Vol.17 体の異常を検知するトイレ
健康上の不安があると、最初に頼るのはかかりつけ医という人がほとんどでしょう。しかし、もしもトイレに行くだけで健康状態を瞬時にチェックできるとしたらどうでしょうか?今回は、これが現実のものとなる日はそう遠くないという話題を。
実際、すでに「スマートトイレ」と呼ばれるさまざまな製品が開発されており、心拍数や血中酸素濃度、血便の確認までが、自宅にいながらにして測定できるようになっています。中には、尿のパターンをモニタリングすることで、前立腺肥大を示唆する兆候を検出するものもあるということです。
スマートトイレ開発の狙いは、症状が現れるのを待つのではなく、毎日のトイレの習慣を「早期警戒システム」として活用し、深刻な問題に発展する前に、対処が必要とする兆候を捉えることにあります。

最近開発されたスマートトイレの一つが、心房細動を検知するハイテク便座。心房細動は心拍のリズムが乱れる不整脈の一種で、脳卒中の主要な原因とされています。心房細動は症状が出たり消えたりすることが多いため、脳卒中を起こすまで発見されない危険な疾患といえるでしょう。スマート・トイレが、困難な診断の代替手段となることに期待が寄せられています。
歴史あるドイツの医療機器メーカー「Hamberger Medical社」が開発したコンピュータ制御の便座には、4つの電極が組み込まれています。便座に座ると30秒間心臓の活動を記録、その結果をスマートフォン用アプリに送信します。最近の臨床試験において、こうして得られた不整脈の検出能力が胸部に電極を装着する従来の病院用心電計と同等であることが示されました。この研究結果はまだ査読付き(専門家による審査が行われた論文)学術誌には発表されていませんが、ドイツ国内ではすでに販売が開始されています。同様の技術はすでにスマートウォッチに搭載されていますが、ウォッチは手首の上で動いてしまうため、皮膚との接触状態が最適とはいえず、データの解析に適さないことも多いという課題があります。

ニューヨークを拠点とするヘルスケア・テクノロジー企業「Casana社」も、心電図測定機能を備えた便座を開発しました。同社の製品には、光電容積脈波(PPG)測定を行うセンサーも搭載され、皮膚に光を照射することで心拍数や血中酸素濃度を測定します。この技術は、肺の損傷により酸素濃度が低下しやすく、定期的なモニタリングが必要とされる慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺がんなどの重篤な疾患を抱える患者にとって有益であると期待されています。

血中酸素濃度を測定するために多くの人が利用している、人差し指に装着するパルスオキシメーターですが、座るたびに自動的に測定してくれるスマートトイレが普及すれば、数値の変化をより早く察知してくれるでしょう。
テクノロジー企業の間では、便器に取り付ける機器を使ってトイレを健康管理システムへと発展させる動きも見られます。テキサス州に拠点を置く「Throne Science社」もそのような企業の一つで、排泄物が便器に落ちる際にそのすべてを分析するカメラを開発。便の色、硬さ、量を調べ、特に血液の混入がないかを確認するほか、尿の色や濃度を記録したり、内蔵マイクで排尿時の音を分析したりもします。男性の場合は、前立腺の健康状態を知り、前立腺肥大症の兆候を察知できることが期待されています。

Image by Vilius Kukanauskas from Pixabay
一方、家電メーカーの「Withings」は、便器の縁に取り付けて使用する尿分析デバイスを開発しました。排尿のたびに尿サンプルがカートリッジに採取され、内蔵センサーが水分量、酸性度、ケトン体(体が脂肪を分解する際に生成される酸性物質)を分析します。糖尿病患者にとっては、ケトン体値を知ることは大変有用です。腎臓の健康を積極的に守るための強力なサポートにもなり得るでしょう。
イギリスのNHSトラストの結腸直腸外科医であり、慈善団体「Bowel Research UK」の広報担当も務めるジェームズ・キンロス博士は、将来的に、スマートトイレが大腸がんなどの疾患の検査に役立つ可能性があると述べました。

気をつけないとならないこともあります。健康に関するデータを継続的に取得できるということは、無害な変動を絶えず指摘されることにも繋がり、かえって不要な不安を招く恐れがあるかもしれません。正しく使って、正しく体を気遣うことが大事。これらのスマートガジェットは絶対ではなく、今はまだ、あくまでも健康維持のサポートとして使うべきでしょう。
まずはウォシュレットが普及してくれたらいいのに・・・と思う在欧日本人の人は多いかもしれませんね。
参照ウェブサイト:Daily Mail Health、One Planet Resarch Center、Forbes
https://living-in-eu.com/health/202609_vol17_smart-loohttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/09/17_2609_smart-loo_00.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/09/17_2609_smart-loo_00-150x150.jpg健康上の不安があると、最初に頼るのはかかりつけ医という人がほとんどでしょう。しかし、もしもトイレに行くだけで健康状態を瞬時にチェックできるとしたらどうでしょうか?今回は、これが現実のものとなる日はそう遠くないという話題を。 実際、すでに「スマートトイレ」と呼ばれるさまざまな製品が開発されており、心拍数や血中酸素濃度、血便の確認までが、自宅にいながらにして測定できるようになっています。中には、尿のパターンをモニタリングすることで、前立腺肥大を示唆する兆候を検出するものもあるということです。 スマートトイレ開発の狙いは、症状が現れるのを待つのではなく、毎日のトイレの習慣を「早期警戒システム」として活用し、深刻な問題に発展する前に、対処が必要とする兆候を捉えることにあります。 Image by Alexa from Pixabay 最近開発されたスマートトイレの一つが、心房細動を検知するハイテク便座。心房細動は心拍のリズムが乱れる不整脈の一種で、脳卒中の主要な原因とされています。心房細動は症状が出たり消えたりすることが多いため、脳卒中を起こすまで発見されない危険な疾患といえるでしょう。スマート・トイレが、困難な診断の代替手段となることに期待が寄せられています。 歴史あるドイツの医療機器メーカー「Hamberger Medical社」が開発したコンピュータ制御の便座には、4つの電極が組み込まれています。便座に座ると30秒間心臓の活動を記録、その結果をスマートフォン用アプリに送信します。最近の臨床試験において、こうして得られた不整脈の検出能力が胸部に電極を装着する従来の病院用心電計と同等であることが示されました。この研究結果はまだ査読付き(専門家による審査が行われた論文)学術誌には発表されていませんが、ドイツ国内ではすでに販売が開始されています。同様の技術はすでにスマートウォッチに搭載されていますが、ウォッチは手首の上で動いてしまうため、皮膚との接触状態が最適とはいえず、データの解析に適さないことも多いという課題があります。 ニューヨークを拠点とするヘルスケア・テクノロジー企業「Casana社」も、心電図測定機能を備えた便座を開発しました。同社の製品には、光電容積脈波(PPG)測定を行うセンサーも搭載され、皮膚に光を照射することで心拍数や血中酸素濃度を測定します。この技術は、肺の損傷により酸素濃度が低下しやすく、定期的なモニタリングが必要とされる慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺がんなどの重篤な疾患を抱える患者にとって有益であると期待されています。 血中酸素濃度を測定するために多くの人が利用している、人差し指に装着するパルスオキシメーターですが、座るたびに自動的に測定してくれるスマートトイレが普及すれば、数値の変化をより早く察知してくれるでしょう。 テクノロジー企業の間では、便器に取り付ける機器を使ってトイレを健康管理システムへと発展させる動きも見られます。テキサス州に拠点を置く「Throne Science社」もそのような企業の一つで、排泄物が便器に落ちる際にそのすべてを分析するカメラを開発。便の色、硬さ、量を調べ、特に血液の混入がないかを確認するほか、尿の色や濃度を記録したり、内蔵マイクで排尿時の音を分析したりもします。男性の場合は、前立腺の健康状態を知り、前立腺肥大症の兆候を察知できることが期待されています。 Image by Vilius Kukanauskas from Pixabay 一方、家電メーカーの「Withings」は、便器の縁に取り付けて使用する尿分析デバイスを開発しました。排尿のたびに尿サンプルがカートリッジに採取され、内蔵センサーが水分量、酸性度、ケトン体(体が脂肪を分解する際に生成される酸性物質)を分析します。糖尿病患者にとっては、ケトン体値を知ることは大変有用です。腎臓の健康を積極的に守るための強力なサポートにもなり得るでしょう。 イギリスのNHSトラストの結腸直腸外科医であり、慈善団体「Bowel Research UK」の広報担当も務めるジェームズ・キンロス博士は、将来的に、スマートトイレが大腸がんなどの疾患の検査に役立つ可能性があると述べました。 気をつけないとならないこともあります。健康に関するデータを継続的に取得できるということは、無害な変動を絶えず指摘されることにも繋がり、かえって不要な不安を招く恐れがあるかもしれません。正しく使って、正しく体を気遣うことが大事。これらのスマートガジェットは絶対ではなく、今はまだ、あくまでも健康維持のサポートとして使うべきでしょう。 まずはウォシュレットが普及してくれたらいいのに・・・と思う在欧日本人の人は多いかもしれませんね。 参照ウェブサイト:Daily Mail Health、One Planet Resarch Center、ForbesLiE 編集部LiE 編集部 toyo@a-concept.co.ukAdministrator欧州移住の正解が見つかる | Living in Europe - 住まい・教育・医療の総合ポータル


