
Vol.5 樹皮の帯を巻いたチーズ
木枠に収まったトロトロのチーズ、通称「モン・ドール(Mont d’Or)」。世界のチーズファンの間で人気が定着してきています。
アルプス山脈の西端、フランスとスイスの国境に位置するジュラ山脈周辺で、両国で生産されているこのチーズ名の由来は、ジュラ山脈にある「黄金の山」という意味のモン・ドール山。秋から冬の季節限定で生産され、夏の放牧を終え、下山してきた牛のミルクから作られます。
この地方のチーズといえば、フランスの「コンテ」やスイスの「グリュイエール」といった大型ハードチーズが有名ですが、これらの大型ハードチーズを作るには大量のミルクを必要とします。搾乳量が減ってしまう秋から冬にかけて、山から下りてきた牛のミルクで作られるようになった小ぶりでソフトなチーズの一つが「モン・ドール」であり、この地の人々が自然の摂理に従って生み出したチーズともいえるでしょう。
世界で名だたる大型ハードチーズに勝るとも劣らない人気を誇るようになったモン・ドールの一番の特徴は、柔らかなチーズの形状を保持するために側面に巻かれたエピセアの木の樹皮の帯。エピセアの板の上で熟成するためチーズは香ばしく、クリスマスツリーを彷彿とさせるアロマを放ちます。一番小さいサイズはホールで500グラム程度。数人でシェアをして楽しむにはちょうど良いサイズであることもその魅力なのかもしれません。
モン・ドールに倣ったイギリスのチーズ。ウィンスレード(左)とロールライト
近年、日本をはじめ世界各国で、モン・ドールに倣って樹皮で巻かれたソフトなチーズが生産されています。日も短くなり寒くなってくるこれからのシーズン、友人や家族とトロトロで芳醇なチーズを囲んでみてはいかがでしょうか。ニンニクやハーブ、辛口の白ワインなどを加えてオーブン焼きにすれば風味がさらに増し、バゲットやジャガイモ、マッシュルームなどに付けていただけば、心も体もお腹も温かく満たされます。
https://living-in-eu.com/cheese/202509_vol5_montdorhttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/09/2509_mont-dor-top.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/09/2509_mont-dor-top-150x150.jpg木枠に収まったトロトロのチーズ、通称「モン・ドール(Mont d’Or)」。世界のチーズファンの間で人気が定着してきています。 アルプス山脈の西端、フランスとスイスの国境に位置するジュラ山脈周辺で、両国で生産されているこのチーズ名の由来は、ジュラ山脈にある「黄金の山」という意味のモン・ドール山。秋から冬の季節限定で生産され、夏の放牧を終え、下山してきた牛のミルクから作られます。 この地方のチーズといえば、フランスの「コンテ」やスイスの「グリュイエール」といった大型ハードチーズが有名ですが、これらの大型ハードチーズを作るには大量のミルクを必要とします。搾乳量が減ってしまう秋から冬にかけて、山から下りてきた牛のミルクで作られるようになった小ぶりでソフトなチーズの一つが「モン・ドール」であり、この地の人々が自然の摂理に従って生み出したチーズともいえるでしょう。 世界で名だたる大型ハードチーズに勝るとも劣らない人気を誇るようになったモン・ドールの一番の特徴は、柔らかなチーズの形状を保持するために側面に巻かれたエピセアの木の樹皮の帯。エピセアの板の上で熟成するためチーズは香ばしく、クリスマスツリーを彷彿とさせるアロマを放ちます。一番小さいサイズはホールで500グラム程度。数人でシェアをして楽しむにはちょうど良いサイズであることもその魅力なのかもしれません。 モン・ドールに倣ったイギリスのチーズ。ウィンスレード(左)とロールライト 近年、日本をはじめ世界各国で、モン・ドールに倣って樹皮で巻かれたソフトなチーズが生産されています。日も短くなり寒くなってくるこれからのシーズン、友人や家族とトロトロで芳醇なチーズを囲んでみてはいかがでしょうか。ニンニクやハーブ、辛口の白ワインなどを加えてオーブン焼きにすれば風味がさらに増し、バゲットやジャガイモ、マッシュルームなどに付けていただけば、心も体もお腹も温かく満たされます。 LiE 編集部LiE 編集部 toyo@a-concept.co.ukAdministratorLiving in Europe
