SNS利用を制限する「子ども法案」
2026年9月17日、欧州委員会は、EU全域における子どものオンライン上の安全を強化するための「EU子ども法(EU KIDS Act)」を採択しました。この法律は、ソーシャルメディア(以下、SNS)の個人アカウントを作成できる年齢を制限し、オンラインサービスに対して設計段階からの安全性「セーフティ・バイ・デザイン(Safe-by-Design)」の確保を義務付けています。
オンラインの世界の恩恵を享受する権利は誰にでもあります。しかし、この権利を行使できるのはリスクを適切に管理できるようになった場合にのみ限られるという点が重要です。
EU全域において、子どもや10代の若者がオンラインで過ごす時間はますます長くなっており、最近の調査によると、13〜18歳が画面に向かって過ごす時間は、学校に行く日は平均4.5時間、週末には6.1時間に上ることが明らかになりました。

オンライン、特にSNS上で過ごすこうした時間は、子どもたちの心身の健康にリスクをもたらしています。
ヨーロッパの9〜16歳のうち、オンラインで安全だと感じている子どもは半数にとどまり、38%はSNSが原因で寝つきが悪くなることがあると報告、33%はSNSによってストレスや不安を頻繁に感じていることがわかりました。子どもが「セーファー・インターネット・センター(Safer Internet Centres)」* に相談する主な理由は、サイバーいじめです。
*EUに属さないイギリスの場合は「UK Safer Internet Centre」へ
EU子ども法は、こうしたリスクを最小限に抑えるための4つの柱を軸に構成されています。
1. ソーシャルメディア利用の開始時期の先送り
SNSや動画共有プラットフォームの利用を段階的に開始することを提案しており、未成年者が独自のアカウントを作成できる最低年齢をEU全域で15歳と定めています。また、すべての年齢層において、オンラインサービスは「セーフティ・バイ・デザイン(Safe-by-Design)」の原則を尊重しなければなりません。

3〜13歳未満:
アカウント作成は不可。ただし、保護者の許可があれば、保護者のアカウントを通じて、子ども向けに特別に設計された動画共有サービスを利用することは可能
13・14歳:
保護者が設定・管理する形であれば、SNSや動画共有サービスの「ミニ・アカウント」を持つことが可能。ただし、機能や利用時間の制限が設けられる
15・16・17歳:
保護者の同意がなくともアカウントを作成・利用できる。この段階においても、保護者による指導は依然として重要
2. セーフティ・バイ・デザイン
EU子ども法は、子ども向けに設計されたすべてのオンラインサービスに対し、オンライン上での子どもの安全を確保するため、以下のような厳格な規則や原則の遵守を義務付けています。

- 無限スクロールや睡眠時間帯のプッシュ通知など、依存性を高めるような設計機能の禁止
- 子どもにとって安全な推奨アルゴリズムの採用(推奨コンテンツの選択・調整・制御の選択肢を未成年者に提供し、いわゆる「ラビットホール(深みにはまって抜け出せなくなる状態)」に引きずり込まれるリスクを低減)
- コンテンツを非公開に保ち、望まない接触のリスクを最小限に抑えるための安全なアカウント設定
- 使いやすいペアレンタルコントロール機能や、他のユーザーをブロック・ミュートするツールの提供
- 未成年者によるライブ配信機能の禁止

3. 年齢の確認
プラットフォームは、アカウントを新規開設するユーザーの年齢を確認しなければなりません。また、規則の施行後は、既にアカウントを保有しているユーザーの年齢も確認する必要があります。
4. 執行
EU域内で月間アクティブユーザー数が4,500万人以上の超大型オンラインプラットフォームの提供者は、事前報告を通じて、自らのサービスが「設計段階から安全(セーフ・バイ・デザイン)」であることを証明しなければなりません。新たなサービス、機能、または機能的要素を導入する際、欧州委員会にコンプライアンス計画を提出する必要があり、欧州委員会による承認(肯定的見解)が得られた場合にのみ、展開が可能となります。

Image by tukinoorora from Pixabay
オーストラリアでは、2025年12月10日よりすでに、16歳未満の者がTikTok、Instagram、YouTube、Snapchat、X、FacebookなどのSNSアプリでアカウントを保有したり、新規作成したりすることを禁止しています。これはユーザに対してというより、16歳未満によるアカウント利用を阻止する義務をソーシャルメディア企業に課すもの。これに違反すると、企業は多額の罰金を科される可能性があります。
より安全なオンライン環境の実現を提唱しているイギリスのモリー・ローズ財団がオーストラリアの若年層を対象とする新たな大規模調査によると、依然として大多数の子どもたちが利用制限の対象となっているソーシャルメディアアプリを使用していることがわかりました。
子どもたちのSNS利用を禁止するよりも、SNSそのものの安全性を向上させることこそが真の解決策なのかもしれませんね。

参照ウェブサイト:European Commission
https://living-in-eu.com/topics/kids-act-2026https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/09/17_2609_kids-act_00.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/09/17_2609_kids-act_00-150x150.jpg2026年9月17日、欧州委員会は、EU全域における子どものオンライン上の安全を強化するための「EU子ども法(EU KIDS Act)」を採択しました。この法律は、ソーシャルメディア(以下、SNS)の個人アカウントを作成できる年齢を制限し、オンラインサービスに対して設計段階からの安全性「セーフティ・バイ・デザイン(Safe-by-Design)」の確保を義務付けています。 オンラインの世界の恩恵を享受する権利は誰にでもあります。しかし、この権利を行使できるのはリスクを適切に管理できるようになった場合にのみ限られるという点が重要です。 EU全域において、子どもや10代の若者がオンラインで過ごす時間はますます長くなっており、最近の調査によると、13〜18歳が画面に向かって過ごす時間は、学校に行く日は平均4.5時間、週末には6.1時間に上ることが明らかになりました。 Image by magnific オンライン、特にSNS上で過ごすこうした時間は、子どもたちの心身の健康にリスクをもたらしています。 ヨーロッパの9〜16歳のうち、オンラインで安全だと感じている子どもは半数にとどまり、38%はSNSが原因で寝つきが悪くなることがあると報告、33%はSNSによってストレスや不安を頻繁に感じていることがわかりました。子どもが「セーファー・インターネット・センター(Safer Internet Centres)」* に相談する主な理由は、サイバーいじめです。 *EUに属さないイギリスの場合は「UK Safer Internet Centre」へ EU子ども法は、こうしたリスクを最小限に抑えるための4つの柱を軸に構成されています。 1. ソーシャルメディア利用の開始時期の先送り SNSや動画共有プラットフォームの利用を段階的に開始することを提案しており、未成年者が独自のアカウントを作成できる最低年齢をEU全域で15歳と定めています。また、すべての年齢層において、オンラインサービスは「セーフティ・バイ・デザイン(Safe-by-Design)」の原則を尊重しなければなりません。 3〜13歳未満: アカウント作成は不可。ただし、保護者の許可があれば、保護者のアカウントを通じて、子ども向けに特別に設計された動画共有サービスを利用することは可能 13・14歳: 保護者が設定・管理する形であれば、SNSや動画共有サービスの「ミニ・アカウント」を持つことが可能。ただし、機能や利用時間の制限が設けられる 15・16・17歳: 保護者の同意がなくともアカウントを作成・利用できる。この段階においても、保護者による指導は依然として重要 2. セーフティ・バイ・デザイン EU子ども法は、子ども向けに設計されたすべてのオンラインサービスに対し、オンライン上での子どもの安全を確保するため、以下のような厳格な規則や原則の遵守を義務付けています。 無限スクロールや睡眠時間帯のプッシュ通知など、依存性を高めるような設計機能の禁止 子どもにとって安全な推奨アルゴリズムの採用(推奨コンテンツの選択・調整・制御の選択肢を未成年者に提供し、いわゆる「ラビットホール(深みにはまって抜け出せなくなる状態)」に引きずり込まれるリスクを低減) コンテンツを非公開に保ち、望まない接触のリスクを最小限に抑えるための安全なアカウント設定 使いやすいペアレンタルコントロール機能や、他のユーザーをブロック・ミュートするツールの提供 未成年者によるライブ配信機能の禁止 3. 年齢の確認 プラットフォームは、アカウントを新規開設するユーザーの年齢を確認しなければなりません。また、規則の施行後は、既にアカウントを保有しているユーザーの年齢も確認する必要があります。 4. 執行 EU域内で月間アクティブユーザー数が4,500万人以上の超大型オンラインプラットフォームの提供者は、事前報告を通じて、自らのサービスが「設計段階から安全(セーフ・バイ・デザイン)」であることを証明しなければなりません。新たなサービス、機能、または機能的要素を導入する際、欧州委員会にコンプライアンス計画を提出する必要があり、欧州委員会による承認(肯定的見解)が得られた場合にのみ、展開が可能となります。 Image by tukinoorora from Pixabay オーストラリアでは、2025年12月10日よりすでに、16歳未満の者がTikTok、Instagram、YouTube、Snapchat、X、FacebookなどのSNSアプリでアカウントを保有したり、新規作成したりすることを禁止しています。これはユーザに対してというより、16歳未満によるアカウント利用を阻止する義務をソーシャルメディア企業に課すもの。これに違反すると、企業は多額の罰金を科される可能性があります。 より安全なオンライン環境の実現を提唱しているイギリスのモリー・ローズ財団がオーストラリアの若年層を対象とする新たな大規模調査によると、依然として大多数の子どもたちが利用制限の対象となっているソーシャルメディアアプリを使用していることがわかりました。 子どもたちのSNS利用を禁止するよりも、SNSそのものの安全性を向上させることこそが真の解決策なのかもしれませんね。 参照ウェブサイト:European CommissionLiE 編集部LiE 編集部 toyo@a-concept.co.ukAdministrator欧州移住の正解が見つかる | Living in Europe - 住まい・教育・医療の総合ポータル


