桜の花の美しさを愛で、春の到来を祝う日本の風習である「花見」がヨーロッパに上陸したのは、今から5、6年前のこと。イギリスでもそのまま「hanami」という英単語になって定着。初春になると、桜の名所案内や楽しみ方のアイデアについての記事が雑誌やSNSを賑わせます。
今回は数多いロンドンの名所の中から、世界遺産の植物園「キュー・ガーデン(Royal Botanic Gardens, Kew)」をご紹介します。

淡いピンク色のチェリー・ウォーク ⓒ RBG Kew
園内の桜のスポットは2カ所。一つはビクトリア時代の温室「テンペラット・ハウス(Temperate House)」の北側にのびる桜並木で、見上げるとソメイヨシノ、下にはチューリップというユニークな組み合わせになっています。
イギリスでの桜の見頃は、例年4月初めから半ばにかけて。その時季、「チェリー・ウォーク(Cherry Walk)」と呼ばれるこの並木道は淡いピンクに彩られ、ようやく訪れた春を満喫する最高の場所となります。

はかなげな花だけでなく、ピオニーに似た濃く派手な八重桜も ⓒ Akiko Shimizu
もう一つは、亜熱帯植物の温室「パーム・ハウス(Palm House)」の裏側に広がる桜園。
キュー・ガーデンは教育を目的としているだけに、ここではできるだけたくさんの種類を見せられるよう限られた区画の中に多種の桜が植栽され、まるで品種見本市のようになっています。

パーム・ハウス裏の桜園では、日本の花見を真似て、桜の下にピクニックマットを広げワインを楽しむ人たちも ⓒ RBG Kew
それぞれの木にネームプレートが掛けられ、桜の学名(プルナス/Prunus)の下にカンザン、マツマエヤエゴロモなどの和名が記されているので、日本人でも知らないような名称を発見することがあり、桜についての知識が深まります。
ネームプレートとは別に木の下には説明板が置かれ、桜の木や日本の花見について解説されています。花見とは「桜の木の下で花を観賞しつつピクニックをする日本古来の風習。夜間に行われることもあり」とのこと。ピクニックより宴会に近い場合もありますが、それはともかく「夜桜」という美しい言葉もそのまま英語になってほしいですね。

木に掛けられたネームプレートと花見についての説明板 ⓒ Akiko Shimizu
桜を堪能したら、園内にある「ボタニカル・ブラッセリー(Botanical Brasserie)」でアフタヌーン・ティーを。これを加えると、「花見」が一気にイギリス風「hanami」になります。花をテーマにした季節限定のブロッサム・アフタヌーン・ティーが提供される年もあるので、ウェブサイトでぜひご確認を。

ボタニカル・ブラッセリーのアフタヌーン・ティー ⓒ Company of Cooks
他にも、ロンドンには「ケンジントン・ガーデンズ(Kensington Gardens)」、「セント・ポール大聖堂(St Paul’s Cathedral)」など桜の名所がたくさんあります。
花見の後で近くのパブに寄り、桜色に近いロゼ・ワインを注文してみる、あるいは大聖堂やレンガの家々をバックに桜を入れて写真撮影・・・など、一味違うイギリスならではの「花見」を見つけてみるのはいかがですか?
INFORMATION
キュー・ガーデン(Royal Botanic Gardens, Kew)
投稿者プロフィール
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清水 晶子
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ロンドン在住ジャーナリスト。東京都出身。出版社勤務の後独立。英国/ヨーロッパ文化についての原稿を雑誌、ウェブマガジン、書籍用に執筆。著書に「ロンドンの小さな博物館」(集英社新書)、「ロンドン近未来都市デザイン」(東京書籍)、「英国ヘンな旅先案内」(平凡社)など。
ミュージアム・インスタグラム
https://living-in-eu.com/european-cities/202602_kewhttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/02/09_2602_uk-cherry_top.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/02/09_2602_uk-cherry_top-150x150.jpg清水 晶子桜の花の美しさを愛で、春の到来を祝う日本の風習である「花見」がヨーロッパに上陸したのは、今から5、6年前のこと。イギリスでもそのまま「hanami」という英単語になって定着。初春になると、桜の名所案内や楽しみ方のアイデアについての記事が雑誌やSNSを賑わせます。
今回は数多いロンドンの名所の中から、世界遺産の植物園「キュー・ガーデン(Royal Botanic Gardens, Kew)」をご紹介します。
淡いピンク色のチェリー・ウォーク ⓒ RBG Kew
園内の桜のスポットは2カ所。一つはビクトリア時代の温室「テンペラット・ハウス(Temperate House)」の北側にのびる桜並木で、見上げるとソメイヨシノ、下にはチューリップというユニークな組み合わせになっています。
イギリスでの桜の見頃は、例年4月初めから半ばにかけて。その時季、「チェリー・ウォーク(Cherry Walk)」と呼ばれるこの並木道は淡いピンクに彩られ、ようやく訪れた春を満喫する最高の場所となります。
はかなげな花だけでなく、ピオニーに似た濃く派手な八重桜も ⓒ Akiko Shimizu
もう一つは、亜熱帯植物の温室「パーム・ハウス(Palm House)」の裏側に広がる桜園。
キュー・ガーデンは教育を目的としているだけに、ここではできるだけたくさんの種類を見せられるよう限られた区画の中に多種の桜が植栽され、まるで品種見本市のようになっています。
パーム・ハウス裏の桜園では、日本の花見を真似て、桜の下にピクニックマットを広げワインを楽しむ人たちも ⓒ RBG Kew
それぞれの木にネームプレートが掛けられ、桜の学名(プルナス/Prunus)の下にカンザン、マツマエヤエゴロモなどの和名が記されているので、日本人でも知らないような名称を発見することがあり、桜についての知識が深まります。
ネームプレートとは別に木の下には説明板が置かれ、桜の木や日本の花見について解説されています。花見とは「桜の木の下で花を観賞しつつピクニックをする日本古来の風習。夜間に行われることもあり」とのこと。ピクニックより宴会に近い場合もありますが、それはともかく「夜桜」という美しい言葉もそのまま英語になってほしいですね。
木に掛けられたネームプレートと花見についての説明板 ⓒ Akiko Shimizu
桜を堪能したら、園内にある「ボタニカル・ブラッセリー(Botanical Brasserie)」でアフタヌーン・ティーを。これを加えると、「花見」が一気にイギリス風「hanami」になります。花をテーマにした季節限定のブロッサム・アフタヌーン・ティーが提供される年もあるので、ウェブサイトでぜひご確認を。
ボタニカル・ブラッセリーのアフタヌーン・ティー ⓒ Company of Cooks
他にも、ロンドンには「ケンジントン・ガーデンズ(Kensington Gardens)」、「セント・ポール大聖堂(St Paul’s Cathedral)」など桜の名所がたくさんあります。
花見の後で近くのパブに寄り、桜色に近いロゼ・ワインを注文してみる、あるいは大聖堂やレンガの家々をバックに桜を入れて写真撮影・・・など、一味違うイギリスならではの「花見」を見つけてみるのはいかがですか?
INFORMATION
キュー・ガーデン(Royal Botanic Gardens, Kew)
清水 晶子晶子
清水auther08@a-concept.co.ukAuthorロンドン在住ジャーナリスト。東京都出身。出版社勤務の後独立。英国/ヨーロッパ文化についての原稿を雑誌、ウェブマガジン、書籍用に執筆。著書に「ロンドンの小さな博物館」(集英社新書)、「ロンドン近未来都市デザイン」(東京書籍)、「英国ヘンな旅先案内」(平凡社)など。
ミュージアム・インスタグラムLiving in Europe