
【フランス】芸術と生活文化が息づく南仏の古都、エクス・アン・プロヴァンス
南仏の陽光に包まれた古都、エクス・アン・プロヴァンス(Aix-en-Provence)。ローマ時代に温泉都市として築かれたこの街には、やわらかな光と石造りの建物が織りなす空気が漂います。旧市街にはあちらこちらに噴水があり、石畳の路地を曲がるたびに小さな広場が現れ、思わず足を止めたくなります。

プラタナス並木の先に広がるロトンドの大噴水。街の象徴として静かに水を湛えている © GarniersL Bluemax
エクス・アン・プロヴァンスのメインストリートといえば、17〜18世紀に建てられた貴族の館が並ぶミラボー通り(La Cours Mirabeau)。街の中心を貫くこの通りはパリに次いで旧貴族の館が多いといわれ、優美なファサードが往時の繁栄を伝えます。
プラタナスの並木の下では、人々がテラス席で思い思いにコーヒーやロゼワインを楽しみます。ここは学生の街でもあり、生活のリズムが自然に息づいています。

エクス・アン・プロヴァンスの街並み Photo by Sofiia Asmi(左)、© Thomas Luppo(右)
朝はマルシェへ。リシュルム広場(Place Richelme)の常設市をはじめとする朝市では、農家直送の野菜やフルーツ、ハーブにチーズ、オリーブやハチミツなどの食材の他にも、色とりどりの花やプロヴァンス柄の布製品、マルセイユ石鹸などのスタンドが所狭しと並びます。

ハーブやラベンダーなどの屋台も軒を連ね、南仏らしい色彩と香りに包まれる © Sophie Spiteri
郷土菓子「カリソン(Calissons)」を見かけたらぜひ味わってみましょう。アーモンドと砂糖漬けのメロンを練り、アイシングで仕上げたカリソンの上品な甘さは、お土産にもよさそうです。

菱形の郷土菓子カリソンは、15世紀以来、祝祭の席には欠かせない © Calissons du Roi René
エクス・アン・プロヴァンスは、ポール・セザンヌの生まれ故郷でもあります。市内には15カ所に及ぶ、セザンヌゆかりの地を巡るルートが整備され、彼の見つめた風景を辿ることができます。
市街東側に広がるサント=ヴィクトワール山(Montagne Sainte-Victoire)は、石灰岩の山肌が強い陽光を受け、刻々と色を変える姿が印象的。セザンヌが繰り返し描いたことでも知られています。

セザンヌが描いた『サント=ヴィクトワール山』の一つ
夏季の約1カ月にわたって開催され、世界中から観客が集う世界屈指のオペラの祭典「エクス・アン・プロヴァンス音楽祭(Festival d’Aix-en-Provence)」。劇場や市庁舎の中庭、カテドラルがオペラの舞台へと姿を変え、街全体が音楽に包まれます。(2026年は7月2日〜21日開催予定)

世界水準のオペラが上演される「エクス・アン・プロヴァンス音楽祭」 © TBC
エクス・アン・プロヴァンスを拠点にして、さらに旅を広げることもできます。列車やバスで40分ほどに位置する港町マルセイユ(Marseille)で濃厚なブイヤベースを味わったり、もう少し足を伸ばして、白い断崖とエメラルド色の海で知られるカッシ(Cassis)や、野生の馬やフラミンゴに出会える湿地帯カマルグ(Camargue)へ出掛けるのもいいでしょう。

Photo by JD Designs on Unsplash
眩しい陽光、澄んだ水、豊かな文化と食と自然。滞在するほどに、街の表情が深まるエクス・アン・プロヴァンスです。
2025年の『エクス・アン・プロヴァンス音楽祭』の様子とチケットの購入はこちらから
投稿者プロフィール

- パリ在住のフリーランス・ライター
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食と映画を中心にライフスタイルにまつわる取材や執筆を行う。
著書『映画の声を聴かせて フランス・ヨーロッパ映画人インタビュー』森話社
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