
Vol.11 チーズとは?
チーズとはそもそも一体何なのか?改めてそう問われても、多くの人は答えに窮してしまうかもしれません。今回は、ヨーロッパ食文化の根幹をなすといっても過言ではないチーズ全般について、少し紐解いてみましょう。

フランスノルマンディ地域圏の首都ルーアン(Rouen)のチーズ専門店。この地域産の伝統チーズ、ヌーシャテル(Neufchâtel)が熟成違い、サイズ違いで並ぶ。
真偽の程は定かではないが、英仏100年戦争時代、フランス農婦がイギリス兵士へチーズで愛を表現したことでハート型になったという逸話がある
紀元前10,000年頃(新石器時代)に、現在の中東エリアにあたるメソポタミアの人々が食糧確保の手段として羊や山羊の家畜化を始めました。家畜のミルクは栄養価が高いものの、液体であることからあまり長期間の保存ができませんでした。そこで、少しでも保存が効くようにと加工したものがチーズの始まりといわれています。

(左)ポルトガル北部、ポルト周辺は羊乳製のソフトなチーズがチーズ売り場の大半を占める
(中央)フランス、アヌシーのマーケットストールにはこの地の特産チーズTommeスタイルが並ぶ
(右)イタリア、トリノの食材店には、この地が誇るパルメザンが、グレード違いで多種類並ぶ
人類の長い歴史の中で乳加工の技術は世界各地へ伝播しました。その過程で、各地域それぞれの自然環境、政治、経済、文化といった多様な社会環境に合わせて発展・発達し、今もなお進化し続けています。

南フランス、コートダジュールのスーパーのチーズ売り場。小ぶりな羊乳、山羊乳ソフトチーズが売り場の大半を占める
ヨーロッパ圏内だけを見ても、伝統的なチーズは地域ごとにスタイルや様相が異なり、各々の自然環境、社会環境、歴史を物語っています。

スイスの首都ベルン市内のチーズ専門店。山のチーズスタイル(Alpine Style)と呼ばれる牛乳製の大型ハードチーズが数多く並ぶ
例えば、スイスやイタリア北部、オーストリア、フランス東部に跨るアルプス山岳地帯の伝統チーズは、牛乳製のハードで大型のものが多く、ポルトガルのご当地チーズといえば、羊乳製のソフトチーズ各種。そこから東へ少し移動したスペイン中部は羊乳製、山羊乳、そして羊乳山羊乳ミックスのセミハードスタイルが主流となります。
プロヴァンスやフランス南部の地中海沿いでのご当地チーズといえば、ソフトな山羊乳や羊乳製チーズといえるでしょう。

パリのサン・ジェルマン・デ・プレ地区のチーズ専門店。各チーズと味わいの相性が良い食材で、チーズがまるで洗練されたケーキのようにデコレーションされている
物流が発達した現代では、チーズは販売されている場所(流通経路)でも、様相を異にするため、各地域のご当地チーズをその土地で味わうと、さまざまな文化的要素を肌で感じることができます。そして、「この土地でこそ食べてみたいチーズ!」というものが見えるようになり、そのおいしさが増すだけでなく、旅行の楽しみの幅も広がるものです。まさに、それこそがチーズという食べ物の魅力なのかもしれません。
地域ごとに見る、ヨーロッパ産チーズについてはぜひこちらも覗いてみてくださいね。
https://living-in-eu.com/cheese/202604_vol11_cheesehttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/03/11_2603_gen_top-1.jpghttps://living-in-eu.com/wp-content/uploads/2026/03/11_2603_gen_top-1-150x150.jpgチーズとはそもそも一体何なのか?改めてそう問われても、多くの人は答えに窮してしまうかもしれません。今回は、ヨーロッパ食文化の根幹をなすといっても過言ではないチーズ全般について、少し紐解いてみましょう。 フランスノルマンディ地域圏の首都ルーアン(Rouen)のチーズ専門店。この地域産の伝統チーズ、ヌーシャテル(Neufchâtel)が熟成違い、サイズ違いで並ぶ。 真偽の程は定かではないが、英仏100年戦争時代、フランス農婦がイギリス兵士へチーズで愛を表現したことでハート型になったという逸話がある 紀元前10,000年頃(新石器時代)に、現在の中東エリアにあたるメソポタミアの人々が食糧確保の手段として羊や山羊の家畜化を始めました。家畜のミルクは栄養価が高いものの、液体であることからあまり長期間の保存ができませんでした。そこで、少しでも保存が効くようにと加工したものがチーズの始まりといわれています。 (左)ポルトガル北部、ポルト周辺は羊乳製のソフトなチーズがチーズ売り場の大半を占める (中央)フランス、アヌシーのマーケットストールにはこの地の特産チーズTommeスタイルが並ぶ (右)イタリア、トリノの食材店には、この地が誇るパルメザンが、グレード違いで多種類並ぶ 人類の長い歴史の中で乳加工の技術は世界各地へ伝播しました。その過程で、各地域それぞれの自然環境、政治、経済、文化といった多様な社会環境に合わせて発展・発達し、今もなお進化し続けています。 南フランス、コートダジュールのスーパーのチーズ売り場。小ぶりな羊乳、山羊乳ソフトチーズが売り場の大半を占める ヨーロッパ圏内だけを見ても、伝統的なチーズは地域ごとにスタイルや様相が異なり、各々の自然環境、社会環境、歴史を物語っています。 スイスの首都ベルン市内のチーズ専門店。山のチーズスタイル(Alpine Style)と呼ばれる牛乳製の大型ハードチーズが数多く並ぶ 例えば、スイスやイタリア北部、オーストリア、フランス東部に跨るアルプス山岳地帯の伝統チーズは、牛乳製のハードで大型のものが多く、ポルトガルのご当地チーズといえば、羊乳製のソフトチーズ各種。そこから東へ少し移動したスペイン中部は羊乳製、山羊乳、そして羊乳山羊乳ミックスのセミハードスタイルが主流となります。 プロヴァンスやフランス南部の地中海沿いでのご当地チーズといえば、ソフトな山羊乳や羊乳製チーズといえるでしょう。 パリのサン・ジェルマン・デ・プレ地区のチーズ専門店。各チーズと味わいの相性が良い食材で、チーズがまるで洗練されたケーキのようにデコレーションされている 物流が発達した現代では、チーズは販売されている場所(流通経路)でも、様相を異にするため、各地域のご当地チーズをその土地で味わうと、さまざまな文化的要素を肌で感じることができます。そして、「この土地でこそ食べてみたいチーズ!」というものが見えるようになり、そのおいしさが増すだけでなく、旅行の楽しみの幅も広がるものです。まさに、それこそがチーズという食べ物の魅力なのかもしれません。 地域ごとに見る、ヨーロッパ産チーズについてはぜひこちらも覗いてみてくださいね。LiE 編集部LiE 編集部 toyo@a-concept.co.ukAdministratorLiving in Europe



