朝晩冷え込むようになり、ヨーロッパでは、秋の訪れを肌で感じるようになってきました。そうすると食べたくなるチーズのタイプも少しずつ変化し、こってり、とろりとした濃厚なチーズをおいしく感じるようになるものです。そんなソフトなチーズの代表ともいえるのが、「カマンベール(Camembert)」。今では日本を含め、全世界で「カマンベールのような」チーズが生産されています。

これからの季節にぴったりの濃厚チーズ、カマンベール(左)、フランス北部のスーパーなどには、AOP認定のない擬似カマンベールも各種売られている(右) © Culture&Culture

世界でもっとも人気のあるチーズの一つである「カマンベール」ですが、そもそも「カマンベール」とは何か?と聞かれると、答えに困ってしまうものです。

その発祥については歴史的な逸話があります。フランス革命時、ノルマンディ地方のカマンベール村近くにマリー・アレルという農婦が住んでいました。革命の混乱を逃れてこの地に身を隠していた司祭から、パリ近郊のブリー地方のチーズ作りについて教わり、その製法を地元のチーズに応用したものが現在のカマンベールにつながったというものです。

カマンベール村の道路サイン(左)、ブリーチーズの製法を基にカマンベールを考案したマリー・アレルの像(右) © Culture&Culture

この小さな村の名前がそのままチーズ名の由来となり、「カマンベール」として世界に流通し、世界中で模倣品が作られるようになりました。日本でも乳業メーカー各社が、「カマンベール」という名のチーズを製造販売しています。

いつしか「カマンベール」という呼称は、手の平サイズの白カビをまとったソフトなチーズ全般を指す一般名称となり、チーズの一つのスタイルとして確立しつつあります。

そのままでももちろんおいしいが、オーブンで焼いたりアヒージョにしてもよい

フランスのノルマンディ地方で伝統製法を厳格に守って造られる「カマンベール」は、1983年にフランスの原産地呼称統制(AOC)の認証を取得し、「カマンベール・ド・ノルマンディ(Camembert de Normandie)」という保護された名称で、一般的な「カマンベール」とは区別されています。

フランスのチーズマーケットで仲良く並ぶブリーとバジル風味のカマンベール Photo by Eric Prouzet on Unsplash

「カマンベール・ド・ノルマンディ」はノルマンディ地方の指定地域で、指定された製法で製造され、熟成が進むにつれて味わいに力強さと複雑さが増し、元祖ならではといわんばかりに存在感をアピールします。同じ「カマンベール」でも、世界にはさまざまなタイプが存在し、それぞれに味わいも異なります。「カマンベール」は、チーズという食べ物が背負う歴史や文化の奥深さをも体現するチーズといえるでしょう。

フルーツ、ナッツ、生ハムと、何とでも相性のよいカマンベールはカナッペにぴったり © Culture&Culture

https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/09/17_camembert_00.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/09/17_camembert_00-150x150.jpgLiE 編集部朝晩冷え込むようになり、ヨーロッパでは、秋の訪れを肌で感じるようになってきました。そうすると食べたくなるチーズのタイプも少しずつ変化し、こってり、とろりとした濃厚なチーズをおいしく感じるようになるものです。そんなソフトなチーズの代表ともいえるのが、「カマンベール(Camembert)」。今では日本を含め、全世界で「カマンベールのような」チーズが生産されています。 これからの季節にぴったりの濃厚チーズ、カマンベール(左)、フランス北部のスーパーなどには、AOP認定のない擬似カマンベールも各種売られている(右) © Culture&Culture 世界でもっとも人気のあるチーズの一つである「カマンベール」ですが、そもそも「カマンベール」とは何か?と聞かれると、答えに困ってしまうものです。 その発祥については歴史的な逸話があります。フランス革命時、ノルマンディ地方のカマンベール村近くにマリー・アレルという農婦が住んでいました。革命の混乱を逃れてこの地に身を隠していた司祭から、パリ近郊のブリー地方のチーズ作りについて教わり、その製法を地元のチーズに応用したものが現在のカマンベールにつながったというものです。 カマンベール村の道路サイン(左)、ブリーチーズの製法を基にカマンベールを考案したマリー・アレルの像(右) © Culture&Culture この小さな村の名前がそのままチーズ名の由来となり、「カマンベール」として世界に流通し、世界中で模倣品が作られるようになりました。日本でも乳業メーカー各社が、「カマンベール」という名のチーズを製造販売しています。 いつしか「カマンベール」という呼称は、手の平サイズの白カビをまとったソフトなチーズ全般を指す一般名称となり、チーズの一つのスタイルとして確立しつつあります。 そのままでももちろんおいしいが、オーブンで焼いたりアヒージョにしてもよい フランスのノルマンディ地方で伝統製法を厳格に守って造られる「カマンベール」は、1983年にフランスの原産地呼称統制(AOC)の認証を取得し、「カマンベール・ド・ノルマンディ(Camembert de Normandie)」という保護された名称で、一般的な「カマンベール」とは区別されています。 フランスのチーズマーケットで仲良く並ぶブリーとバジル風味のカマンベール Photo by Eric Prouzet on Unsplash 「カマンベール・ド・ノルマンディ」はノルマンディ地方の指定地域で、指定された製法で製造され、熟成が進むにつれて味わいに力強さと複雑さが増し、元祖ならではといわんばかりに存在感をアピールします。同じ「カマンベール」でも、世界にはさまざまなタイプが存在し、それぞれに味わいも異なります。「カマンベール」は、チーズという食べ物が背負う歴史や文化の奥深さをも体現するチーズといえるでしょう。 フルーツ、ナッツ、生ハムと、何とでも相性のよいカマンベールはカナッペにぴったり © Culture&Culture欧州13カ国のリアルな生活情報を網羅。プラハやワルシャワの最新トレンドから、スイスの高度な医療、オランダの住宅事情まで。移住検討者が「一番知りたかった」一次情報を、データと現地の声で届けます。