ポーランドの州都クラクフの北西約29キロに位置する「スウォショヴァ(Sułoszowa)」は、 緑と金色の畑がパッチワークのように広がり、 赤と青の屋根の家々が立ち並ぶ絵葉書のような村。

一見のどかなスウォショヴァ村に観光客が急増しているワケは

森と畑が広がる自然豊かなスウォショヴァの村には、 約9キロにもおよぶポーランドでも最長級の一本道が広大な緑地を貫いています。 そしてその道沿いには、およそ6,000人もの人々が居を構え静かでゆったりとした暮らしを送っています。 道の両脇には曲がりくねった畑が左右に伸びており、 上空から撮影した様子がまるで木の葉のように見え、 その独特な地形が評判となり近年観光客が急増しています。

スウォショヴァ村議会のビエダ氏によると、 住まいが一本の道を中心に築かれた主な理由は「昔は、 道路交通の利便さから一本道に沿って家があると楽だったのでしょう。」ということです。

SNSで一躍有名に

スウォショヴァ村は、 SNSにアップされたドローン画像に魅了されたユーザーによって何百万回も投稿・共有されるようになり、 それ以来観光客が村に押し寄せるようになりました。

一枚の巨大な木の葉のように見える村の景観が観光客を惹きつけるきっかけとはなりましたが、今ではスウォショヴァの渓谷や400以上もの洞窟の探検に訪れる人々も増え、観光のメッカとなっています。

村の端にある岩山の頂上には、14世紀に建てられた城がそびえ、田園地帯が一望できます。息を呑むような絶景が見渡せるこのエリアは「小さなトスカーナ」とも呼ばれています。

スウォショヴァの村人たちの暮らし

地元の住人たちも自分たちの村が世界中で話題になっていることを知っており、「このあたりの景色は大変美しいので、SNSの画像を見て人々が魅了されることにはまったく驚かない」と言います。しかし、ここでの静かな生活が気に入っているというある女性は、上空からの画像を見るまではこれほどまでに素晴らしいとは実感していなかったそう。

「16世紀に貴族の軍将校によって設立されたこの村は、周辺の他の村とは誰も使わない長い道でつながっているだけ。私たちはコミュニティ意識が高く、ストロベリー・デーやポテト・デーには集まって新しい作物を味わい、ライブミュージックを楽しみます。」しかし、そんなコミュニティにはありがちなことだが、村人はみな噂話が大好きで、全員が全員のことをよく知っているのだといいます。

しかしこうして多くの観光客が訪れるようになった今も、若い世代はどんどん村を離れているのも事実。村の最高齢の1人、スタニスワフさん(74歳)は、「若者たちは仕事を求めて大都市や海外へ行ってしまう。他所からやって来る若者たちは、自宅の前の通りで耐え難いほどの騒音を出しながら車やバイクのレースを繰り広げ、日曜日ともなるとわんさと訪れる旅行者が、窓から私たちの家の中をのぞくんだ。牧歌的とは程遠いよ。」と、世界の注目を集めるのも、良いことばかりではない様子。

14世紀建立のイエスの聖心教会の修道女、ヨランタさんはこう語ります。「私たちの村がこれほどまで人気になったのは、人々が畑を丁寧に手入れしている結果でしょう。畑の中を歩き、田園風景と静寂を楽しむのは本当に素晴らしいこと。散歩の途中に、鹿などの野生動物に出会えることも珍しくありません。」

知らない場所の素晴らしい景色を楽しみたいと思うことに罪はありませんが、のんびりとした暮らしを続けた村人たちの生活を壊さなよう、「郷に入っては郷に従え」の精神で節度ある行動を守りたいですね。

参照記事:Mail Online, Express.co.uk, Podróże Onet

https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/06/03_2505_01-by-Florian-Vataj-on-Unsplash.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/06/03_2505_01-by-Florian-Vataj-on-Unsplash-150x150.jpgLiE 編集部ポーランドの州都クラクフの北西約29キロに位置する「スウォショヴァ(Sułoszowa)」は、 緑と金色の畑がパッチワークのように広がり、 赤と青の屋根の家々が立ち並ぶ絵葉書のような村。 一見のどかなスウォショヴァ村に観光客が急増しているワケは 森と畑が広がる自然豊かなスウォショヴァの村には、 約9キロにもおよぶポーランドでも最長級の一本道が広大な緑地を貫いています。 そしてその道沿いには、およそ6,000人もの人々が居を構え静かでゆったりとした暮らしを送っています。 道の両脇には曲がりくねった畑が左右に伸びており、 上空から撮影した様子がまるで木の葉のように見え、 その独特な地形が評判となり近年観光客が急増しています。 スウォショヴァ村議会のビエダ氏によると、 住まいが一本の道を中心に築かれた主な理由は「昔は、 道路交通の利便さから一本道に沿って家があると楽だったのでしょう。」ということです。 SNSで一躍有名に スウォショヴァ村は、 SNSにアップされたドローン画像に魅了されたユーザーによって何百万回も投稿・共有されるようになり、 それ以来観光客が村に押し寄せるようになりました。   この投稿をInstagramで見る   Małopolska - oficjalny profil(@malopolska)がシェアした投稿 一枚の巨大な木の葉のように見える村の景観が観光客を惹きつけるきっかけとはなりましたが、今ではスウォショヴァの渓谷や400以上もの洞窟の探検に訪れる人々も増え、観光のメッカとなっています。 村の端にある岩山の頂上には、14世紀に建てられた城がそびえ、田園地帯が一望できます。息を呑むような絶景が見渡せるこのエリアは「小さなトスカーナ」とも呼ばれています。 スウォショヴァの村人たちの暮らし 地元の住人たちも自分たちの村が世界中で話題になっていることを知っており、「このあたりの景色は大変美しいので、SNSの画像を見て人々が魅了されることにはまったく驚かない」と言います。しかし、ここでの静かな生活が気に入っているというある女性は、上空からの画像を見るまではこれほどまでに素晴らしいとは実感していなかったそう。 「16世紀に貴族の軍将校によって設立されたこの村は、周辺の他の村とは誰も使わない長い道でつながっているだけ。私たちはコミュニティ意識が高く、ストロベリー・デーやポテト・デーには集まって新しい作物を味わい、ライブミュージックを楽しみます。」しかし、そんなコミュニティにはありがちなことだが、村人はみな噂話が大好きで、全員が全員のことをよく知っているのだといいます。 しかしこうして多くの観光客が訪れるようになった今も、若い世代はどんどん村を離れているのも事実。村の最高齢の1人、スタニスワフさん(74歳)は、「若者たちは仕事を求めて大都市や海外へ行ってしまう。他所からやって来る若者たちは、自宅の前の通りで耐え難いほどの騒音を出しながら車やバイクのレースを繰り広げ、日曜日ともなるとわんさと訪れる旅行者が、窓から私たちの家の中をのぞくんだ。牧歌的とは程遠いよ。」と、世界の注目を集めるのも、良いことばかりではない様子。 14世紀建立のイエスの聖心教会の修道女、ヨランタさんはこう語ります。「私たちの村がこれほどまで人気になったのは、人々が畑を丁寧に手入れしている結果でしょう。畑の中を歩き、田園風景と静寂を楽しむのは本当に素晴らしいこと。散歩の途中に、鹿などの野生動物に出会えることも珍しくありません。」 知らない場所の素晴らしい景色を楽しみたいと思うことに罪はありませんが、のんびりとした暮らしを続けた村人たちの生活を壊さなよう、「郷に入っては郷に従え」の精神で節度ある行動を守りたいですね。 参照記事:Mail Online, Express.co.uk, Podróże Onet