外はカリッ、中はほっこりの黄金色に輝くフリッツ
ベルギー人の赤ちゃんの哺乳瓶にはミルクではなくフリッツ(フレンチフライ)が入っていると言われるほど、「フリッツ」は年齢、性別を問わずベルギー人に愛されている国民食。街角のいたるところに揚げたてを出すフリッツ屋台「フリッツコット(Fritkot)」があり、大小合わせてその数なんとおよそ5,000店にも及びます。ベルギー人はおいしいフリッツを食べたいときは必ず屋台に行くのです。
移動フリッツコットの老舗「デ・コルテ(De Corte)」 © 宮崎真紀 Maki Miyazaki
フリッツがフリッツであるための厳しい決まり
フリッツにはフリッツ屋台協会(UNAFRI)が定める、たいへん厳しい規則があります。
① ジャガイモは、大きくて粉っぽい果肉の国産「ビンチュ」種を冷水で洗ってでん粉を除く
② 長さは9~14センチ
③ 揚げ油は熱に強く油切れがよく、素材にコクとうまみ、香ばしさを与える牛脂を使用
④ 140°Cの温度で7分揚げ、冷ましたフリッツを170°C~175°C(最高でも180°C)で2度揚げする
⑤ 円錐形の紙または紙の箱で提供、屋台の傍には必ずごみ箱を設置する
カリッと揚がったフリッツには、塩を振るかマヨネーズなどに付けて熱々を食べます。
ベルギー名物のムール貝にはフリッツが定番(左)、揚げたてのフリッツ © 宮崎真紀 Maki Miyazaki(左)
フリッツ博物館(Frietmuseum Brussels)
コンキスタドール率いる一団とインカ帝国の人々を描いた絵(左)
それから何世紀も経ち現在ではオバマ前アメリカ大統領やベルギー王フィリップ殿下も召し上がるフリッツに(右)
© 宮崎真紀 Maki Miyazaki
「フリッツ博物館」は、ブリュッセルのグランプラス(Grand-Place/Grote Markt)近く、有名な「小便小僧(Manneken Pis)」のすぐ隣にあります。ジャガイモの渡来から、フリッツがベルギーの国民食になった経歴などを豊富な資料やインタラクティブ手法で紹介。日本語音声ガイドもあります(音声ガイドは入場料に含まれています)。
いろいろな種類のジャガイモの展示(左)、中南米でのジャガイモ栽培の様子(右)© 宮崎真紀 Maki Miyazaki
ジャガイモのふるさとは、南米アンデスの高地。16世紀後半、スペインのコンキスタドールたちがインカ帝国(現在のペルーなど)を征服した際、彼らが栽培していたジャガイモを発見、ヨーロッパへ持ち帰ったのが始まりでした。ヨーロッパに渡ったジャガイモは、最初は敬遠されていました。しかし植物学者たちは、この塊茎が寒さに強く、痩せた土地にも育つため、18世紀に起こった度重なる飢饉の救済になると確信しその普及に努めました。おかげで、ヨーロッパ各地で徐々に食用として普及していきました。展示には、中南米での栽培や収穫の解説、害虫による病気などの説明があります。
展示物には、過去に使われていたフリッツ揚げ器(左)や、いろいろな円錐形のフリッツ容器も(右)© 宮崎真紀 Maki Miyazaki
続く部屋は、ベルギーでフリッツが普及するまでの歴史です。その発祥地は、ベルギー南部を流れるムーズ川(Meuse)沿いのナミュール(Namur)近辺。この辺りでは小さい川魚を揚げたものが名物料理ですが、冬には魚が捕れないため、その代用としてジャガイモを細長く切って魚に見立てて揚げていたのです。ここでは、昔の調理器具や多様なソースの解説、漫画やポスターなどがあり、いかにフリッツがベルギー人の生活に浸透しているかが分かります。
フリッツに欠かせないソースの種類も豊富 © 宮崎真紀 Maki Miyazaki
次は無料で遊べるゲームのコーナー。ピンボールゲーム、害虫シューティングゲーム、フリッツ製造工程を体験できるシュミレーションゲームなど、子どもも大人も大いに楽しめます。
フリッツ達が繰り広げる楽しいステージ © 宮崎真紀 Maki Miyazaki
楽しんだ後は、揚げたてのフリッツが無料で食べられる休憩エリア。1度揚げのフリッツは植物油を使用しますが、2度揚げの油は、正統な牛脂か植物油かの選択ができます。ソースは好きなものをかけて召し上がれます。香ばしいフリッツと、こってりしたマヨネーズの後を引くおいしさ、ベルギー人でなくとも虜になること請けあいです。
博物館ショップには楽しいおみやげグッズもたくさん © 宮崎真紀 Maki Miyazaki
INFORMATION
フリッツ博物館
フリッツ博物館と近くにある他の博物館を組み合わせるとお得なチケットになるシステムがあります。
チョコストリー(Choco-Story Brussels) チョコレート作りのデモンストレーションとテイスティング有り。コンボチケットはこちら から
ベルギービールワールド(Belgian Beer World) スカイバーでのビールテイスティング(1杯)とツアー中のビールテイスティング有り。コンボチケットはこちら から
投稿者プロフィール
宮崎真紀 ベルギー、ブリュッセル在住
フード&カルチャー関係のコーディネーター。
生活情報誌「ボナペティ」編集長、国内外の雑誌に投稿、文化関係のコーディネートをする。過去25年間、ベルギー国立料理学校で日本人を対象にしたフランス料理教室やベルギーレース教室、フラワーアレンジ教室を主宰した。趣味は写真を撮ることと庭仕事。
https://living-in-eu.com/european-cities/belgium-frietmuseum https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/10/18_2611_belgium-friet_00.jpg https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/10/18_2611_belgium-friet_00-150x150.jpg 2026-10-30T10:52:10+00:00 宮崎真紀 外はカリッ、中はほっこりの黄金色に輝くフリッツ
ベルギー人の赤ちゃんの哺乳瓶にはミルクではなくフリッツ(フレンチフライ)が入っていると言われるほど、「フリッツ」は年齢、性別を問わずベルギー人に愛されている国民食。街角のいたるところに揚げたてを出すフリッツ屋台「フリッツコット(Fritkot)」があり、大小合わせてその数なんとおよそ5,000店にも及びます。ベルギー人はおいしいフリッツを食べたいときは必ず屋台に行くのです。
移動フリッツコットの老舗「デ・コルテ(De Corte)」 © 宮崎真紀 Maki Miyazaki
フリッツがフリッツであるための厳しい決まり
フリッツにはフリッツ屋台協会(UNAFRI)が定める、たいへん厳しい規則があります。
① ジャガイモは、大きくて粉っぽい果肉の国産「ビンチュ」種を冷水で洗ってでん粉を除く
② 長さは9~14センチ
③ 揚げ油は熱に強く油切れがよく、素材にコクとうまみ、香ばしさを与える牛脂を使用
④ 140°Cの温度で7分揚げ、冷ましたフリッツを170°C~175°C(最高でも180°C)で2度揚げする
⑤ 円錐形の紙または紙の箱で提供、屋台の傍には必ずごみ箱を設置する
カリッと揚がったフリッツには、塩を振るかマヨネーズなどに付けて熱々を食べます。
ベルギー名物のムール貝にはフリッツが定番(左)、揚げたてのフリッツ © 宮崎真紀 Maki Miyazaki(左)
フリッツ博物館(Frietmuseum Brussels)
コンキスタドール率いる一団とインカ帝国の人々を描いた絵(左)
それから何世紀も経ち現在ではオバマ前アメリカ大統領やベルギー王フィリップ殿下も召し上がるフリッツに(右)
© 宮崎真紀 Maki Miyazaki
「フリッツ博物館」は、ブリュッセルのグランプラス(Grand-Place/Grote Markt)近く、有名な「小便小僧(Manneken Pis)」のすぐ隣にあります。ジャガイモの渡来から、フリッツがベルギーの国民食になった経歴などを豊富な資料やインタラクティブ手法で紹介。日本語音声ガイドもあります(音声ガイドは入場料に含まれています)。
いろいろな種類のジャガイモの展示(左)、中南米でのジャガイモ栽培の様子(右)© 宮崎真紀 Maki Miyazaki
ジャガイモのふるさとは、南米アンデスの高地。16世紀後半、スペインのコンキスタドールたちがインカ帝国(現在のペルーなど)を征服した際、彼らが栽培していたジャガイモを発見、ヨーロッパへ持ち帰ったのが始まりでした。ヨーロッパに渡ったジャガイモは、最初は敬遠されていました。しかし植物学者たちは、この塊茎が寒さに強く、痩せた土地にも育つため、18世紀に起こった度重なる飢饉の救済になると確信しその普及に努めました。おかげで、ヨーロッパ各地で徐々に食用として普及していきました。展示には、中南米での栽培や収穫の解説、害虫による病気などの説明があります。
展示物には、過去に使われていたフリッツ揚げ器(左)や、いろいろな円錐形のフリッツ容器も(右)© 宮崎真紀 Maki Miyazaki
続く部屋は、ベルギーでフリッツが普及するまでの歴史です。その発祥地は、ベルギー南部を流れるムーズ川(Meuse)沿いのナミュール(Namur)近辺。この辺りでは小さい川魚を揚げたものが名物料理ですが、冬には魚が捕れないため、その代用としてジャガイモを細長く切って魚に見立てて揚げていたのです。ここでは、昔の調理器具や多様なソースの解説、漫画やポスターなどがあり、いかにフリッツがベルギー人の生活に浸透しているかが分かります。
フリッツに欠かせないソースの種類も豊富 © 宮崎真紀 Maki Miyazaki
次は無料で遊べるゲームのコーナー。ピンボールゲーム、害虫シューティングゲーム、フリッツ製造工程を体験できるシュミレーションゲームなど、子どもも大人も大いに楽しめます。
フリッツ達が繰り広げる楽しいステージ © 宮崎真紀 Maki Miyazaki
楽しんだ後は、揚げたてのフリッツが無料で食べられる休憩エリア。1度揚げのフリッツは植物油を使用しますが、2度揚げの油は、正統な牛脂か植物油かの選択ができます。ソースは好きなものをかけて召し上がれます。香ばしいフリッツと、こってりしたマヨネーズの後を引くおいしさ、ベルギー人でなくとも虜になること請けあいです。
博物館ショップには楽しいおみやげグッズもたくさん © 宮崎真紀 Maki Miyazaki
INFORMATION
フリッツ博物館
フリッツ博物館と近くにある他の博物館を組み合わせるとお得なチケットになるシステムがあります。
チョコストリー(Choco-Story Brussels) チョコレート作りのデモンストレーションとテイスティング有り。コンボチケットはこちらから
ベルギービールワールド(Belgian Beer World) スカイバーでのビールテイスティング(1杯)とツアー中のビールテイスティング有り。コンボチケットはこちらから 宮崎真紀 Maki
Miyazaki auther04@a-concep.co.uk Author フード&カルチャー関係のコーディネーター。
生活情報誌「ボナペティ」編集長、国内外の雑誌に投稿、文化関係のコーディネートをする。過去25年間、ベルギー国立料理学校で日本人を対象にしたフランス料理教室やベルギーレース教室、フラワーアレンジ教室を主宰した。趣味は写真を撮ることと庭仕事。 欧州移住の正解が見つかる | Living in Europe - 住まい・教育・医療の総合ポータル