イギリス当局は、エムポックス(MPOX)ウイルス(旧名:サル痘ウイルス)が検知されないまま拡散している可能性があるとし、ヨーロッパと米国で致死率の高いMPOXの増加に対し警鐘を鳴らしました。

英国保健安全保障庁(UKHSA)が、スペイン、イタリア、オランダ、ポルトガル、米国で少数の症例を確認したところ、いずれも「系統1b変異株(clade 1b mutation)」の感染が知られている国との関連がないことから、発疹を引き起こすこのウイルスが気付かれずに世界に広がっている可能性があることを懸念しています。

2022年に「クレードII(clade II)」と呼ばれる比較的軽度なMPOXの系統が、特に男性間での性行為を通じて複数の国で急速に広がり始めましたが、この疾患に対する意識の高まりと天然痘ワクチン(天然痘とMPOXのウイルスは密接に関連している)接種プログラムの急速な実施により、新規感染者数は徐々に減少しました。

感染経路 www.freepik.com

英国保健福祉省(UKHSA)の性感染症部門責任者であるケイティ・シンカ医師は、ワクチン接種を改めて強く推奨しています。

「天然痘は多くの人にとっては軽症で済みますが、稀に重症化することもあります。ワクチン接種を受けることが、重症化を防ぐ効果的な方法であることは立証済みなので、接種資格のある方は必ず接種を受けてください。病気のリスクに日頃から注意を払うことが大切です。もしも感染している可能性があると感じたら各国の医療機関に連絡し、アドバイスを受けましょう。」

テレンス・ヒギンズ・トラストの最高経営責任者リチャード・エンジェル氏は、「軽度とされてはいるものの、顔や体、デリケートな部分を含む全身にMPOXの発疹が出た経験のある人なら、それがいかに痛くて不快なものであるかを認識しています。イギリスでは政府資金によるワクチン接種プログラムが用意されているので、複数のパートナーがいたり性的パーティーに参加、あるいは性行為を行う場所を訪れる男性には接種を強くお勧めします。」

2024年に出現した系統1bは、主に中央アフリカを席巻し、発生以来数万人が感染しています。しかし、質の高い医療へのアクセスが可能な先進国では、中央アフリカでの致死率が再現される可能性は低いと専門家は見ています。

Photo by CDC on Unsplash

2024年10月以降、系統1bの症例は、イギリスで16件報告されている他、スペインでは2025年10月初めに国内初の感染例が。さらにイタリア、ポルトガル、オランダの男性4名が欧州疾病予防管理センター(ECDC)に報告されました。幸運なことに、5名とも軽症であったことがわかっています。

これらの症例には渡航歴がなかったことから、今までとは感染経路のパターンが異なるとし、EU/EEA諸国の複数の国で、男性同士の性行為を行うネットワークにおいて感染が発生している可能性があることが示唆されています。

2024年に系統1bの症例が急増したことを受け、世界保健機関(WHO)は、中央アフリカの複数の国で進行中のMPOXの流行を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言しました。これは、2020年1月下旬にWHOがCOVID-19に与えたのと同じ指定です。

気をつけるべき症状 www.freepik.com

MPOXの症状は、特徴的な腫瘤状の病変に加え、発熱、疼痛、倦怠感などですが、ごく少数ではあるものの、血液や肺、さらには体の他の部位に侵入し、生命を脅かす状態になることもあったようです。現在のワクチンは、より強力な系統1bに対する広範な試験はまだ行われていませんが、天然痘の近縁種であるMPOXウイルスに有効とされ、ワクチンによる予防効果が期待されています(UKHSA)。

効果的な予防法 www.freepik.com

WHOは、ウイルス感染者との接触後4日以内(無症状の場合は最大14日以内)にワクチン接種を受けることを推奨しています。直接的な治療法はなく、医師たちは患者の体がウイルスと戦えるようサポートすることに重点を置いているということです。

参考資料:ECDC
Daily Mail

https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/11/07_2511-top.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/11/07_2511-top-150x150.jpgLiE 編集部イギリス当局は、エムポックス(MPOX)ウイルス(旧名:サル痘ウイルス)が検知されないまま拡散している可能性があるとし、ヨーロッパと米国で致死率の高いMPOXの増加に対し警鐘を鳴らしました。 英国保健安全保障庁(UKHSA)が、スペイン、イタリア、オランダ、ポルトガル、米国で少数の症例を確認したところ、いずれも「系統1b変異株(clade 1b mutation)」の感染が知られている国との関連がないことから、発疹を引き起こすこのウイルスが気付かれずに世界に広がっている可能性があることを懸念しています。 2022年に「クレードII(clade II)」と呼ばれる比較的軽度なMPOXの系統が、特に男性間での性行為を通じて複数の国で急速に広がり始めましたが、この疾患に対する意識の高まりと天然痘ワクチン(天然痘とMPOXのウイルスは密接に関連している)接種プログラムの急速な実施により、新規感染者数は徐々に減少しました。 感染経路 www.freepik.com 英国保健福祉省(UKHSA)の性感染症部門責任者であるケイティ・シンカ医師は、ワクチン接種を改めて強く推奨しています。 「天然痘は多くの人にとっては軽症で済みますが、稀に重症化することもあります。ワクチン接種を受けることが、重症化を防ぐ効果的な方法であることは立証済みなので、接種資格のある方は必ず接種を受けてください。病気のリスクに日頃から注意を払うことが大切です。もしも感染している可能性があると感じたら各国の医療機関に連絡し、アドバイスを受けましょう。」 テレンス・ヒギンズ・トラストの最高経営責任者リチャード・エンジェル氏は、「軽度とされてはいるものの、顔や体、デリケートな部分を含む全身にMPOXの発疹が出た経験のある人なら、それがいかに痛くて不快なものであるかを認識しています。イギリスでは政府資金によるワクチン接種プログラムが用意されているので、複数のパートナーがいたり性的パーティーに参加、あるいは性行為を行う場所を訪れる男性には接種を強くお勧めします。」 2024年に出現した系統1bは、主に中央アフリカを席巻し、発生以来数万人が感染しています。しかし、質の高い医療へのアクセスが可能な先進国では、中央アフリカでの致死率が再現される可能性は低いと専門家は見ています。 Photo by CDC on Unsplash 2024年10月以降、系統1bの症例は、イギリスで16件報告されている他、スペインでは2025年10月初めに国内初の感染例が。さらにイタリア、ポルトガル、オランダの男性4名が欧州疾病予防管理センター(ECDC)に報告されました。幸運なことに、5名とも軽症であったことがわかっています。 これらの症例には渡航歴がなかったことから、今までとは感染経路のパターンが異なるとし、EU/EEA諸国の複数の国で、男性同士の性行為を行うネットワークにおいて感染が発生している可能性があることが示唆されています。 2024年に系統1bの症例が急増したことを受け、世界保健機関(WHO)は、中央アフリカの複数の国で進行中のMPOXの流行を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言しました。これは、2020年1月下旬にWHOがCOVID-19に与えたのと同じ指定です。 気をつけるべき症状 www.freepik.com MPOXの症状は、特徴的な腫瘤状の病変に加え、発熱、疼痛、倦怠感などですが、ごく少数ではあるものの、血液や肺、さらには体の他の部位に侵入し、生命を脅かす状態になることもあったようです。現在のワクチンは、より強力な系統1bに対する広範な試験はまだ行われていませんが、天然痘の近縁種であるMPOXウイルスに有効とされ、ワクチンによる予防効果が期待されています(UKHSA)。 効果的な予防法 www.freepik.com WHOは、ウイルス感染者との接触後4日以内(無症状の場合は最大14日以内)にワクチン接種を受けることを推奨しています。直接的な治療法はなく、医師たちは患者の体がウイルスと戦えるようサポートすることに重点を置いているということです。 参考資料:ECDC Daily Mail