
Vol.10 マンチェゴ
晩冬といえば、ヨーロッパではブラッドオレンジやセビルオレンジといった、柑橘系フルーツが食料品店を賑わす季節。ポルトガルやスペイン系のデリカテッセンを覗いてみると、金柑(kumquat)が山積みされていることもあり、日本人の私たちにとってはどこかホッとするような嬉しさがあります。
これらオレンジ系の柑橘類と相性が良いチーズといえば、スペインを代表する「マンチェゴ(Manchego)」。マドリッド南部のラ・マンチャ地方で生産されるスペイン伝統の羊乳製のハードチーズです。
かつて、茅の一種であるエスパルトを編んだバスケットや帯を使ってチーズを成型していたため、側面全体が縄のような模様になっているのが特徴です。現在は衛生面を考慮し、プラスチックの型で同様の模様が付けられています。

マンチェゴチーズの特徴的なエスパルト柄(左)と、伝統的な製法により、無殺菌乳製の証であるアルテアサーノ(artesano)のラベル(右)
一言でマンチェゴといっても、熟成の度合いや生産工程の違いにより「フレスコ/フレッシュ(fresco)」、「セミ・クラード/2〜4カ月熟成(semi-curado)」、「クラード/4〜6カ月以熟成(curado)」、「アルテサーノ/無殺菌乳製(artesano)」といったスタイルやグレードの違いがあり、味わいもそれぞれに異なります。とはいえ、どのマンチェゴにも共通しているのは、羊乳特有のミルキーな甘い風味。口に入れると、コクのある甘味の中に、ラム肉を思わせるラノリン(羊毛脂)とナッツのような味わいがあり、長期熟成させた上質なものは軽やかな牧草感と旨味が口の中で広がります。
スペインには、マルメロ(西洋カリン)と砂糖を煮詰めて羊羹のように固めた「メンブリージョ(Membrillo)」というものがあり、季節を問わず、マンチェゴに添えていただく習慣があります。

象牙色のマンチェゴにメンブリージョのオレンジ色が映え、チーズの塩味とコクに対するメンブリージョの甘味と酸味のバランスが心地良い伝統的なチーズプレート
旬の柑橘類が出回る季節には、オレンジ類のフルーツとマンチェゴを上質なオリーブオイルであえてサラダ仕立てにすると、見た目にも鮮やかで気分も明るくなるような一品となります。オレンジの心地良い酸味が、「マンチェゴ」特有のコクのある味わいにとてもよく合います。

明るく陽気なスペインを体現したようなマンチェゴとオレンジのサラダ
スペインはオレンジ系フルーツの一大産地。オレンジ、マンチェゴ、オリーブオイルを組み合わせたサラダは、「同郷のものは相性が良い」という原則を体現しているかのようです。
https://living-in-eu.com/cheese/20260_vol10_manchegohttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/02/10_2602_manch_top.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/02/10_2602_manch_top-150x150.jpg晩冬といえば、ヨーロッパではブラッドオレンジやセビルオレンジといった、柑橘系フルーツが食料品店を賑わす季節。ポルトガルやスペイン系のデリカテッセンを覗いてみると、金柑(kumquat)が山積みされていることもあり、日本人の私たちにとってはどこかホッとするような嬉しさがあります。 これらオレンジ系の柑橘類と相性が良いチーズといえば、スペインを代表する「マンチェゴ(Manchego)」。マドリッド南部のラ・マンチャ地方で生産されるスペイン伝統の羊乳製のハードチーズです。 かつて、茅の一種であるエスパルトを編んだバスケットや帯を使ってチーズを成型していたため、側面全体が縄のような模様になっているのが特徴です。現在は衛生面を考慮し、プラスチックの型で同様の模様が付けられています。 マンチェゴチーズの特徴的なエスパルト柄(左)と、伝統的な製法により、無殺菌乳製の証であるアルテアサーノ(artesano)のラベル(右) 一言でマンチェゴといっても、熟成の度合いや生産工程の違いにより「フレスコ/フレッシュ(fresco)」、「セミ・クラード/2〜4カ月熟成(semi-curado)」、「クラード/4〜6カ月以熟成(curado)」、「アルテサーノ/無殺菌乳製(artesano)」といったスタイルやグレードの違いがあり、味わいもそれぞれに異なります。とはいえ、どのマンチェゴにも共通しているのは、羊乳特有のミルキーな甘い風味。口に入れると、コクのある甘味の中に、ラム肉を思わせるラノリン(羊毛脂)とナッツのような味わいがあり、長期熟成させた上質なものは軽やかな牧草感と旨味が口の中で広がります。 スペインには、マルメロ(西洋カリン)と砂糖を煮詰めて羊羹のように固めた「メンブリージョ(Membrillo)」というものがあり、季節を問わず、マンチェゴに添えていただく習慣があります。 象牙色のマンチェゴにメンブリージョのオレンジ色が映え、チーズの塩味とコクに対するメンブリージョの甘味と酸味のバランスが心地良い伝統的なチーズプレート 旬の柑橘類が出回る季節には、オレンジ類のフルーツとマンチェゴを上質なオリーブオイルであえてサラダ仕立てにすると、見た目にも鮮やかで気分も明るくなるような一品となります。オレンジの心地良い酸味が、「マンチェゴ」特有のコクのある味わいにとてもよく合います。 明るく陽気なスペインを体現したようなマンチェゴとオレンジのサラダ スペインはオレンジ系フルーツの一大産地。オレンジ、マンチェゴ、オリーブオイルを組み合わせたサラダは、「同郷のものは相性が良い」という原則を体現しているかのようです。LiE 編集部LiE 編集部 toyo@a-concept.co.ukAdministratorLiving in Europe



