https://living-in-eu.com/european-cities/202506_france_parishttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/06/2506_02-france_01_.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/06/2506_02-france_01_-150x150.jpg魚住桜子パリ東部10区に広がるサン・マルタン運河界隈は、観光地としての華やかさとは異なり、 古き良きパリの面影と自由な感性が交差するエリアです。
運河に架かるアーチ型の歩道橋や、 プラタナス並木が水面に映す光と影の揺らぎは、 まるで映画のワンシーンのよう。『北ホテル(1938年)』や『アメリ(2001年)』など、 数々の映画のロケ地となったのも頷けます。 春から秋にかけては、石畳に腰を下ろして読書を楽しんだり、 おしゃべりに興じたりする人々で運河沿いが賑わい、街がより一層華やぎます。
グラスの音、軽やかな笑い声、 すれ違う音楽。夜のサン・マルタン運河には、 今のパリを映し出す空気が流れている。
運河沿いには地元で長く親しまれてきたカフェやビストロが点在し、 中でも「シェ・プリュンヌ」のテラスで、エスプレッソ片手に街を眺める時間は格別!少し足を延ばせば、自然派ワインを600種以上揃える「ル・コントワール・デ・レジスタント」があり、 伝統的なフランス料理に現代の感性を織り交ぜた一皿が堪能できます。
Le Comptoir des Résistants
600種類もの自然派ワインが揃う「ル・コントワール・デ・レジスタント」。
フランスの伝統を尊重しつつ、現代的なアプローチで再構築された料理は、食に敏感なグルマンたちから高い評価を受けている。
また、この一帯はベーカリーの激戦区でもあり、グルテンフリーであったり、古代小麦を使うなどと、それぞれ特徴のある店が軒を連ねます。「デュ・パン・エ・デ・ジデ」の名物「エスカルゴ」は、ピスタチオやショコラなど多彩な味わいが魅力で、運河のほとりで味わうのもお勧めです。
ヴィンテージショップやギャラリー、アトリエも多く、歩いているだけで感性が刺激されるエリアですが、遊覧船に乗って水上からその景色を眺めるのも新鮮な体験です。
晴れた日には運河沿いでピクニックやアペリティフを楽しみ、夕暮れには茜色に染まる水面に魅了される…。サン・マルタン運河は、パリの「暮らし」と「美意識」が出会う、記憶に残る旅のひとときを届けてくれることでしょう。
INFORMATION
ル・コントワール・デ・レジスタント
Le Comptoir des Résistants 18 Rue du Château d'Eau, 75010 Paris魚住桜子uozumi@a-concept.co.ukEditor食と映画を中心にライフスタイルにまつわる取材や執筆を行う。
著書『映画の声を聴かせて フランス・ヨーロッパ映画人インタビュー』森話社Living in Europe