画面/スクリーンは私たちの日常生活から切り離せない存在となっています。パソコンでメールのやり取りをしたり、動画サイトで脳を衰弱(ドゥームスクロール*)させたりと、平均的な成人は今や1日6時間以上、つまり起きている時間のほぼ3分の1は何らかの画面を見ています。

*ドゥームスクロール(Doomscrolling)とは、悲観的なニュースや不確かな情報に過度に意識が向かい、スクロールを止められなくなること。状況把握の欲求と不安が同時に高まり、重要な情報とそうでない情報の区別がつかなくなり、混乱や疲労感が増すこと。

リモートワークやハイブリッドワークが進んでいることで、この傾向はさらに強まっています。ZoomミーティングやTeamsチャットが仕事における新たな常識となり、私たちの目は休む暇がありません。

画面に張り付くことでもっとも大きな問題は、目の筋肉への負担。デジタル画面を間近で見るとき、目はその短い距離に焦点を合わせるために眼筋(特に目の中の毛様体筋)を使います。加齢とともにこれらの筋肉がうまく機能しなくなる世代は、筋肉を継続的に使用するとひどく疲労してしまいます。(アングリア・ラスキン大学視覚・眼科研究所所長を務めるパーダン氏)

Image by LolaSandoval1 from Pixabay

眼筋の疲労は健康に深刻な影響を与える可能性があります。ドライアイ、目のかゆみ、頭痛、かすみ目、疲労感などは、コンピュータービジョン症候群(Computer Vision Syndrome/CVS)、あるいはデジタル眼精疲労と呼ばれ、現代人の多くが悩まされています。

目を休ませ、長期的に視力を守るための科学的根拠に基づく5つのヒントをご紹介します。

1. 「20-20-20ルール」の実践

CVSを軽減するために最も広く推奨されている方法の一つが、「米国検眼協会(American Optometric Association/AOA)が提唱する20-20-20ルール。これは、20分ごとに20フィート(約6メートル)離れたものを少なくとも20秒間見るというものです。6メートル程度離れたものを見ることで目の筋肉がリラックスし、慢性眼精疲労患者のドライアイ症状にはかなりの効果があることがわかっています。しかし、涙液層の安定性(目の潤いとクリアな視界を保つ)に関しては、現在のところ結果が分かれています。

2. 作業環境と画面の位置の最適化

作業環境(特に画面の配置)は、目の健康に大きな影響を与えます。照明、画面の角度、反射グレア(Glare by Reflection)などは、CVSの最大の原因とされています。前出のパーダン氏によれば、スマホであれパソコンあれ、非常に重要なのは画面を目の高さに保つこと。画面を見下ろす角度で頭を下に傾けると首に大きな負担がかかり、背骨や肩への負担が増大します。また、天井照明や窓から差し込む日差しが画面に反射すると、目の負担が大きくなるだけでなく、不快感を引き起こす可能性もあります。グレアを軽減するには、反射防止スクリーンフィルターを使用するか、部屋の照明がソフトかつ間接的になるよう調整しましょう。窓のそばで作業する場合は、画面が窓の前や真後ろにならないよう配置してください。

Image by Hello Cdd20 from Pixabay

3. 意識的にまばたきの回数を増やす

まばたきをすることで涙を角膜全体に行き渡らせて目を潤します。しかし画面に釘付けになっていると、まばたきの回数が最大66%も減少し、ドライアイのリスクが高まります。ある研究によれば、人は1分間に平均15~20回まばたきをするのに対し、パソコンで作業している最中はこの回数が4~6回と大幅に減少したそうです。これを避けるために、画面や部屋のあちこちに「まばたきを忘れずに!」という注意書きや、目を休めるように促す視覚的なサインを貼ってみるのはいかがでしょう。

周囲の環境にも気を配りましょう。例えば、セントラルヒーティングやエアコンの使用で乾燥している空間では、適度に保湿することも効果的です。加湿器の使用はもちろんのこと、水を入れたボウルや花瓶を置くだけでも乾燥が軽減します。

Photo by ANTONI SHKRABA

4. ブルーライトフィルターを使用する

LED画面から放出される高エネルギーの可視光線であるブルーライトが睡眠を妨げることはよく知られていますが、400~470ナノメートルのブルーライトに長時間さらされると、網膜にストレスや損傷を与え、目の不快感のリスクを高めるということはご存知でしょうか。(特に暗い環境で)非常に明るい画面を見ていると目に負担がかかります。画面のまぶしさによって瞳孔が収縮し、暗い場所で目が自然に必要とする状態とは逆のことが起こってしまうのです。

幸いなことに、最近ではほとんどのデバイスにナイトモードやブルーライトフィルターの設定機能が搭載されています。これらを有効にすることで暗い場所でのブルーライトへの曝露を軽減でき、夜間にはブルーライトカットメガネを着用すれば、さらなる保護効果が得られます。ただし、ブルーライトフィルターは万能ではなく、その効果には限界があります。研究によれば、加齢黄斑変性症(Age-related Macular Degeneration/AMD)などの深刻な眼疾患を予防する効果はないことが示されています。

Image by Susanne Stöckli from Pixabay

5. デバイスの使用をもっと意識的に

パソコンを使う仕事や勉強が終わっても、休憩時間にはまたスマホの画面をスクロールしたり、見逃していた番組を一気に見てしまう人も多いでしょう。このようなちょっとした余暇の時間は、知らない間に長時間へと積み重なるものです。仕事や勉強の時間外はスクリーンタイムを減らし、目に十分な休息を与えるようにしましょう。

その第一歩として、アプリやウェブサイトに費やしている時間を追跡するツールを使ってみるのも一案です。また、スクリーンタイムを減らすためのアプリもあります。例えば、スマホを触らずに過ごすことができれば植えた木が成長していくという「Forest」。ついついスクロールし始めると木は枯れてしまいます。不思議なほどモチベーションが上がるアプリとの評価も高いようです。

他にも、ソーシャルメディアアプリを開く前に1秒の遅延を追加する「OneSec」を使うという方法があります。OneSecはアプリの起動時に1秒間深呼吸をする機会を与えてくれます。これは脳に「本当に今すぐこれを開きたいのだろうか?」と尋ねるのに十分で、アプリの魅力を削ぐ大きな助けとなります。

参考記事:Euro News / Health News

https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/10/05_2509_top.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/10/05_2509_top-150x150.jpgLiE 編集部画面/スクリーンは私たちの日常生活から切り離せない存在となっています。パソコンでメールのやり取りをしたり、動画サイトで脳を衰弱(ドゥームスクロール*)させたりと、平均的な成人は今や1日6時間以上、つまり起きている時間のほぼ3分の1は何らかの画面を見ています。 *ドゥームスクロール(Doomscrolling)とは、悲観的なニュースや不確かな情報に過度に意識が向かい、スクロールを止められなくなること。状況把握の欲求と不安が同時に高まり、重要な情報とそうでない情報の区別がつかなくなり、混乱や疲労感が増すこと。 リモートワークやハイブリッドワークが進んでいることで、この傾向はさらに強まっています。ZoomミーティングやTeamsチャットが仕事における新たな常識となり、私たちの目は休む暇がありません。 画面に張り付くことでもっとも大きな問題は、目の筋肉への負担。デジタル画面を間近で見るとき、目はその短い距離に焦点を合わせるために眼筋(特に目の中の毛様体筋)を使います。加齢とともにこれらの筋肉がうまく機能しなくなる世代は、筋肉を継続的に使用するとひどく疲労してしまいます。(アングリア・ラスキン大学視覚・眼科研究所所長を務めるパーダン氏) Image by LolaSandoval1 from Pixabay 眼筋の疲労は健康に深刻な影響を与える可能性があります。ドライアイ、目のかゆみ、頭痛、かすみ目、疲労感などは、コンピュータービジョン症候群(Computer Vision Syndrome/CVS)、あるいはデジタル眼精疲労と呼ばれ、現代人の多くが悩まされています。 目を休ませ、長期的に視力を守るための科学的根拠に基づく5つのヒントをご紹介します。 1. 「20-20-20ルール」の実践 CVSを軽減するために最も広く推奨されている方法の一つが、「米国検眼協会(American Optometric Association/AOA)が提唱する20-20-20ルール。これは、20分ごとに20フィート(約6メートル)離れたものを少なくとも20秒間見るというものです。6メートル程度離れたものを見ることで目の筋肉がリラックスし、慢性眼精疲労患者のドライアイ症状にはかなりの効果があることがわかっています。しかし、涙液層の安定性(目の潤いとクリアな視界を保つ)に関しては、現在のところ結果が分かれています。 2. 作業環境と画面の位置の最適化 作業環境(特に画面の配置)は、目の健康に大きな影響を与えます。照明、画面の角度、反射グレア(Glare by Reflection)などは、CVSの最大の原因とされています。前出のパーダン氏によれば、スマホであれパソコンあれ、非常に重要なのは画面を目の高さに保つこと。画面を見下ろす角度で頭を下に傾けると首に大きな負担がかかり、背骨や肩への負担が増大します。また、天井照明や窓から差し込む日差しが画面に反射すると、目の負担が大きくなるだけでなく、不快感を引き起こす可能性もあります。グレアを軽減するには、反射防止スクリーンフィルターを使用するか、部屋の照明がソフトかつ間接的になるよう調整しましょう。窓のそばで作業する場合は、画面が窓の前や真後ろにならないよう配置してください。 Image by Hello Cdd20 from Pixabay 3. 意識的にまばたきの回数を増やす まばたきをすることで涙を角膜全体に行き渡らせて目を潤します。しかし画面に釘付けになっていると、まばたきの回数が最大66%も減少し、ドライアイのリスクが高まります。ある研究によれば、人は1分間に平均15~20回まばたきをするのに対し、パソコンで作業している最中はこの回数が4~6回と大幅に減少したそうです。これを避けるために、画面や部屋のあちこちに「まばたきを忘れずに!」という注意書きや、目を休めるように促す視覚的なサインを貼ってみるのはいかがでしょう。 周囲の環境にも気を配りましょう。例えば、セントラルヒーティングやエアコンの使用で乾燥している空間では、適度に保湿することも効果的です。加湿器の使用はもちろんのこと、水を入れたボウルや花瓶を置くだけでも乾燥が軽減します。 Photo by ANTONI SHKRABA 4. ブルーライトフィルターを使用する LED画面から放出される高エネルギーの可視光線であるブルーライトが睡眠を妨げることはよく知られていますが、400~470ナノメートルのブルーライトに長時間さらされると、網膜にストレスや損傷を与え、目の不快感のリスクを高めるということはご存知でしょうか。(特に暗い環境で)非常に明るい画面を見ていると目に負担がかかります。画面のまぶしさによって瞳孔が収縮し、暗い場所で目が自然に必要とする状態とは逆のことが起こってしまうのです。 幸いなことに、最近ではほとんどのデバイスにナイトモードやブルーライトフィルターの設定機能が搭載されています。これらを有効にすることで暗い場所でのブルーライトへの曝露を軽減でき、夜間にはブルーライトカットメガネを着用すれば、さらなる保護効果が得られます。ただし、ブルーライトフィルターは万能ではなく、その効果には限界があります。研究によれば、加齢黄斑変性症(Age-related Macular Degeneration/AMD)などの深刻な眼疾患を予防する効果はないことが示されています。 Image by Susanne Stöckli from Pixabay 5. デバイスの使用をもっと意識的に パソコンを使う仕事や勉強が終わっても、休憩時間にはまたスマホの画面をスクロールしたり、見逃していた番組を一気に見てしまう人も多いでしょう。このようなちょっとした余暇の時間は、知らない間に長時間へと積み重なるものです。仕事や勉強の時間外はスクリーンタイムを減らし、目に十分な休息を与えるようにしましょう。 その第一歩として、アプリやウェブサイトに費やしている時間を追跡するツールを使ってみるのも一案です。また、スクリーンタイムを減らすためのアプリもあります。例えば、スマホを触らずに過ごすことができれば植えた木が成長していくという「Forest」。ついついスクロールし始めると木は枯れてしまいます。不思議なほどモチベーションが上がるアプリとの評価も高いようです。 他にも、ソーシャルメディアアプリを開く前に1秒の遅延を追加する「OneSec」を使うという方法があります。OneSecはアプリの起動時に1秒間深呼吸をする機会を与えてくれます。これは脳に「本当に今すぐこれを開きたいのだろうか?」と尋ねるのに十分で、アプリの魅力を削ぐ大きな助けとなります。 参考記事:Euro News / Health News