最近では、「毎日1万歩」は健康維持の合言葉となっており、1日1万歩歩くことで、認知症、心臓病、うつ病、2型糖尿病、がんなど、幅広い健康問題のリスクが低下すると広く信じられています。しかし、健康効果を得るのに実際には何歩必要なのでしょうか? また、歩くことによって体にどのような影響があるのでしょうか?

2025年7月にランセット公衆衛生誌(The Lancet Public Health)に掲載された研究によると、魔法の数字は「1日約7,000歩」。その影響は、がんリスクの6%低下から認知症リスクの38%低下まで及び、高齢者にとって致命的となる可能性の高い「転倒リスク」が28%低下するという結果も出ました(分析のため、31の研究で16万人以上のデータを追跡)。

ロンドン大学ブルネル校で「座位行動と健康(Sedentary Behaviour and Health)」を専門とするベイリー博士はこの研究結果を受け(同研究には不関与)、「最適な健康状態を保つには1日1万歩を目標にすべきという神話を覆すものだ」と述べました。心拍数を上げる早歩きは、血行を促進し、血圧を下げ、減量にも役立ち、包括的な心臓の健康にプラスになることはよく知られていますが、この新たな分析は、歩くことで複数の健康問題のリスクを抑制できる可能性を探る初めての試みだということです。

その結果、1日約4,000歩という控えめな歩数でも、1日約2,000歩という非常に座りがちな生活を送る人よりも健康状態が良好で、心臓病などの疾患を持つ人のケースでは歩く量が多いほど健康状態が良くなる傾向がありました。しかし他の健康状態に関しては、1日あたり約7,000歩を超えると効果は徐々に薄れていくことが明らかに。ベイリー氏によれば、「現実的には、普段よりも1,000歩多く歩くなど、身体活動を少し増やすだけでも健康上のメリットが得られる可能性がある」とのことです。

とはいえこの報告書にはいくつかの限界がありました。少数の研究から得られたデータであることから、特にがんと認知症に関する知見はどうしても正確さに欠けるといえるでしょう。研究の中には、年齢や虚弱状態など、健康状態に影響を与える他の要因が十分に考慮されていないものもありました。しかし、たとえそうではあっても、1日7,000歩は非公式の目標である1万歩よりも現実的な目標である可能性があることから、あまり活動的でない人にとっては励みになるだろうと、研究者たちは述べました。

キングス・カレッジ・ロンドンの「人間・応用生理学(Human and Applied Physiology)」の教授であるハリッジ氏(同研究には不関与)は、歩数計では身体活動の強度までは明らかにならないが、これこそが重要な点であると強調しました。例えば、一般的に成人は週に少なくとも150分の中程度の運動(早歩きや自転車に乗るなど)、または週に1回75分の激しい運動を行うことが推奨されています。

しかしハリッジ氏も「この研究は、身体活動を促すことが心身の健康の両方にとって良いことであることを明らかにした」と、研究結果を歓迎しています。

参考資料:Euro News / Health News(www.euronews.com/health

https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/08/04_2508_pedometre.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/08/04_2508_pedometre-150x150.jpgLiE 編集部最近では、「毎日1万歩」は健康維持の合言葉となっており、1日1万歩歩くことで、認知症、心臓病、うつ病、2型糖尿病、がんなど、幅広い健康問題のリスクが低下すると広く信じられています。しかし、健康効果を得るのに実際には何歩必要なのでしょうか? また、歩くことによって体にどのような影響があるのでしょうか? 2025年7月にランセット公衆衛生誌(The Lancet Public Health)に掲載された研究によると、魔法の数字は「1日約7,000歩」。その影響は、がんリスクの6%低下から認知症リスクの38%低下まで及び、高齢者にとって致命的となる可能性の高い「転倒リスク」が28%低下するという結果も出ました(分析のため、31の研究で16万人以上のデータを追跡)。 ロンドン大学ブルネル校で「座位行動と健康(Sedentary Behaviour and Health)」を専門とするベイリー博士はこの研究結果を受け(同研究には不関与)、「最適な健康状態を保つには1日1万歩を目標にすべきという神話を覆すものだ」と述べました。心拍数を上げる早歩きは、血行を促進し、血圧を下げ、減量にも役立ち、包括的な心臓の健康にプラスになることはよく知られていますが、この新たな分析は、歩くことで複数の健康問題のリスクを抑制できる可能性を探る初めての試みだということです。 その結果、1日約4,000歩という控えめな歩数でも、1日約2,000歩という非常に座りがちな生活を送る人よりも健康状態が良好で、心臓病などの疾患を持つ人のケースでは歩く量が多いほど健康状態が良くなる傾向がありました。しかし他の健康状態に関しては、1日あたり約7,000歩を超えると効果は徐々に薄れていくことが明らかに。ベイリー氏によれば、「現実的には、普段よりも1,000歩多く歩くなど、身体活動を少し増やすだけでも健康上のメリットが得られる可能性がある」とのことです。 とはいえこの報告書にはいくつかの限界がありました。少数の研究から得られたデータであることから、特にがんと認知症に関する知見はどうしても正確さに欠けるといえるでしょう。研究の中には、年齢や虚弱状態など、健康状態に影響を与える他の要因が十分に考慮されていないものもありました。しかし、たとえそうではあっても、1日7,000歩は非公式の目標である1万歩よりも現実的な目標である可能性があることから、あまり活動的でない人にとっては励みになるだろうと、研究者たちは述べました。 キングス・カレッジ・ロンドンの「人間・応用生理学(Human and Applied Physiology)」の教授であるハリッジ氏(同研究には不関与)は、歩数計では身体活動の強度までは明らかにならないが、これこそが重要な点であると強調しました。例えば、一般的に成人は週に少なくとも150分の中程度の運動(早歩きや自転車に乗るなど)、または週に1回75分の激しい運動を行うことが推奨されています。 しかしハリッジ氏も「この研究は、身体活動を促すことが心身の健康の両方にとって良いことであることを明らかにした」と、研究結果を歓迎しています。 参考資料:Euro News / Health News(www.euronews.com/health)