ヨーロッパの夏はスポーツシーズン。プロ・アマにかかわらず、各国でさまざまなスポーツイベントが開催されます。今回は、EU Institutions and Bodiesから「ヨーロッパで開催される8つの変わったスポーツイベント」をご紹介します。

1. どろんこオリンピック(ドイツ)


Image by hamperium from Pixabay

「どろんこオリンピック(Wattolümpiade)」の公式ウェブサイトによると、わざわざ泥まみれになりながらスポーツを行うには大きく2つの理由があるようです。単に楽しいから!というのはもちろん、そこには慈善活動の支援という重要な意義もあるとのこと。

ドイツのブルンスビュッテルにて、がん患者とその家族を支援することを主目的としたこの特別なオリンピックが初めて開催されたのは2004年のこと。以来、「がんと闘う」を基本理念とし、ドイツ国内のみならず近隣諸国からも、40を超えるチームが参加し、どろんこサッカーやどろんこハンドボール、どろんこそりレースなどの種目で競い合い、観客も大いに盛り上がります。

2. どろんこサッカー(フィンランド)


Image by Vecstock on Freepik

ヨーロッパの人はよほどどろんこ遊びが好きなのでしょうか…フィンランド発祥の「どろんこサッカー(Suopotkupallo)」は、サッカーとクロスカントリーのトップ選手が行う夏季トレーニングを融合させたもの。想像以上に体力を消耗する沼地での移動は良いトレーニングとなるということから誕生しました。ルールは普通のサッカーを基にした非常にシンプルなもので、大きな違いはフィールドが沼地ということ。

今日では世界選手権もあり、世界各国から約200チームがタイトルをかけて競います。楽しそうだけど汚れるのはちょっと、という方は、スワンプ・ロック・アリーナで文字通り泥試合を観戦することもできます。2025年の世界選手権は7月11日と12日に開催される予定。詳しくはウェブサイトをご参照ください。

3. メドック城マラソン(フランス)

走ることは好きですか?ワインは好きですか?「メドック」と聞いてピンときた方もいるのではないでしょうか?これらの質問に「はい」と答えた方にぴったりのスポーツイベントが、フランスで毎年9月に行われる「メドック城マラソン(Des Châteaux du Médoc)」です。

このマラソンはボルドー近郊のポイヤックからスタートし、約42キロ先のゴールまで、なんと20カ所以上のワイン試飲スポットを通過します。ワイン以外にも多くのアクティビティが用意されており、そのため世界で一番時間のかかるマラソンともいわれるのも納得ですね。参加者の大半は思い思いのコスチュームを身に付けており、それと飲酒が合わさって、面白い結果になることは想像に難くありません。

2025年のメドック城マラソンは9月6日開催予定。詳細は公式ウェブサイトでご確認ください。参加される方は、くれぐれも節度ある飲酒を!

4. ルートヴィヒスブルク・パンプキン・レガッタ(ドイツ)

レガッタといえば、「実用的かつスタイリッシュなセーリングウェアを着て行うレース」を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、毎年8月末から11月初旬にかけて開催される「ルートヴィヒスブルク・パンプキン・フェスティバル(Ludwigsburger Kürbis-Schnitzwelt)」の一環で行われるレガッタ・レースは、参加者がくり抜いたカボチャに乗って湖を漕ぎ進むという、通常のレガッタとは一線を画す大変ユニークなもの。

この陽気な競技には、14歳以上で泳げる人なら誰でも自由に参加できるとのこと。人が乗れるほどの巨大カボチャはもちろん主催者側が用意しますが、自家用カボチャ・レガッタの所有者は持ち込みもOKだそう。2025年のレースは9月20日と21日に行われる予定です。

フェスティバルの期間中はレガッタの他にもたくさんのイベントが開催されます。詳細はウェブサイトをご確認ください。

5. カルチョ・ストーリコ・フィオレンティーノ(イタリア)

16世紀のフィレンツェで生まれたという「カルチョ・ストーリコ・フ​​ィオレンティーノ(Calcio Storico Fiorentino)」は、サッカー、ラグビー、レスリングの要素が組み合わさった過激なスポーツ。現在も伝統的なコスチュームを身につけてプレーされています。

試合は1チーム27人からなる2チームで行われ、ボールを相手チームのゴールに入れるためには手段を選ばないというかなり荒々しいルール。ボールを持った人がゴールに辿り着くことを阻止するため、殴り合ったり蹴り合ったり馬乗りになったりと、まったく容赦がないどころか、そうすることが奨励されているのだとか。退場を余儀なくされるほどの怪我を負った選手が出ても、代わりの選手を入れることも許されません。

そんな激しい戦いの末に勝利したチームには、努力と伝統への敬意に対する賞として牛1頭が贈られるというのも面白いですね。またその激しさゆえか、試合が行われるのは1年に1度だけだそうです。

6. ホビーホーシング(フィンランド)


Photo by Monstera Production

打って代わって、歴史の浅いスポーツをフィンランドからご紹介します。本物の馬ではなく、なんと、棒馬(ホビーホース)を使って乗馬風のパフォーマンスを繰り広げるという「ホビーホーシング(Keppihevosten)」。選手たちは自作の棒馬を使って障害物コースを完走し、ときには1メートルもの高さをジャンプするのだとか。

本物の乗馬に比べたら破格の低予算で遊べるホビーホーシングはどこかおふざけのように見えますが、年齢や性別を問わず参加でき、現在約1万人の愛好家を数え、特に10代の少女たちの間で人気があります。彼女たちはこのゲームを非常に真剣に受け止め、自分の棒馬には名前も付けているそうです。動画を観ると、確かにとても楽しそう!

2025年の大会は6月14日に、フィンランドのセイナヨキにある「Seinäjoki Areena」にて開催予定。興味が湧いた方は2024年にスウェーデンで行われた世界大会の様子を記録したある選手のVlogをご覧ください。

2025年の大会の詳細はこちらでご確認ください。

7. フィエルイェッペン選手権(オランダ・ベルギー)

「遠くまで跳ぶ」を意味する「フィエルイェッペン(Fierljeppen)」は、250年前にフリースラント州で発祥したスポーツ。現在はオランダのみならずベルギーでも人気が高まっています。

ルールは簡単で、25メートルほど先に立ててある8~13メートルの高さのポールをめがけて全力疾走し、そのポールを掴んで運河や堀をできるだけ遠くに飛び越える競技。棒高跳びをイメージするとわかりやすいかもしれません。競うのはあくまでも距離であって高さではないのですが、走って飛び付いたポールが地面に落ちる前にできるだけ高く上れば、飛距離も伸びそうです。

8. モンテのトボガンそり(ポルトガル)

最後はポルトガルの美しいマデイラ島の街、モンテに行ったらぜひ試してみたい「トボガンそり(Tobogganing Without Snow)」をご紹介。厳密にはスポーツではありませんが、スポーツと同じぐらいのスリルとスピード感が味わえます。

このそり滑りのコースはなんと公道で行われるので、世界各国からやってくる旅行者の間でも大人気。そりに載った籐のバスケットには1〜3人まで乗ることができます。伝統的な白い服を身につけ麦わら帽子を被った2人の男性によって操縦されるそりは、モンテからフンシャルまでのおよそ2キロの斜面を最高時速約30キロものスピードで滑り下りるのですが、そりにはブレーキと呼べるものはなく、運転手のゴム底靴がその役割を担います。

かつては地元の人たちの移動手段だったようですが、現在はほぼ旅行者専用になっているとのことです。
最新の乗車料金や休業日などはウェブサイトからご確認ください。

参照記事:European Union – European Youth Portal

https://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/05/02_2506_022.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2025/05/02_2506_022-150x150.jpgLiE特別寄稿シリーズヨーロッパの夏はスポーツシーズン。プロ・アマにかかわらず、各国でさまざまなスポーツイベントが開催されます。今回は、EU Institutions and Bodiesから「ヨーロッパで開催される8つの変わったスポーツイベント」をご紹介します。 1. どろんこオリンピック(ドイツ) Image by hamperium from Pixabay 「どろんこオリンピック(Wattolümpiade)」の公式ウェブサイトによると、わざわざ泥まみれになりながらスポーツを行うには大きく2つの理由があるようです。単に楽しいから!というのはもちろん、そこには慈善活動の支援という重要な意義もあるとのこと。 ドイツのブルンスビュッテルにて、がん患者とその家族を支援することを主目的としたこの特別なオリンピックが初めて開催されたのは2004年のこと。以来、「がんと闘う」を基本理念とし、ドイツ国内のみならず近隣諸国からも、40を超えるチームが参加し、どろんこサッカーやどろんこハンドボール、どろんこそりレースなどの種目で競い合い、観客も大いに盛り上がります。 2. どろんこサッカー(フィンランド) Image by Vecstock on Freepik ヨーロッパの人はよほどどろんこ遊びが好きなのでしょうか…フィンランド発祥の「どろんこサッカー(Suopotkupallo)」は、サッカーとクロスカントリーのトップ選手が行う夏季トレーニングを融合させたもの。想像以上に体力を消耗する沼地での移動は良いトレーニングとなるということから誕生しました。ルールは普通のサッカーを基にした非常にシンプルなもので、大きな違いはフィールドが沼地ということ。 今日では世界選手権もあり、世界各国から約200チームがタイトルをかけて競います。楽しそうだけど汚れるのはちょっと、という方は、スワンプ・ロック・アリーナで文字通り泥試合を観戦することもできます。2025年の世界選手権は7月11日と12日に開催される予定。詳しくはウェブサイトをご参照ください。 3. メドック城マラソン(フランス) 走ることは好きですか?ワインは好きですか?「メドック」と聞いてピンときた方もいるのではないでしょうか?これらの質問に「はい」と答えた方にぴったりのスポーツイベントが、フランスで毎年9月に行われる「メドック城マラソン(Des Châteaux du Médoc)」です。 このマラソンはボルドー近郊のポイヤックからスタートし、約42キロ先のゴールまで、なんと20カ所以上のワイン試飲スポットを通過します。ワイン以外にも多くのアクティビティが用意されており、そのため世界で一番時間のかかるマラソンともいわれるのも納得ですね。参加者の大半は思い思いのコスチュームを身に付けており、それと飲酒が合わさって、面白い結果になることは想像に難くありません。 2025年のメドック城マラソンは9月6日開催予定。詳細は公式ウェブサイトでご確認ください。参加される方は、くれぐれも節度ある飲酒を! 4. ルートヴィヒスブルク・パンプキン・レガッタ(ドイツ) レガッタといえば、「実用的かつスタイリッシュなセーリングウェアを着て行うレース」を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、毎年8月末から11月初旬にかけて開催される「ルートヴィヒスブルク・パンプキン・フェスティバル(Ludwigsburger Kürbis-Schnitzwelt)」の一環で行われるレガッタ・レースは、参加者がくり抜いたカボチャに乗って湖を漕ぎ進むという、通常のレガッタとは一線を画す大変ユニークなもの。 この陽気な競技には、14歳以上で泳げる人なら誰でも自由に参加できるとのこと。人が乗れるほどの巨大カボチャはもちろん主催者側が用意しますが、自家用カボチャ・レガッタの所有者は持ち込みもOKだそう。2025年のレースは9月20日と21日に行われる予定です。 フェスティバルの期間中はレガッタの他にもたくさんのイベントが開催されます。詳細はウェブサイトをご確認ください。 5. カルチョ・ストーリコ・フィオレンティーノ(イタリア) 16世紀のフィレンツェで生まれたという「カルチョ・ストーリコ・フ​​ィオレンティーノ(Calcio Storico Fiorentino)」は、サッカー、ラグビー、レスリングの要素が組み合わさった過激なスポーツ。現在も伝統的なコスチュームを身につけてプレーされています。 試合は1チーム27人からなる2チームで行われ、ボールを相手チームのゴールに入れるためには手段を選ばないというかなり荒々しいルール。ボールを持った人がゴールに辿り着くことを阻止するため、殴り合ったり蹴り合ったり馬乗りになったりと、まったく容赦がないどころか、そうすることが奨励されているのだとか。退場を余儀なくされるほどの怪我を負った選手が出ても、代わりの選手を入れることも許されません。 そんな激しい戦いの末に勝利したチームには、努力と伝統への敬意に対する賞として牛1頭が贈られるというのも面白いですね。またその激しさゆえか、試合が行われるのは1年に1度だけだそうです。 6. ホビーホーシング(フィンランド) Photo by Monstera Production 打って代わって、歴史の浅いスポーツをフィンランドからご紹介します。本物の馬ではなく、なんと、棒馬(ホビーホース)を使って乗馬風のパフォーマンスを繰り広げるという「ホビーホーシング(Keppihevosten)」。選手たちは自作の棒馬を使って障害物コースを完走し、ときには1メートルもの高さをジャンプするのだとか。 本物の乗馬に比べたら破格の低予算で遊べるホビーホーシングはどこかおふざけのように見えますが、年齢や性別を問わず参加でき、現在約1万人の愛好家を数え、特に10代の少女たちの間で人気があります。彼女たちはこのゲームを非常に真剣に受け止め、自分の棒馬には名前も付けているそうです。動画を観ると、確かにとても楽しそう! 2025年の大会は6月14日に、フィンランドのセイナヨキにある「Seinäjoki Areena」にて開催予定。興味が湧いた方は2024年にスウェーデンで行われた世界大会の様子を記録したある選手のVlogをご覧ください。 2025年の大会の詳細はこちらでご確認ください。 7. フィエルイェッペン選手権(オランダ・ベルギー) 「遠くまで跳ぶ」を意味する「フィエルイェッペン(Fierljeppen)」は、250年前にフリースラント州で発祥したスポーツ。現在はオランダのみならずベルギーでも人気が高まっています。 ルールは簡単で、25メートルほど先に立ててある8~13メートルの高さのポールをめがけて全力疾走し、そのポールを掴んで運河や堀をできるだけ遠くに飛び越える競技。棒高跳びをイメージするとわかりやすいかもしれません。競うのはあくまでも距離であって高さではないのですが、走って飛び付いたポールが地面に落ちる前にできるだけ高く上れば、飛距離も伸びそうです。 8. モンテのトボガンそり(ポルトガル) 最後はポルトガルの美しいマデイラ島の街、モンテに行ったらぜひ試してみたい「トボガンそり(Tobogganing Without Snow)」をご紹介。厳密にはスポーツではありませんが、スポーツと同じぐらいのスリルとスピード感が味わえます。 このそり滑りのコースはなんと公道で行われるので、世界各国からやってくる旅行者の間でも大人気。そりに載った籐のバスケットには1〜3人まで乗ることができます。伝統的な白い服を身につけ麦わら帽子を被った2人の男性によって操縦されるそりは、モンテからフンシャルまでのおよそ2キロの斜面を最高時速約30キロものスピードで滑り下りるのですが、そりにはブレーキと呼べるものはなく、運転手のゴム底靴がその役割を担います。 かつては地元の人たちの移動手段だったようですが、現在はほぼ旅行者専用になっているとのことです。 最新の乗車料金や休業日などはウェブサイトからご確認ください。 参照記事:European Union – European Youth Portal