すでにEU加盟国にいる非EU市民の場合、どのような規則が適用され、どんな権利があるのでしょうか。

EU圏外に住む家族の呼び寄せ申請や長期滞在資格の申請は、現在居住しているEU加盟国にて行わなくてはなりません。同じEU加盟国でも移民規則は国によって異なりますが、ここでは、デンマークとアイルランドを除くEU加盟25カ国に適用される一般的な決まりについてご紹介します。

1. 家族の呼び寄せ

EU域外の国籍を持ち、合法的にEU加盟国に居住している場合、同居するために家族を呼び寄せる「家族再統合(Family Reunification)」の申請ができます。家族再統合の申請者は「スポンサー(Sponsor)」と呼ばれます。

EUの法律には「家族再統合指令(Family Reunification Directive)」というものがあり、再統合に関する規則もこれに基づきます。ただし、加盟国によっては指令に定められているよりも、有利かつより広範囲に適用可能な規則が定められているケースもありますので、受入国における政策の詳細については、各国当局に問い合わせましょう。

家族再統合を申請するための、スポンサーの条件
EU加盟国が発行した1年以上の居住許可証を所持している
・当該国に永住できる「相当な見込み(EU加盟国ごとに定義が異なる)」がある
※一部の加盟国では、2年あるいは3年の合法的な居住後にのみ申請の権利が与えられます。

同伴できる家族の条件
・申請者の夫または妻(同性婚が認められている国では同性の配偶者も含む)。EUでは重婚が認められていないため、同伴できる配偶者は1人のみ
・申請者と配偶者の未成年の子ども(以前の関係から生まれた未成年の子どもを含む)
※「未成年の子ども」の定義は、ホストEU加盟国の法律によります。

居住するEU加盟国によっては、さらに制限が適用される場合があります。
・申請者と配偶者が一定の最低年齢(最高21歳)に達している
※家族から独立して到着する12歳以上の子どもには、より厳しい規則が適用されることもあります。

それぞれのEU加盟国の規則によっては、以下の家族が同伴できる場合もあります。
・未婚のパートナー
・登録パートナー
・出身国で扶養家族として生活しており、申請者または配偶者の家族からの支援を受けていない両親
・成人しているが、健康状態により自立した生活が不可能で、かつ未婚の子ども

家族と一緒に暮らすための条件
申請者との同居を希望する者が申請者の家族であることを証明した後でも、申請者と呼び寄せる家族の両方に対し、以下の追加証明を求められる場合があります。
・適切な住居
・健康保険
・十分かつ定期的かつ安定した経済的支援

一部のEU加盟国では、移住先の国に関する言語や社会知識のテストなどが求められる場合があります。

家族再統合の許可が出たら
統合される家族には、滞在国に滞在できる「居住許可証(Residence Permits)」が発行されます。許可証は少なくとも1年間有効で、更新することも可能です。しかし原則として、居住許可証の有効期限が申請者の居住許可証の有効期限を超えることはありません。居住許可証が入国前に発行されるか入国後に発行されるかは、加盟国によって異なります。また場合によっては、同時に入国ビザが必要になることもあります。

家族再統合の許可によって、以下の権利が与えられます。
・雇用/自営業へのアクセス(最長1年間の制限が設けられている国もあり)
・教育へのアクセス
・職業訓練へのアクセス

家族再統合の滞在許可証が拒否または取り消される可能性
以下の状況においては、家族の滞在許可証が拒否または取り消される可能性があります。
・家族再統合の条件を満たしていない
・家族関係の終結
・申請時に虚偽の情報や文書を使用
・公共の安全、公共の政策、または公衆衛生に対する脅威

家族再統合申請の拒否、在留許可の拒否/取り消しの決定に対して、法的に異議を申し立てる権利があります。

再統合された家族の単独での居住許可
配偶者、未婚のパートナー、成人した子どもは、5年以上経過すると単独で居住許可を取得することができます。家族関係が破綻している場合には、個人居住許可の取得が制限される場合もあります(EU加盟国によって異なる規則が適用されます)。

以下の場合、家族は5年未満の滞在でも個人居住許可を取得することができます。
・スポンサーの死亡
・スポンサーと別居または離婚
・家庭内暴力など、特に困難な状況に直面

次回は「2. 長期居住者ステータス」についてご紹介します。

参照記事ウェブサイト:Your Europe Residence Rights

https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/09/05_2509_title-gozonji.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/09/05_2509_title-gozonji-150x150.jpgLiE 編集部すでにEU加盟国にいる非EU市民の場合、どのような規則が適用され、どんな権利があるのでしょうか。 EU圏外に住む家族の呼び寄せ申請や長期滞在資格の申請は、現在居住しているEU加盟国にて行わなくてはなりません。同じEU加盟国でも移民規則は国によって異なりますが、ここでは、デンマークとアイルランドを除くEU加盟25カ国に適用される一般的な決まりについてご紹介します。 1. 家族の呼び寄せ EU域外の国籍を持ち、合法的にEU加盟国に居住している場合、同居するために家族を呼び寄せる「家族再統合(Family Reunification)」の申請ができます。家族再統合の申請者は「スポンサー(Sponsor)」と呼ばれます。 EUの法律には「家族再統合指令(Family Reunification Directive)」というものがあり、再統合に関する規則もこれに基づきます。ただし、加盟国によっては指令に定められているよりも、有利かつより広範囲に適用可能な規則が定められているケースもありますので、受入国における政策の詳細については、各国当局に問い合わせましょう。 家族再統合を申請するための、スポンサーの条件 ・EU加盟国が発行した1年以上の居住許可証を所持している ・当該国に永住できる「相当な見込み(EU加盟国ごとに定義が異なる)」がある ※一部の加盟国では、2年あるいは3年の合法的な居住後にのみ申請の権利が与えられます。 同伴できる家族の条件 ・申請者の夫または妻(同性婚が認められている国では同性の配偶者も含む)。EUでは重婚が認められていないため、同伴できる配偶者は1人のみ ・申請者と配偶者の未成年の子ども(以前の関係から生まれた未成年の子どもを含む) ※「未成年の子ども」の定義は、ホストEU加盟国の法律によります。 居住するEU加盟国によっては、さらに制限が適用される場合があります。 ・申請者と配偶者が一定の最低年齢(最高21歳)に達している ※家族から独立して到着する12歳以上の子どもには、より厳しい規則が適用されることもあります。 それぞれのEU加盟国の規則によっては、以下の家族が同伴できる場合もあります。 ・未婚のパートナー ・登録パートナー ・出身国で扶養家族として生活しており、申請者または配偶者の家族からの支援を受けていない両親 ・成人しているが、健康状態により自立した生活が不可能で、かつ未婚の子ども 家族と一緒に暮らすための条件 申請者との同居を希望する者が申請者の家族であることを証明した後でも、申請者と呼び寄せる家族の両方に対し、以下の追加証明を求められる場合があります。 ・適切な住居 ・健康保険 ・十分かつ定期的かつ安定した経済的支援 一部のEU加盟国では、移住先の国に関する言語や社会知識のテストなどが求められる場合があります。 家族再統合の許可が出たら 統合される家族には、滞在国に滞在できる「居住許可証(Residence Permits)」が発行されます。許可証は少なくとも1年間有効で、更新することも可能です。しかし原則として、居住許可証の有効期限が申請者の居住許可証の有効期限を超えることはありません。居住許可証が入国前に発行されるか入国後に発行されるかは、加盟国によって異なります。また場合によっては、同時に入国ビザが必要になることもあります。 家族再統合の許可によって、以下の権利が与えられます。 ・雇用/自営業へのアクセス(最長1年間の制限が設けられている国もあり) ・教育へのアクセス ・職業訓練へのアクセス 家族再統合の滞在許可証が拒否または取り消される可能性 以下の状況においては、家族の滞在許可証が拒否または取り消される可能性があります。 ・家族再統合の条件を満たしていない ・家族関係の終結 ・申請時に虚偽の情報や文書を使用 ・公共の安全、公共の政策、または公衆衛生に対する脅威 家族再統合申請の拒否、在留許可の拒否/取り消しの決定に対して、法的に異議を申し立てる権利があります。 再統合された家族の単独での居住許可 配偶者、未婚のパートナー、成人した子どもは、5年以上経過すると単独で居住許可を取得することができます。家族関係が破綻している場合には、個人居住許可の取得が制限される場合もあります(EU加盟国によって異なる規則が適用されます)。 以下の場合、家族は5年未満の滞在でも個人居住許可を取得することができます。 ・スポンサーの死亡 ・スポンサーと別居または離婚 ・家庭内暴力など、特に困難な状況に直面 次回は「2. 長期居住者ステータス」についてご紹介します。 参照記事ウェブサイト:Your Europe Residence Rights