞こえます。また、国内でも地域特有の方言があり、標準ドイツ語の知識があってもスイスドイツ語が理解できない場合もあります。スイスフランス語もフランス本国とは多少異なります。

民族構成

スイス国籍者は人口の3分の1以上(女性の割合は約41%、男性は約37%)を占めています。
移民背景を持つ人口で一番多いのは、男性はイタリア国籍、女性はドイツ国籍。3位は男性がドイツ国籍、女性がイタリア国籍。男女ともに4位はポルトガル国籍、次いでフランス国籍です。

第一世代の移民背景を持つ人口のうち、半数弱がEU27加盟国およびEFTA加盟国の国籍を持ち、約30%がスイス国籍、12%がスイス以外のヨーロッパ諸国の国籍を持ち、12%がその他の国の国籍です。第二世代では、70%がスイス国籍を持ち、21%がEU27加盟国またはEFTA加盟国の国籍を持っています。

主な宗教

キリスト教徒が多数を占める国であり、国民の大半はローマ・カトリック教会(約32%)またはプロテスタント教会(21%)に属しています。どの宗教にも属さない人口の割合も33%を超えるなど、近年スイスの宗教環境は大きな変化を遂げてきましたが、信仰の自由は連邦憲法に定められた基本的権利の一つとなっています。

2025年の祝祭日

3月1日(土) 共和国の日(ヌーシャテル州)
3月19日(水) 聖ヨゼフの日(シュヴィーツ州他8州)
4月18日(金) グッドフライデー(2州を除く全土)
4月21日(月) イースターマンデー(8州を除く全土)
5月1日(木) メーデー(チューリッヒ州他8州)
5月29日(木) キリスト昇天祭(全土)
6月9日(月) 聖霊降臨祭(sub)(7州を除く全土)
6月19日(木) 聖体祭(16州)
6月29日(日) 聖ペテロとパウロの日(ルツェルン州他3州)
8月1日(金) スイス建国記念日(全土)
8月15日(金) 聖母の昇天祭(16州)
11月1日(土) 万聖節(16州)
12月8日(木) 聖母の無原罪のお宿り(15州)
12月25日(木) クリスマス(全土)
12月26日(金) セントスティーブンズデー(17州)
12月31日(水) 復興の日(ジュネーブ州)

地理

約1,858キロにわたって複数の隣国と接する内陸国、スイス。国境の長さの内訳は、ドイツが約346 キロ、フランスが約572キロ、イタリアが約734キロ、オーストリアが165キロ、リヒテンシュタインが約41キロとなっています。ヨーロッパの中央に位置するスイスでは多様な文化が交わり、ヨーロッパ南部と北部を結ぶ交通の要ともなってきました。

主要な地理的地域は3つに分かれ、アルプス山脈が約60%、中部地方(ミッテルラント)が約30%、ジュラ山脈が約10%となっています。

アルプス山脈の平均標高は約1,700メートルですが、4,000メートルを超える山が48もあります。アルプスはまた、西ヨーロッパにおける重要な水源となっています。アルプスを覆う氷河は約1,200平方キロメートルにものぼり、中央ヨーロッパにある氷河の大部分を占めています。ヨーロッパの淡水の6%がスイスアルプスに貯水されていることから、「ヨーロッパの貯水池」とも呼ばれるスイスには、1,484の湖と1,400氷河があり、水資源には大変恵まれた国です。

レマン湖(Lac Léman)からライン川(Rhein)にかけて広がるジュラ山脈(Massif du Jura/Massif du Jura)は、スイスとフランスの国境にある石灰岩でできた山脈で、地質時代のジュラ紀の由来となった「ジュラ」からは、恐竜の化石や足跡が多数発見され考古学上もっとも重要な地域と位置付けられています。

気候

アルプス山脈と大西洋に大きく影響を受けるスイスの気候は一般的に穏やかで、極端に暑くなったり寒くなったり湿度が高くなることはあまりありません。四季がはっきりしており、春(3月〜5月)には木々が花を咲かせ、草原は緑に染まります。しかし、ときには4月に入ってから不意に冬が戻ってきたり、5月に早くも夏が訪れたりする年もあります。秋(9月〜11月)になると果物が熟し、落葉樹の葉が色づきます。かつてはかなり寒くなり雪が降ることもあった冬ですが、最近では(特に低地では)気温が氷点下まで下がったり雪が降ったりすることは稀になりました。スキー場は人工雪に頼ることも多くなっています。

標高にもよりますが、気温は通常、7月・8月の日中は18~28度、1月・2月は−2~7度、春と秋の日中は8~15度程度となります。とはいえ、山間部の天気は変わりやすいので、山登りやハイキングに出かける場合には、セーター、歩きやすい靴、日焼け止め、サングラス、たためる傘か軽いレインコートを持っていくことをお勧めします。当日の天気予報もしっかり確認しておきましょう。

平均気温(°C)日照時間(H)UV Index
1月-2.3 – 52.21
2月-2.2 – 6.53.12
3月1.1 – 11.55.13
4月4.2 – 14.95.95
5月8.4 – 18.96.57
6月11.8 – 22.37.378
7月13.7 – 24.58.138
8月13.5 – 24.17.577
9月9.8 – 19.75.875
10月6 – 14.84.033
11月1.5 – 8.92.171
12月-1.4 – 5.51.81

サマータイム

原則的に、夏時間/サマータイムは毎年3月の最終日曜日(2025年は3月30日)の午前1時に1時間時計を進め、10月最終日曜日(2025年は10月26日)の午前2時に1時間戻します。

時差

日本との時差は、グリニッジ標準時(Greenwich Mean Time / GMT)で8時間、サマータイム期間は7時間遅れ。スイスを含むヨーロッパのほとんどの国は、GMTより1時間先行しています。

電圧

220V / 230V(日本は100Vなので日本の電化製品を使う際には変圧器が必要)
コンセントはCタイプが一般的

金融機関

目的が駐在であれ、留学であれ、スイスに長期滞在するとなれば日々の生活に欠かせないのが現地の銀行口座。給与振り込みや家賃の支払い、スイス・日本間での送金、スイス国内でのデビットカードやクレジットカードの利用など、滞在国に銀行口座を持つメリットは数々あります。また、金融サービスと銀行業の代名詞ともいえるスイスは、その安定性と機密性で知られています。国土の小ささにもかかわらず比較的多くの金融機関を有しており、約240の銀行が存在、そのうちの100余りが個人向け口座を提供しています。金融商品の内容も幅広く、400近くのフィンテック企業が金融、投資、暗号通貨サービスを提供しています。

スイスの銀行は政府機関である「金融市場サービス機構(Swiss Financial Market Supervisory Authority/FINMA)」によって規制されており、ほとんどの銀行はスイス銀行協会に加盟しています。

スイスには数多くの有名銀行があり、世界中に支店を展開しています。スイスの主要国営銀行および銀行グループには以下のものがあります:

UBSスイス(UBS Switzerland AG)

スイス最大の銀行。世界中で事業を展開し、口座、住宅ローン、法人向け銀行業務、投資など、幅広いサービスを提供。

ライファイゼン・スイス(Raiffeisen Schweiz)

約300の地方銀行からなる協同組合で、個人向け、法人向け、および事業向け銀行業務を提供。

ユリウス・ベア(Julius Baer)

資産運用と投資に特化した銀行。

スイスにはまた、政府が所有する州立銀行もあり個人向け口座を提供しています。所在地の州内で業務を行い、地域経済を支えています。主な州立銀行には、以下のものがあります:

チューリッヒ州立銀行(Zürcher Kantonalbank)

スイスで第4位の規模を誇り、州立銀行としては最大。個人顧客に対し、2024年からビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の2つの暗号資産(仮想通貨)の売買・保有サービスを始めています。

ヴォー州立銀行(Banque Cantonale Vaudoise)

創業1845年の老舗州立銀行。スタンダード&プアーズからAA格付けを取得している世界でも数少ない銀行の一つです。

ルツェルン州立銀行(Luzerne Kantonalbank)

日常の銀行取引を簡単に処理する実用的なデジタルバンキングに力を入れており、従来の投資と同様の簡易さで暗号通貨取引も実現しています。個々のニーズに合わせた年金基金(fluks 3a)にもデジタルで投資することができます。

グラウビュンダー州立銀行(Graubündner Kantonalbank)

グラウビュンデン州の価値観と真の顧客密着性を組み合わせ、安定性と信頼に基づき、個々の顧客にあった金融ソリューションときめ細やかなアドバイスを提供しています。

ザンクト・ガラー州立銀行(St. Galler Kantonalbank)

1868年の設立以来、ザンクトガレン州の地元住民と中小企業に銀行サービスを提供し、地域の経済を支えてきました。資産形成や堅実で信頼性の高い投資を提供する卓越した専門機関としても知られています。

上記の国立銀行や州立銀行に加え、多くの国際金融機関がスイスに支店を置いています。これらの銀行は、駐在員向けや、富裕層(HNWI)向けプライベートバンキング、投資、資産運用、法人向けバンキングに重点を置いていることが多いようです。このような国際銀行には、以下のものがあります。:

HSBCプライベートバンク(HSBC Private Bank)

ドイツ銀行(Deutsche Bank (Schweiz) AG)

JPモルガン(J.P. Morgan)

シティバンク(Citibank)

バークレイズ(Barclays)

どの銀行を選ぶかは、在住地域と必要とするサービスによります。日常的な口座であれば、スイスの国立銀行または州立銀行が最適な選択肢です。資産運用には、スイスに数多く存在するプライベートバンクを検討するのも良いでしょう。

頻繁に旅行したり、海外に送金したりする場合は、デジタルバンクが便利。ヨーロッパで広く展開し、海外でもカードを簡単に利用できるネオバンク(銀行がその機能を外部事業者に対してクラウドサービスとして提供するシステムを採用している銀行)もあります。

口座の種類

利用する銀行によってサービス内容は異なりますが、多くの大手銀行は以下の口座やサービスを提供しています。

当座預金口座
クレジットカードやデビットカードを含む、日常の資金管理用口座です。

貯蓄と投資
貯蓄口座、投資用株式オプション、年金などのオプションを提供しています。

デジタルバンキングとオンラインバンキング
特に大手銀行では、顧客が簡単に資金管理を行うことができるようインターネットバンキングを提供しています。

モバイルバンキング
銀行アプリを提供する銀行も多く、スマートフォンやPC、タブレットから資金管理ができます。

これらの口座とは別に、「ローンと当座貸越(住宅のリフォームなど、大きな出費のために資金を借りる必要がある場合に利用)、「住宅ローン(持ち家購入を検討の際に利用)、「保険(自動車保険、住宅保険、生命保険、健康保険など)」などのサービスも提供しています。

非課税貯金
貯蓄口座から得られる利息には通常35%の源泉徴収税が課されます(年間200フラン未満の場合や、利息が年払いでない場合を除く)。源泉徴収税の還付を受けるには、スイスの確定申告で貯蓄口座を申告する必要があります。

しかし、個人が保有する証券(株式、債券、ETF(上場投資信託))のキャピタルゲインは、プロトレーダー*でない限りは原則として非課税です。
*プロトレーダー:金融市場で取引を行い、生計を立てている人。頻繁に投機的な取引を行うか、大幅なレバレッジをかけるとプロトレーダーとみなされることが多いようです。

配当には35%の源泉徴収税が課せられますが、スイス居住者は確定申告をすることで源泉徴収税の還付を受けることができます。海外投資については、還付されない源泉徴収税が課される場合もあります(例えば、米国の配当は15%)。一部の国とは異なり、スイスでは積立と分配のどちらにも税制上の優遇措置はなく、いずれも課税されます。

税制上の優遇措置がある金融商品としては他に「個人年金/ピラー3a(Pillar 3a)」というものがあります。拠出額(最大7,258スイスフラン/2025年現在)は税控除の対象となり、投資額は課税繰り延べされ、退職時の引き出しには減税が適用されます。

スイスで税効率の高い投資を行うには、源泉徴収税の煩雑さを最小限に抑えるためにも、配当利回りの高い投資ではなく、成長性の高い投資に重点を置くことを検討すると良いでしょう。非プロトレーダーとしてのステータスを維持するためにも、投資は長期にわたって保有しましょう。

このように、個人投資家にはキャピタルゲイン税が課されないため、長期投資家にとって有利な状況にあります。しかし、配当課税については注意が必要です。長期的に保有される世界的に分散された ETFポートフォリオ*は、通常、ほとんどのスイス居住者にとって最も税効率の高いアプローチといえるでしょう。詳しくは専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

*複数の上場投資信託(Exchange-Traded Funds)を組み合わせた投資戦略。リスクを分散させることが可能

口座を開く

スイスでの銀行口座開設の方法は一般的な銀行口座の開設と大差ありません。ただし、プライバシーに関わる特別な事情から、身元を証明する公式書類の提出に関する審査は厳格です。また、マネーロンダリング防止法により、スイスの銀行口座開設希望者はいくつかの書類の提出が求められます。これには、パスポートの認証コピー、職業を証明する書類(納税申告書、会社書類、専門資格、資金源の証明など)、その他の一般的な個人情報が含まれます。

外国人も口座を開設できます。そのためにはまず18歳以上であること、そして合法的にスイスに居住していることを証明する必要があります。一部の銀行では、国際送金や複数通貨口座の取引など、駐在員コミュニティを対象としたサービスや商品も提供しています。これには、従来型口座とデジタル口座があり、UBS、ライファイゼン、ミグロス銀行(Migros Bank)ポストファイナンス(PostFinance)などが人気のようです。
N26RevolutYuhといったネオバンクも、複数通貨の口座や国際送金が必要な方にとっては便利で費用対効果の高い選択肢とされています。

口座開設にあたっては、最低残高の決まりはありませんが、一旦口座を開いて入金すると最低残高要件が課せられるのが一般的です(その額は銀行によって異なります)。

ほとんどの口座はスイスフラン、ユーロ、米ドル、または英国ポンドで資金を保有しており、口座開設者は取引通貨を選択することができます。街の商店の多くはユーロでの支払いを受け付けてくれますが、ユーロはスイスの公式通貨ではなく受け入れが義務付けられているわけではありません。為替レートがそれほど有利ではない場合もあり、現金払いの際にお釣りがスイスフランで返ってくることもあります。

口座取引明細書/ステートメント

スイスでは、すべての資産を納税申告書の証券申告書に記載する必要があります。スイスの銀行はそのための特別な明細書を発行しています。確定申告の有価証券申告書に記入する必要がある案件は、銀行の明細書に明確に記載されています。

入金

入金方法には、ATM(Bancomat/Geldautomat/Distributeur Automatique)または銀行支店での現金入金、銀行振込(QRコードを含む)、TWINTなどのモバイル決済アプリを使うなど、いくつかの方法があります。

現金入金:スイスの多くの銀行には、現金入金に対応したATMがあります。スイスフランの場合は紙幣と硬貨の両方、ユーロの場合は紙幣のみの入金が可能です。銀行窓口で現金または小切手を直接入金することもできです。

銀行振込:請求書の支払いや別の口座への送金には、通常QR請求書(旧入金伝票)を使います。あるいは、銀行のオンラインプラットフォームを利用して、受取人のIBANなどの情報を入力し口座振替する方法も一般的です。

現金引き出し

現金は、ATMを使って引き出すのが一般的です。ほとんどのATMは1日24時間365日使えます。国内にある銀行のATMでデビットカードを使って現金を引き出すと、多くの場合、手数料はかかりません。一部の銀行では、特定の銀行パッケージまたはオプションに加入している顧客にのみ、自行ATMでの現金引き出しを無料にしていますが、これらのパッケージやオプションには通常月額手数料がかかります。

自行のATMに加えて、特定の他行が運営するATMでも現金引き出しを無料で利用できる場合もあります。例えば、州立銀行が発行したデビットカードは、通常、他の州立銀行のATMも無料で利用できます。

一般的に、自行またはその提携先が運営していないATMを使うと手数料がかかります。手数料は銀行によって異なりますが、中には一定回数の引き出しまでは無料としている銀行や、毎月の基本口座手数料またはカード手数料を課している銀行の中だと、無制限で手数料を無料にしているものもあります。口座開設時に確認しましょう。

多くのスーパーマーケットのレジでも、デビットカードを使って現金を引き出すことができます。この方法による現金引き出しには、手数料が無料になる場合と、1回につき2フランかかる場合があります(ヴォー州立銀行BCVは3フラン)(2025年現在)。また一部の小売店のレジでは、TWINTで現金を引き出すこともできます。手数料は、金額に応じて1.50フランから2フランほどです。

ポストファイナンス(PostFinance)の顧客は、手数料なしで郵便局の窓口で現金を引き出すことができます。多くの銀行支店でも、自社の顧客のみ窓口での現金引き出しを可能にしています。しかし、一部銀行では支店によってこのサービスを停止するところが増えてきています。また、自行の窓口であっても、1回につき2フランの手数料や、一定額以下の引き出しに対する手数料を課している銀行もあります。

クレジットカードでの現金引き出し手数料は、引き出し額の約4%とはるかに高額。多くの場合、1回当たりの最低手数料は5〜10フランに設定されています。

海外で作ったカードを使用する際、一部のATMでは「スイスフラン(CHF)での引き落とし」の画面で「換算あり(With Conversion)」または「換算なし(Without Conversion/Decline Conversion/Dynamic Currency Conversion/DCC)」のいずれかを選択するよう求められることがあります。「換算あり」を選択すると自国通貨での引き落としとなり、ATMの設定為替レートで換算される上、別途手数料(%)もかかります。「換算なし」を選択した場合はスイスフランで引き落とされ、銀行/カード会社(Visa、Mastercardなど)の為替レートで換算します。
不要な手数料を避けるには、「換算なし」を選択しましょう。

多機能ATM

多機能付きATMでは、現金引き出し、残高照会、取引履歴照会、送金などの基本操作の他、下記のような高度な機能も付いています。

QR請求書スキャンと支払い:請求書のQRコードをスキャンして、ATMから直接支払い
外貨注文:旅行などで必要な外貨の注文
自動送金:定期的な支払いや送金の設定
銀行へのメッセージ:予約のリクエストやその他の問い合わせなど、銀行に直接メッセージを送信
保管口座の確認:投資口座または証券口座の詳細の確認
通貨と金利情報:為替レートと現在の金利に関する情報にアクセス
暗証番号の変更:カードを挿入したら「PIN変更(Change PIN)」を選択し、画面の指示に従って新しい番号を入力します。セキュリティ上の理由から、1234や5555などの過度に単純なPINは入力できません。スイス国外からの変更もできません

個人識別番号/暗証番号

新しいデビットカードまたはクレジットカードを取得すると、暗証番号は別途銀行から郵送されます。暗証番号は国内のATMで変更することもできます。

クレジットカード/プリペイドカードの暗証番号を忘れたり、3回間違えて入力してしまったら、銀行のオンラインバンキングまたはモバイルバンキングアプリから新しい暗証番号を申請することができます。

①Eバンキングにログイン
②「口座とカード(Accounts & Cards) > カード設定 (Settings for Cards)> 新しい暗証番号の注文(Order PIN)」
③カードが複数ある場合は、新しい暗証番号が必要なカードを選択し、確定(confirm)
④数日以内に新しい暗証番号が郵送されてきます。

デビットカード

デビットカード(スイスでは「ECカード」とも呼ばれる)は最も一般的な決済手段となっています。ほとんどの銀行はデビットカードを発行しており、実店舗とオンラインでの支払いに利用できます。決済時に口座から直接引き落とされるため、銀行口座に十分な残高があることが必要です。

スイスではMaestro(Mastercard)が最も一般的なデビットカードでしたが、段階的にMaestroを廃止し、MastercardとVisaのデビットシステムに移行し始めています。今後の新規口座開設時には、VisaまたはMastercardのデビットカードが発行される可能性が高いでしょう。

※スイスで最も普及している決済方法はデビットカードですが、現金は依然として2番目に多い決済方法。ほとんどの店舗では現金が利用可能です。

コンタクトレス・ペイメント/キャッシュレス決済

伝統的に現金に頼ることの多かったスイスですが、スイス国立銀行(SNB)がSIXと提携し、2024年8月、10秒以内の口座振替を可能にする「インスタント決済」を導入。現在ではこれがスイスの小売決済取引の95%をカバーしています。インスタント決済はヨーロッパ全域で拡大していますが、スイスのこの分野への参入は、2026年までにキャッシュレス社会への移行を目指す広範な取り組みの一環となっています。

モバイル決済もますます普及が進んでいます。対面でもオンラインでも、アプリやデジタルウォレットを使えば支払いが素早く行われ、大変便利な決済方法です。特に人気の高い選択肢として下記のものがあります:

モバイル決済アプリ「TWINT
他のユーザーへの支払い、オンラインショッピング、対面でのショッピングに利用できます。プリペイドで残高分だけ使用することも、銀行口座とリンクさせて引き落としすることもできます。スキャンできるQRコードが付いた請求書は、アプリを使って即座に支払いができます(ただし、TWINTは主にスイス国内での支払いに使用され、スイスフランに限定されています)。

デジタルウォレット
日本でも浸透している「Apple Pay」や「Google Pay(https://pay.google.com/intl/ja_jp/about/learn/)」の他、Garmin Payといったデジタルウォレットを使えば、スマートフォンやスマートウォッチなどのデバイスを使って決済ができます。主にオンライン取引で利用されている「PayPal」も世界中で人気の高いデジタルウォレットの一つです。

自動引き落とし/自動振替

スイスには、「スイス自動振替(Swiss COR1 Direct Debit/CH-DD)」と「自動引き落とし(Last Schrift Verfahren/LSV+)」の2種類の口座振替方法があります。基本的に、前者は第三者が光熱費や電話代など定期的に変動する支払いを顧客の銀行に直接請求することに同意するもので、後者は顧客が家賃などの定額の支払いを第三者に対して行うよう銀行に指示するものです。現在、スイスの郵便局が運営する銀行であるPostFinanceはCH-DDのみを採用しています。

自動振替には法人顧客向けの「ビジネスダイレクトデビット(Business Direct Debit/BDD)」というシステムもありますが、LSV+とBDDは、2028年9月30日をもって廃止されることが決定しています。それまでに、別の支払い方法に移行していくことになりますが、移行先として、デジタル請求(eBills)、QR請求(QR-bills)、自動振替(CH-DD)、個別支払請求など、既に確立された代替手段が考えられます。特にeBillやQR-billsなどのデジタルソリューションは、支払い承認の成否に関する透明性を高め、支払う側にも請求する側にも高い付加価値があると期待されています。

自動引き落とし/自動振替の解約

LSV+を解約する
①特定の受取人への口座振替依頼を解約したい旨を銀行に伝える
②オンラインバンキングのプラットフォームから口座振替依頼を解約する
※受取人にも解約の旨を伝えておきましょう。

CH-DDを解約する
①銀行のオンラインポータルにログインし、キャンセルしたい口座振替を見つけ、「口座振替管理(Direct Debit Management)」や「支払い管理(Manage Payments)」などのオプションから解約(オプションの名称は銀行によって異なります)
②銀行のモバイルアプリを開き、該当する口座からキャンセルしたい口座振替を見つけ、「口座振替管理(Direct Debit Management)」や「定期支払い(Regular Payments)」などのオプションから解約(オプションの名称は銀行によって異なります)
※口座振替をキャンセルしたら、支払先にその旨必ず伝えましょう。そうすることで、今後口座から引き落とされたり、キャンセルされた支払いについてリマインダーやその他の措置が取られたりすることを防止できます。

取引支店の変更と口座解約

口座を解約するときは、処理を迅速にするために、手続きを開始する前に以下の情報を用意しておきましょう:
①解約したい口座番号
②残高の振込先となる受取人の氏名と住所
③②の銀行情報(IBAN、取引通貨、受取人の銀行名)
④口座または銀行取引の解約を希望する日にち
⑤手続き後に連絡が必要になった場合の電話番号

支店の変更も口座解約も、まずはスマートフォンのアプリか、パソコンからオンラインバンキングポータルを通して手続きができるか確認します。これらの方法ではできない場合、書面による申請をするか、直接支店に赴きます。その際事前に予約を入れておくと、必要書類や情報が確認でき、スムーズに手続きを進めることができます。

※銀行口座を解約する前には、すべての口座振替や自動引き落としによる支払いが完了していることを確認しましょう。

預金補償および投資家補償制度

スイスの預金金融機関が破綻しても、スイスの現行法規定に基づき、顧客の口座残高/預金を最大10万スイスフランまでが補償されます。同じ銀行に複数の口座を持つ場合には、合計した金額に適用されます。共同名義口座(Joint Account)の預金は、個別口座保有者の残高とは別に、最大合計10万スイスフランまで補償されます。

住宅金融組合(Building Society)

スイスには、「住宅金融組合」のような銀行システムはありませんが、顧客/メンバーと地域社会を中心にサービスを提供し、住宅ローンや地域融資に重点を置く協同組合的な構造を持つ銀行は存在します。ライファイゼン・スイス(Raiffeisen Schweiz)はその一つで、伝統的な住宅金融組合の理念を持ち、地域密着型の特徴があります。主要な事業は住宅ローンの提供で、住宅金融組合の社会的側面に倣って地域社会への関与と支援を重視しています。
UBS銀行などの他の主要な銀行も住宅ローンサービスを提供していますが、上記に比べると、協同組合的組織構造や地域密着性は薄いようです。

モバイルバンク

金利の良さなどを考慮するなら、実店舗を持たないことで経費を節減し高い利子を実現しているネットバンクも検討してみるとよいでしょう。スイスでは、複数の銀行が完全デジタル化され、支店を持たないモバイルバンキングを提供しています。これらはしばしば「ネオバンク(Neobanks)」あるいは「デジタルバンク(Digital Banks)」と呼ばれ、物理的な支店を必要とせず、モバイルアプリのみでサービスを提供しています。デジタルで資産管理を行うことを好む顧客にとっては、手数料が抑えられ、利便性が向上すると好評です。

多くの銀行では、ビデオ認証によるオンライン口座開設が可能です。顧客はモバイルアプリから、支払い、送金、カード管理、その他の銀行サービスにアクセスでき、二段階認証や暗号化などのセキュリティ対策を徹底しているのも特徴です。またネット接続さえあれば、どこからでも1日24時間365日アクセスできるため、柔軟性と利便性が向上します。

スイスで展開しているモバイルバンクには下記のようなものがあります:

ネオン(neon Switzerland AG)
基本手数料なし・超低価格運用・高速がウリの、スイスで設立した会社が運営するモバイルバンク。従来の銀行が持つ問題(過剰な手数料、柔軟性のない営業時間、過剰な官僚主義、複雑で遅いアプリなど)を解決すべく開発されました。

ザック(Zak by Bank Cler AG)
スイス初の完全デジタル銀行口座として2018年よりバンク・クレル(Bank Cler)が提供する無料の銀行口座。最大の特徴は、スイス国内でのあらゆる取引に対して手数料が一切かからないことです。

N26
無料の普通銀行口座と有料のスマート口座を提供。どちらもモバイルアプリからアクセスできます。デビットカード(マスターカード)、最大6枚のバーチャルカード、毎月3回の国内ATM無料引き出しが付属する銀行口座「N26 Smart」を開くと、個別の IBAN を持つ最大10個の 「Spaces サブアカウント」が取得でき、目標ごとに貯金や請求書の管理をすることができます。

上記のモバイルバンクだけでなく、従来の銀行も強力なオンラインおよびモバイルバンキングサービス提供しているものがあり、口座の管理や請求書の支払い、取引などをデジタルで行うことができます。

日本とスイス間の送金

スイスと日本間の送金には、銀行、専門の送金サービス、電子ウォレット、または実店舗を利用するなどの方法があります。それぞれの方法には長所と短所があるため、最適な方法は、送金内容や個人のニーズによって異なります。送金する最も簡単な方法は、家に居ながらにして送金手続きがきるデジタルサービスでしょう。しかし、他の方法にもそれぞれ特徴があるため、いくつかを比較して自分に最適なものを選ぶ必要があります。考慮すべき要素として主に下記のことが挙げられます。

送金時間
プロバイダーによって大きく異なる送金時間。一部の専門送金サービスでは、即時または数分で完了しますが、Swiftネットワークを利用すると、銀行によっては3~5日かかることも普通です。

送金手数料
海外送金には、初期送金手数料、為替レートのマークアップ、第三者機関による手数料など、さまざまな手数料が発生する場合があります。中にはすべての手数料を透明に区分しているプロバイダーもありますが、必ずしもそうとは限りません。記載されている送金手数料と為替レートの両方を慎重に比較し、総合的に見て最も適したサービスを見つける必要があります。

必要書類
セキュリティ上の理由と国際法の遵守のため、海外送金には身分証明書と住所の証明が必要となります。パスポートや運転免許証などの政府発行の身分証明書、および氏名と住所が明記されている銀行取引明細書や公共料金の請求書で証明できますが、高額送金となると、資金源の証明など、追加の書類が必要になる場合もあります。

為替レート
銀行含むすべての送金サービスは独自の為替レートを設定しており、それにはすでに手数料が含まれている場合もあります。為替換算ツールを使用してミッドレートの為替レートを確認し、複数の送金サービスが提供するレートを比較し、最適なレートを選びましょう。

主な送金方法とその特徴は以下の通りです。

銀行振込
世の中が現在のようにデジタル化される以前より使われている銀行振込は、安全で信頼できる方法です。従来の支店窓口で振込手続きを行う方法の他、最近では、オンラインや銀行アプリを使った送金も可能になっています。銀行を介した国際送金は、送金手数料や送金レートへのマークアップ、さらにはコルレス銀行(Correspondent Account/国際送金の仲介銀行)による第三者手数料などが加算され、他の方法に比べると高額になることが多いようです。

オンライン送金サービスプロバイダー
スマートフォンやノートパソコンで登録・送金手続きのできるオンライン送金プロバイダーによるサービス。プロバイダーによって機能や手数料が異なり、多様な送金方法や、迅速な送金、場合によっては即時送金なども可能です。よく知られるプロバイダーには「ワイズ(WISE)」や「torfx」などがあります。

暗号通貨送金
受取人が暗号通貨ウォレットを持っている場合には、暗号通貨送金での送金も検討オプションの一つになるでしょう。手数料は、通貨と選択した送金サービスによって異なります。

現金受取サービス
ウエスタン・ユニオン(Western Union)」や「マネーグラム(MoneyGram)」などのいくつかのプロバイダーは、受取人が現地の代理店から現金で受け取ることができる現金受取サービスを提供しています。

携帯電話

スイスはヨーロッパで最も普及している5Gネットワークの一つを開発しています。充実したモバイルネットワークがあるため、ほとんど場所では4Gや5Gでの通信も良好です。ただし、大部分が山岳地帯という地理的な理由から接続状況は地域によって大きく異なります。国土の大部分で4Gまたは4G+以上の接続が利用できるとはいえ、アルプス地方に長期間滞在される方は、事前に電波の接続状況を確認すると良いでしょう。

無料ホットスポットも、チューリッヒ、ルツェルン、多くのスキーリゾートなど、観光客の多い地域を中心に、全国にたくさん存在しています。また、無料Wi-Fiが利用できる図書館、美術館、交通機関の拠点もあります(公共ネットワークの利用には、簡単な登録手続きを行う必要があります)。

スイスには携帯電話会社も多く、外国人や観光客向けにもさまざまなSIMカードや契約プランを提供しています。主要なブランドとしては「Swisscom」、「Salt Mobile」、「Sunrise」の3つがあり、それぞれ多数の子会社やセカンダリブランドも運営しています。セカンダリブランドは独自のサービスを提供し、主要ブランド名で直接提供する製品よりもはるかに魅力的なオファーを出しています。

主要ブランドのセカンダリブランド例:
Swisscom
Coop Mobile, M-Budget Mobile, Wingo

Salt
Gomo, Lidl Connect, Post Mobile

Sunrise
Aldi Suisse Mobile, Lebara, Yallo

上記の他、ビットネットワーク事業者に所有されず、通信ネットワークの使用料を支払っているだけの独立系通信会社も存在します。

Digital RepublicGalaxus MobileMucho MobileSpusuTalktalk などがその例です。

すべての会社は3つのネットワーク事業者のいずれかのインフラを利用しているので、ユーザーにとってモバイルサービスのプロバイダーがネットワーク事業者なのか、子会社なのか、独立系企業なのかはさして重要ではないといえるでしょう。スイスのモバイル通信ネットワークは世界でも最高レベルの一つで、中でもSunriseとSwisscomのネットワークは、独立したテストで最高のパフォーマンスを発揮しました。

とはいえ、刻一刻と変わる多数のプランの中からモバイルサービスプロバイダーを選ぶ際に、料金、契約条件、そして契約に含まれるサービス内容などを比較検討するのは至難の業。そんなときは、比較サイトで必要事項を記入し、個々の状況にマッチしたプランを選ぶこともできます。

https://www.moneyland.ch/en/mobile/index
https://en.comparis.ch/telecom/mobile/angebote/alle-handyabos
https://www.internet-offer.ch/en/mobile
https://www.alao.ch/en/compare/mobile/

ブロードバンド

スイスの通信市場は自由化されているため、インターネット接続の選択肢が増加傾向にあります。ストリーミングやショッピング、単にオンラインチャットをするなど、どのような場面でも、スイスのインターネットの優れたネットワークは安心です。インターネット接続は通常、高速DSLまたはケーブル接続ですが、人気が高いのはダウンロード速度を大幅に向上させる光ファイバーケーブル。一部のプロバイダーは、4Gまたは5Gを使用するセルラー接続(携帯電話回線を利用した接続方式)やハイブリッド接続も提供しています。

顧客獲得を競うインターネットおよびテレビプロバイダーが多数存在するため、選択肢は豊富にあります。かつて国営だった「Swisscom」は、現在もスイスの家庭向けインターネット市場を独占していますが、他にも多くのプロバイダーが存在し、熾烈な競争を繰り広げています。料金は通常、ダウンロード速度、ケーブルの種類、その他のオプション(テレビパッケージ、音楽サブスクリプションなど)に応じて決まります。比較検討し、個々のニーズに合った最適なプランを見つけましょう。テレビや音楽のサブスク、携帯電話の契約を検討している場合には、パッケージプランとしてまとめて契約すると割安になるでしょう。

スイスで不動産を購入すると、一般的にはインターネットやテレビの接続は自分で行う必要があります。既存の電話回線がある場合も同様です。接続設定に時間がかかる可能性もあるので、手続きはできるだけ早く開始しましょう。

賃貸住宅の場合は、すでにこれらのサービスが接続されていてその費用が家賃に含まれている可能性もあります。そうでない場合には、賃貸契約に署名する前に家主に必ず確認してください。例えば、サービスアパートメントや短期滞在用アパートメントではすべての通信費用が家賃に含まれていることが普通です。プロバイダーの変更が可能であったとしても、最低契約期間とスイスでの滞在期間を考慮する必要があります。

ブロードバンドを契約する際は、家族全員のニーズに合った適切なプランを選ぶことが重要です。ゲームに多くの時間を費やす家族がいる場合には、より高速なダウンロード速度が必要になるでしょうし、Netflixなどの有料テレビ番組視聴やソーシャルメディアにのみインターネットを使う場合は、最速でなくても問題はないでしょう。

ブロードバンドの大手プロバイダーには、以下のものがあります。

Swisscom
Sunrise
Green
SAK Digital
Salt
Wingo
Yallo