現在は、ヴァチカン市国にあるシスティーナ礼拝堂で行われる教皇選挙ですが、ローマが混乱に包まれていた1257年から1281年の間、教皇庁は一時的にヴィテルボに移され、「パラッツォ・デイ・パーピ(Palazzo dei Papi)」を拠点としていました。その期間中の1268年に、世界で初めての教皇選挙がこの地で行われました。枢機卿たちは次の法王が選出されるまで選挙を続けるのですが、この初回選挙は2年9カ月も続いたそうで、怒った市民たちが部屋に鍵をかけ、枢機卿たちは決まるまで外部と遮断されて投票を繰り返すシステムができたのだとか。
パラッツォ・デイ・パーピは、教皇クレメンス 4 世自身の教皇時代の1257年に建てられたゴシック建築の建造物で、教皇選挙が行われた「コンクラーベ(教皇選挙)の部屋」や、その部屋から出てきた教皇が挨拶をしたといわれる回廊「祝福のロッジャ(Loggia delle Benedizioni)」などが見どころです。
それに隣接するのが、ヴィテルボのドゥオモ、「サン・ロレンツォ大聖堂(Cattedrale di San Lorenzo)」。ヴィテルボは、古くはエトルリア文明の中心地でしたが、この大聖堂はエトルリアのヘラクレス神殿跡地に建てられたといわれています。12世紀に建てられた教会は、ロマネスク様式に新築され、その後、16世紀にはルネサンス様式に改修されました。
ヴィテルボは中世の街並みや城壁がイタリア国内でも中世以来の状態をもっともよく保っている街の一つと言われますが、これらがあるサン・ペッレグリーノ地区(San Pellegrino Terme)と呼ばれる旧市街中心部は、歴史を物語るような路地や、アーチ、塔の家々が迷路のように広がっています。この地区の中心には「サン・ペッレグリーノ広場(Piazza San Pellegrino)」があり、貴族の館「アレッサンドリ宮殿(Palazzo degli Alessandri)」や「サン・ペッレグリーノ教会(Chiesa di San Pellegrino)」が立ち並んでいます。
さらに、ヴィテルボの守護聖人である聖ローザを祀った教会「サンタ・ローザ聖堂(Santuario di Santa Rosa)」もあります。ここには、数々の奇跡を起こし、死後も朽ちなかった聖ローザのご遺体が祀られています。また、聖ローザの祝日である9月4日の前日3日の夜には、「マッキナ・ディ・サンタ・ローザ(La Macchina di Santa Rosa)」と呼ばれる、高さ30メートル近い山車を市民が担ぎ、街を練り歩くお祭りも開催されます。