ヨーロッパ旅行 2026年の新ルール
ユーロニュース(Euronews)の報道によると、2026年、ヨーロッパ旅行は大きく変貌を遂げるということです。
近年、観光依存型経済と人気観光地のインフラ逼迫の問題に拍車がかかっていますが、当局は観光客の要求と住民の生活の質のバランスをとるための持続可能な解決策を模索し続けており、オーバーツーリズムから観光地や地元住民を守るために観光客の流れを管理するなど、新たな規制措置が導入され始めています。
具体的には、「デジタル国境検査(digital border checks)」の導入、観光税(tourist taxes)の引き上げ、旅行者に対するより厳格な行動規則など、旅行に関わるいくつかの変更がなされることが決まっています。過去に何度もヨーロッパに訪れたことがある人でも、これまでとは異なる経験をすることになりそうです。
デジタル国境システムが入国要件を変革

Image by Gerd Altmann from Pixabay
遅延となっていた「欧州連合入出国システム(Entry Exit System/EES)」の導入が2025年10月にようやくスタートし、2026年4月までの完了を目指しています。EESとは、シェンゲン協定加盟国外の国境を通過するEU域外旅行者に対し、従来のパスポートスタンプに代わって、指紋や顔画像などの生体認証データを電子的に収集するシステムです。料金はかかりません。

EES導入の主な目的は、後を絶たない不法移民流入への対処の一環として、ビザ切れの不法滞在者を特定し、本人確認プロセスの改善を通じてセキュリティを強化すること。また、入国審査の効率化の実現も期待されていますが、導入以降国境検問所で遅延が発生しており、イギリスのドーバー港では混乱を防ぐために、自動車による乗客のチェックはピークシーズン後まで延期することを決めています。

ごった返すヴェニスの通り Photo by ralev_com on Freeimages.com
一方、2026年後半まで延期が決定している欧州渡航情報認証システム(ETIAS/European Travel Information and Authorisation System)。ETIASは、日本を含むビザ免除国からの観光客に対しシェンゲン圏への入国前にオンラインによる認証手続きを求めるもので、手数料は一人当たり20ユーロとなる予定です。

ETIASに先立ち、イギリスでは2026年2月から電子渡航認証(ETA/Electronic Travel Authorisation)の運用を開始しています。ビザ免除対象国85カ国からの渡英者は、短期滞在(最長6カ月間)に16ポンドのデジタル許可証であるETAの取得が必要となります。
物価高がヨーロッパのマスツーリズムを狙う

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ヨーロッパ各地で、観光客数を制限し、観光インフラの収益確保を図る対策が取られているため、休暇のための予算は引き続き上昇しています。パリやバルセロナ、ブダペストといった人気都市では、地元住民の住宅価格高騰に対処するため、短期滞在者用宿泊施設の賃貸制限を開始しました。これにより、民泊のような手頃な価格の宿泊施設の選択肢が減少してしまい、宿泊費が嵩むようになりました。
また、観光税(Tourist TaxesまたはAccommodation Tax)がヨーロッパ全土で導入され、さらにアイスランド、スペイン、ノルウェー、イギリスでは、宿泊費とは別に、1泊するごとに税金がかかるようになっています。ヴェネチアでは観光税の他に、導入以来物議を醸している「日帰り旅行者税(Tourist Tax/Imposta di Soggiorno)」を継続中。ブカレストは、ホスピタリティ業界の反対にもかかわらず、2026年中に観光税を導入する予定です。
これらの措置は「質の高い観光」という理念に基づいているとのこと。少数でも高額消費をする観光客を誘致し、観光は地域のインフラや資源への負担を軽減できるものへと転換させる中で、この理念はますます広まっていくことでしょう。
中でもウィンタースポーツ愛好家たちは特に大幅なコスト上昇に直面しています。スイス、オーストリア、イタリアのスキーパスは、山岳リゾートにおけるエネルギーコストと維持費の高騰を反映して、2021年の価格と比較して最大40%も上昇したという報告もあります。
観光客の行動規範の変革

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観光税や宿泊税に留まらず、観光客の行動規範に関してもますます厳しい規制が導入され始めています。例えばスペインのサン・セバスティアン(San Sebastián)では、多くの沿岸観光地に倣ってビーチでの喫煙を禁止し、一方、ポルトガルのアルブフェイラ(Albufeira)は、不適切な服装をした観光客に罰金を科す制度を導入しました。スペインのパルマ(Palma)は、騒音に関する苦情への対応と港湾インフラの整備のため、パーティーボートの航行制限を開始しています。これにより、観光客と地元住民の関係改善を図ることが期待されています。

hoto by Kampus Production
これらの上をいく厳格な措置が取られるようになっているフランスでは、飛行機内で迷惑行為を行うと、なんと最大2万ユーロの罰金と最長4年間の搭乗禁止処分が科されるそうです。
その一方で、飛行機の乗客の権利は依然として流動的なまま。機内持込手荷物の無償化や遅延補償の拡充など、航空旅客保護を強化するEU法案が航空業界から反発を受けています。必然的に航空券価格の上昇を招くこうした変更は、これまで11年をかけて議論を続けていてもいまだ解決に至っていません。
参照記事ウェブサイト:Travel Noire
https://living-in-eu.com/topics/eu-travel-new-rule2026https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/02/10_2602_tr_top.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/02/10_2602_tr_top-150x150.jpgユーロニュース(Euronews)の報道によると、2026年、ヨーロッパ旅行は大きく変貌を遂げるということです。 近年、観光依存型経済と人気観光地のインフラ逼迫の問題に拍車がかかっていますが、当局は観光客の要求と住民の生活の質のバランスをとるための持続可能な解決策を模索し続けており、オーバーツーリズムから観光地や地元住民を守るために観光客の流れを管理するなど、新たな規制措置が導入され始めています。 具体的には、「デジタル国境検査(digital border checks)」の導入、観光税(tourist taxes)の引き上げ、旅行者に対するより厳格な行動規則など、旅行に関わるいくつかの変更がなされることが決まっています。過去に何度もヨーロッパに訪れたことがある人でも、これまでとは異なる経験をすることになりそうです。 デジタル国境システムが入国要件を変革 Image by Gerd Altmann from Pixabay 遅延となっていた「欧州連合入出国システム(Entry Exit System/EES)」の導入が2025年10月にようやくスタートし、2026年4月までの完了を目指しています。EESとは、シェンゲン協定加盟国外の国境を通過するEU域外旅行者に対し、従来のパスポートスタンプに代わって、指紋や顔画像などの生体認証データを電子的に収集するシステムです。料金はかかりません。 EES導入の主な目的は、後を絶たない不法移民流入への対処の一環として、ビザ切れの不法滞在者を特定し、本人確認プロセスの改善を通じてセキュリティを強化すること。また、入国審査の効率化の実現も期待されていますが、導入以降国境検問所で遅延が発生しており、イギリスのドーバー港では混乱を防ぐために、自動車による乗客のチェックはピークシーズン後まで延期することを決めています。 ごった返すヴェニスの通り Photo by ralev_com on Freeimages.com 一方、2026年後半まで延期が決定している欧州渡航情報認証システム(ETIAS/European Travel Information and Authorisation System)。ETIASは、日本を含むビザ免除国からの観光客に対しシェンゲン圏への入国前にオンラインによる認証手続きを求めるもので、手数料は一人当たり20ユーロとなる予定です。 ETIASに先立ち、イギリスでは2026年2月から電子渡航認証(ETA/Electronic Travel Authorisation)の運用を開始しています。ビザ免除対象国85カ国からの渡英者は、短期滞在(最長6カ月間)に16ポンドのデジタル許可証であるETAの取得が必要となります。 物価高がヨーロッパのマスツーリズムを狙う www.freepik.com ヨーロッパ各地で、観光客数を制限し、観光インフラの収益確保を図る対策が取られているため、休暇のための予算は引き続き上昇しています。パリやバルセロナ、ブダペストといった人気都市では、地元住民の住宅価格高騰に対処するため、短期滞在者用宿泊施設の賃貸制限を開始しました。これにより、民泊のような手頃な価格の宿泊施設の選択肢が減少してしまい、宿泊費が嵩むようになりました。 また、観光税(Tourist TaxesまたはAccommodation Tax)がヨーロッパ全土で導入され、さらにアイスランド、スペイン、ノルウェー、イギリスでは、宿泊費とは別に、1泊するごとに税金がかかるようになっています。ヴェネチアでは観光税の他に、導入以来物議を醸している「日帰り旅行者税(Tourist Tax/Imposta di Soggiorno)」を継続中。ブカレストは、ホスピタリティ業界の反対にもかかわらず、2026年中に観光税を導入する予定です。 これらの措置は「質の高い観光」という理念に基づいているとのこと。少数でも高額消費をする観光客を誘致し、観光は地域のインフラや資源への負担を軽減できるものへと転換させる中で、この理念はますます広まっていくことでしょう。 中でもウィンタースポーツ愛好家たちは特に大幅なコスト上昇に直面しています。スイス、オーストリア、イタリアのスキーパスは、山岳リゾートにおけるエネルギーコストと維持費の高騰を反映して、2021年の価格と比較して最大40%も上昇したという報告もあります。 観光客の行動規範の変革 www.freepik.com 観光税や宿泊税に留まらず、観光客の行動規範に関してもますます厳しい規制が導入され始めています。例えばスペインのサン・セバスティアン(San Sebastián)では、多くの沿岸観光地に倣ってビーチでの喫煙を禁止し、一方、ポルトガルのアルブフェイラ(Albufeira)は、不適切な服装をした観光客に罰金を科す制度を導入しました。スペインのパルマ(Palma)は、騒音に関する苦情への対応と港湾インフラの整備のため、パーティーボートの航行制限を開始しています。これにより、観光客と地元住民の関係改善を図ることが期待されています。 hoto by Kampus Production これらの上をいく厳格な措置が取られるようになっているフランスでは、飛行機内で迷惑行為を行うと、なんと最大2万ユーロの罰金と最長4年間の搭乗禁止処分が科されるそうです。 その一方で、飛行機の乗客の権利は依然として流動的なまま。機内持込手荷物の無償化や遅延補償の拡充など、航空旅客保護を強化するEU法案が航空業界から反発を受けています。必然的に航空券価格の上昇を招くこうした変更は、これまで11年をかけて議論を続けていてもいまだ解決に至っていません。 参照記事ウェブサイト:Travel NoireLiE 編集部LiE 編集部 toyo@a-concept.co.ukAdministratorLiving in Europe


