新しい年が明け、あっという間に2月となり、少しずつ日中の時間が長くなっているのを感じるようになると、ヨーロッパでは次の旅行先はどこにしようとむずむずしてくる人が増えてくるようです。イギリスの著名なトラベルライターであるベン・パーカー氏が、2025年末に「2026年の休暇スタイル」について、トレンドセッターや旅行業界の重鎮たちの言葉に耳を傾け調査をした上で予想を立てていたので、抜粋してご紹介します。

ラコンツーリズム

あまり聞きなれないラコンツーリズムという言葉。「raconteur(語り手)」と「tourism(観光)」を掛け合わせた造語ですが、2026年には急激に成長するとみられています。17〜18世紀の裕福層がそうしたように、旅行から戻ったら「いかにユニークで素晴らしい体験をしたか」を吹聴できることがポイントなのだとか。他の人と似たり寄ったりの旅ではダメということですね。

Z世代とミレニアル世代が牽引する「マイクロリタイアメント」

Image by Dimitris Vetsikas from Pixabay

2025年版ワード・オブ・ザ・イヤーにもノミネートされた新語「マイクロリタイアメント」。キャリア半ばで、短期間休みをとって旅に出ることを意味し、このライフスタイルは今年1年でさらに人気が高まると予想されます。引退後の生活に不安を抱え、燃え尽き症候群の概念を強く意識しているZ世代とミレニアル世代は、体力があるうちにサバティカル休暇を取って、夢の旅行を前倒しで実現させることを望んでいるようです。

ウェルネスウェーブ

認知機能の健康はますます重要になってきており、「何もしないでただのんびりする」リラクゼーションはもう古いのでしょうか?2026年のウェルネスとは、脳波の状態を意識した休暇、すなわち「ニューロサーフィン(neurosurfing)」に進化しているとのこと。いくつかのホテルではすでに、ヨガ、瞑想、バイオハック(脳トレゲームなど)を組み合わせた、特定のリラクゼーション脳波を誘発する体験を提供しています。シナプスに直接刺激を与える必要がある場合、単純なマッサージだけではもはや十分ではないようです。

静寂の音

日常の雑音から解放される甘美な静寂「ハッシュピタリティ(hush-pitality)」。大手チェーンホテルの一つであるヒルトンが提供しています。「ホスピタリティ(hospitality)」をもじった名称で、別名「クワイエット – ケーション(quiet-cation)」とも呼ばれます。およそ5人に1人が旅に静かさを求め、4割近くは自然の音だけが聞こえるナチュラルワールドに身を置きたいと考えているようです。

繋がりを求める女性限定の旅行

女性限定旅行への関心が、2024年から比べると30%近く増加しているとのこと。多くの場合、女性限定旅行は目的意識を持った巡礼へと進化しており、表面的な姉妹関係を築くのではなく、女性の文化的アイデンティティを称えるなどの体験が求められているようです。

一方、男性は・・・?

女性が旅で人との繋がりを求めるのとは正反対に、一人旅で逃避行動をしたいと考える男性が増加しています。旅行検索サイトSkyscannerによると、「一人旅」フィルターを使った予約は2024年から比べて、なんと83%も増加したとのこと。

スーパーマーケットを制覇

旅行先では少し贅沢して、普段は行かれないようなミシュラン星を持つレストランに行ってみようか・・・というのはもうはやらない?グルメツーリズムは、なんと、スーパーマーケットにシフトしているそうです。「地元民のように食事する」トレンドはすでに始まっており、海外旅行先のスーパーを訪れる人の数はうなぎのぼり。そういえば、日本の「抹茶キットカット」も人気ですね。

旅行計画は、もう自分では立てない

ストレス解消が目的のはずの旅行なのに、お得な航空券を検索したり、クルクル変わる天気予報を見ながら旅程を何度も練り直したり、好みが異なる同行者全員が納得できる飲食店を探したりと、旅行準備はまるで「ザ・ガマン」に参加しているかのよう。しかし!旅立ち前からストレスを抱えるこのような人たちに朗報です。「体を預けてくれれば、心をお返しします」と、チェックインをした後はすべてをアレンジしてくれるホテルが誕生し、細部にわたって自分で計画をコントロールする旅行準備はなくなりつつあります。

家族旅行

子どもが巣立つ年齢が上がり親と同居する期間が長期化している昨今の風潮を反映し、多世代旅行が増加しています。小さい子どもよりも、成長した子どもと海外に出かける家族が多いのは、日常のデジタル一辺倒の生活から離れて家族のつながりを求める人が増えていることと、費用を分担できるというのがその大きな理由のようです。

バック・トゥ・ザ・フューチャー

AIを活用した写真マッピングや遺産追跡プラットフォームのおかげか、過去のスナップショットから現実世界で再びそのような場所に訪れることを望む人が増えています。若い頃の自分に戻ったり、人生の節目を記念したり、心の整理をしたりとその理由はさまざまですが、ノスタルジアに立ち戻る旅も今年のトレンドになりそうです。

カントリーサイドでランニング

とどまることを知らないランニング人気。このトレンドは休暇にも浸透しつつあるようです。都会の喧騒を離れ、美しい景色や澄んだ空気を求めて、レクリエーションスポーツや健康向上アクティビティを旅行計画に組み込む人が、若い世代を中心に増えています。カントリーサイドでランニングやハイキングをした先に、隠れ家的パブやカフェを発見したら、さらに素敵ですね。

のんびりとした列車の旅

列車の旅の予約件数が上昇中。旅行先での体験だけでなく、そこに至る移動の過程をも楽しみたいという人が増えているのがその理由のようです。車窓から景色が流れていくのを眺めながら、シンプルで心地よい時間が過ごせそうです。

トラベル・ボット

人工知能(AI)の台頭が止まらないのは旅行業界も同様。AIは、デジタルコンシェルジュとして活用され、現代の旅行者にとって副操縦士のような存在になりつつあります。

スポーツの祭典

2026年、旅行者は旅行先の文化に溶け込み、その土地ならではのスポーツを体験する傾向が強まるとの予測が出ています。日本の相撲にはじまり、アメリカのある地域では大リーグ野球よりも人気があるという「バナナボール」、スコットランド最古の伝統ゲーム「ハイランドゲーム」などがその一例です。

ブックバウンド

ヒット映画やテレビ番組のロケ地を訪れるのを目的とした旅はこれまでもありましたが、最近では本にインスパイアされた旅行を計画する人が増えているとのこと。ペンギンブックスUKのチーフブランドオフィサーによれば、旅行と読書は本質的に結びついているそうです。

ショルダーシーズン(準繁忙期)

旅行のハイシーズンといえば長い夏休みの期間でしたが、最近ではすべての年齢層において、9月に旅に出かける人が増えており、旅行業界では9月を「スーパーセプテンバー」と呼んでいます。65歳以上の人々がこの傾向を牽引しており、特に子どもと同居していない人々の注目がこのシーズンに集まっています。ショルダーシーズンの旅行トレンドは今後も続くと見られています。

参考ウェブサイト:Mail Online Travel

https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/02/12_2602_holiday-style_top.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/02/12_2602_holiday-style_top-150x150.jpgLiE 編集部新しい年が明け、あっという間に2月となり、少しずつ日中の時間が長くなっているのを感じるようになると、ヨーロッパでは次の旅行先はどこにしようとむずむずしてくる人が増えてくるようです。イギリスの著名なトラベルライターであるベン・パーカー氏が、2025年末に「2026年の休暇スタイル」について、トレンドセッターや旅行業界の重鎮たちの言葉に耳を傾け調査をした上で予想を立てていたので、抜粋してご紹介します。 ラコンツーリズム あまり聞きなれないラコンツーリズムという言葉。「raconteur(語り手)」と「tourism(観光)」を掛け合わせた造語ですが、2026年には急激に成長するとみられています。17〜18世紀の裕福層がそうしたように、旅行から戻ったら「いかにユニークで素晴らしい体験をしたか」を吹聴できることがポイントなのだとか。他の人と似たり寄ったりの旅ではダメということですね。 Z世代とミレニアル世代が牽引する「マイクロリタイアメント」 Image by Dimitris Vetsikas from Pixabay 2025年版ワード・オブ・ザ・イヤーにもノミネートされた新語「マイクロリタイアメント」。キャリア半ばで、短期間休みをとって旅に出ることを意味し、このライフスタイルは今年1年でさらに人気が高まると予想されます。引退後の生活に不安を抱え、燃え尽き症候群の概念を強く意識しているZ世代とミレニアル世代は、体力があるうちにサバティカル休暇を取って、夢の旅行を前倒しで実現させることを望んでいるようです。 ウェルネスウェーブ 認知機能の健康はますます重要になってきており、「何もしないでただのんびりする」リラクゼーションはもう古いのでしょうか?2026年のウェルネスとは、脳波の状態を意識した休暇、すなわち「ニューロサーフィン(neurosurfing)」に進化しているとのこと。いくつかのホテルではすでに、ヨガ、瞑想、バイオハック(脳トレゲームなど)を組み合わせた、特定のリラクゼーション脳波を誘発する体験を提供しています。シナプスに直接刺激を与える必要がある場合、単純なマッサージだけではもはや十分ではないようです。 静寂の音 日常の雑音から解放される甘美な静寂「ハッシュピタリティ(hush-pitality)」。大手チェーンホテルの一つであるヒルトンが提供しています。「ホスピタリティ(hospitality)」をもじった名称で、別名「クワイエット - ケーション(quiet-cation)」とも呼ばれます。およそ5人に1人が旅に静かさを求め、4割近くは自然の音だけが聞こえるナチュラルワールドに身を置きたいと考えているようです。 繋がりを求める女性限定の旅行 女性限定旅行への関心が、2024年から比べると30%近く増加しているとのこと。多くの場合、女性限定旅行は目的意識を持った巡礼へと進化しており、表面的な姉妹関係を築くのではなく、女性の文化的アイデンティティを称えるなどの体験が求められているようです。 一方、男性は・・・? 女性が旅で人との繋がりを求めるのとは正反対に、一人旅で逃避行動をしたいと考える男性が増加しています。旅行検索サイトSkyscannerによると、「一人旅」フィルターを使った予約は2024年から比べて、なんと83%も増加したとのこと。 スーパーマーケットを制覇 旅行先では少し贅沢して、普段は行かれないようなミシュラン星を持つレストランに行ってみようか・・・というのはもうはやらない?グルメツーリズムは、なんと、スーパーマーケットにシフトしているそうです。「地元民のように食事する」トレンドはすでに始まっており、海外旅行先のスーパーを訪れる人の数はうなぎのぼり。そういえば、日本の「抹茶キットカット」も人気ですね。 旅行計画は、もう自分では立てない ストレス解消が目的のはずの旅行なのに、お得な航空券を検索したり、クルクル変わる天気予報を見ながら旅程を何度も練り直したり、好みが異なる同行者全員が納得できる飲食店を探したりと、旅行準備はまるで「ザ・ガマン」に参加しているかのよう。しかし!旅立ち前からストレスを抱えるこのような人たちに朗報です。「体を預けてくれれば、心をお返しします」と、チェックインをした後はすべてをアレンジしてくれるホテルが誕生し、細部にわたって自分で計画をコントロールする旅行準備はなくなりつつあります。 家族旅行 子どもが巣立つ年齢が上がり親と同居する期間が長期化している昨今の風潮を反映し、多世代旅行が増加しています。小さい子どもよりも、成長した子どもと海外に出かける家族が多いのは、日常のデジタル一辺倒の生活から離れて家族のつながりを求める人が増えていることと、費用を分担できるというのがその大きな理由のようです。 バック・トゥ・ザ・フューチャー AIを活用した写真マッピングや遺産追跡プラットフォームのおかげか、過去のスナップショットから現実世界で再びそのような場所に訪れることを望む人が増えています。若い頃の自分に戻ったり、人生の節目を記念したり、心の整理をしたりとその理由はさまざまですが、ノスタルジアに立ち戻る旅も今年のトレンドになりそうです。 カントリーサイドでランニング とどまることを知らないランニング人気。このトレンドは休暇にも浸透しつつあるようです。都会の喧騒を離れ、美しい景色や澄んだ空気を求めて、レクリエーションスポーツや健康向上アクティビティを旅行計画に組み込む人が、若い世代を中心に増えています。カントリーサイドでランニングやハイキングをした先に、隠れ家的パブやカフェを発見したら、さらに素敵ですね。 のんびりとした列車の旅 列車の旅の予約件数が上昇中。旅行先での体験だけでなく、そこに至る移動の過程をも楽しみたいという人が増えているのがその理由のようです。車窓から景色が流れていくのを眺めながら、シンプルで心地よい時間が過ごせそうです。 トラベル・ボット 人工知能(AI)の台頭が止まらないのは旅行業界も同様。AIは、デジタルコンシェルジュとして活用され、現代の旅行者にとって副操縦士のような存在になりつつあります。 スポーツの祭典 2026年、旅行者は旅行先の文化に溶け込み、その土地ならではのスポーツを体験する傾向が強まるとの予測が出ています。日本の相撲にはじまり、アメリカのある地域では大リーグ野球よりも人気があるという「バナナボール」、スコットランド最古の伝統ゲーム「ハイランドゲーム」などがその一例です。 ブックバウンド ヒット映画やテレビ番組のロケ地を訪れるのを目的とした旅はこれまでもありましたが、最近では本にインスパイアされた旅行を計画する人が増えているとのこと。ペンギンブックスUKのチーフブランドオフィサーによれば、旅行と読書は本質的に結びついているそうです。 ショルダーシーズン(準繁忙期) 旅行のハイシーズンといえば長い夏休みの期間でしたが、最近ではすべての年齢層において、9月に旅に出かける人が増えており、旅行業界では9月を「スーパーセプテンバー」と呼んでいます。65歳以上の人々がこの傾向を牽引しており、特に子どもと同居していない人々の注目がこのシーズンに集まっています。ショルダーシーズンの旅行トレンドは今後も続くと見られています。 参考ウェブサイト:Mail Online Travel